今回はアフリカから逸れます。日本の話です。
2021年2月15日に日本の2020年第4四半期と、2020年のGDPの速報が発表されました。
簡単に速報値の内容と、四半期GDPの概念について紹介したいと思います。
2020年のGDPについて
早速ですが、今回発表された2020年GDPの成長率は-4.8%でした。
-4.8%は過去2番目に低い成長率で、1番低いのはリーマンショックの影響を受けた2009年の-5.7%です。
なお、GDPがマイナス成長となったのは1956年以降では以下の7回です。
- 1974年:第1次オイルショック
- 1993年:バブル崩壊
- 1998-99年:消費税増税およびアジア通貨危機
- 2008-09年:リーマンショック
- 2020年:新型コロナ
出典:内閣府経済社会総合研究所「国民経済計算」に基づく筆者による推計値
このように、日本経済は停滞しているように見えて、GDPが実際にマイナス成長となることは稀な出来事となります。
2020年第4四半期GDPと四半期の概念
さて、今回は2020年の第4四半期GDPも公表されています。
時事通信2月15日付の報道で以下のように伝えています。
内閣府が15日発表した2020年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比3.0%増、この成長が1年続いた場合の年率換算で12.7%増だった。
ここでは、四半期GDPについて3.0%と12.7%の2つの数字が挙げられていますが、四半期GDP成長率はもう少し複雑な概念となります。
四半期GDP成長率は、以下の3つの要素の組み合わせにより表すことができます。
①名目 or 実質
②原系列 or 季節調整
②前年同期比 or 前期比 or 前期比年率
それぞれの要素を組み合わせることで12通り(=2×2×3)で表すことができます。
なお、「名目」とは現時点の金額そのもので物価の変動も含まれます。名目から消費者物指数(CPI)などにより物価を調整したものを「実質」といいます。また、季節調整とは当該期間と比較対象期間の季節変動や休祝日数を平準化したものとなります。
今回公表された2020年第4四半期GDPの成長率をこの12通りで確認すると以下のようになります。
名目 | 実質 | |||
原系列 | 季節調整済 | 原系列 | 季節調整済 | |
前年同期比 | -1.0% | -1.0% | -1.2% | -1.1% |
前期比 | 9.3% | 2.5% | 5.9% | 3.0% |
前期比年率 | 42.8% | 10.5% | 25.7% | 12.7% |
先の、時事通信の記事で使われていた数字は上の表の赤字になります。また、一般的に青字の実質前年同比もよく報道される数字なります。
このように、よく聞く四半期GDPでも実際には12通りの表し方があり、その数字は見え方が異なるため、ニュースなどを参考にする際はその数字の概念を正しく理解する必要があります。
さいごに
今回はアフリカに関するテーマではなく、日本のGDPについて取り上げました。アフリカの経済状況を正しく把握するためにも、身近な日本の現状や経済データの概念を正しく理解しておくことは重要だと思いますので、今後も少しずつこういったテーマを取り上げようと思います。