今回はアルジェリアの貿易について整理します。
なおエチオピアの関税率については以下の記事を参照ください。
今回はアルジェリアの関税率について整理します。 関税率などのデータはWTO Statが公表している、最恵国待遇相手における関税率や免税率などを用いています。 なお、貿易について以下の記事を参照ください。 […]
アルジェリアの基本情報
アルジェリアの人口は2016年時点で約4,000万人とアフリカでは9番目に人口が多い国です。
人口密度は17人/km2とアフリカ平均の40人/km2の半分以下です。
一方、一人あたりGDPは2016年時点で15,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルと3倍ほどあり、アフリカでは6番目に高い国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
貿易収支の推移
早速ですが、以下は1970年以降のアルジェリアのGDPに占める輸出、輸入および貿易収支のシェアを表します。
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”
アルジェリアの貿易収支は変動は大きいものの、長期で見ればおおよそ貿易均衡となっています。
1990年代後半から2015年にかけては、大幅な貿易黒字となっており、特に2006年では+26%の貿易収支となっています。
ただし、近年では貿易赤字が続いており、2019年では-6%の貿易収支です。
輸出の構成
以下は1992年以降のアルジェリアの輸出品の構成です。
アルジェリアの輸出は2. 鉱物(石油・天然ガス)がほぼすべてであり、残りは3. 化学製品(アンモニア、肥料)、1. 農林水産品・食料品(砂糖・砂糖菓子)を輸出しています。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
アルジェリアの経済は石油・天然ガス産業に大きく依存しており、GDPのおよそ3割-5割を石油・天然ガス産業が占めています。
また生産された石油・天然ガスの多くは輸出されるため、海外の需要に大きく依存する経済構造は経済成長へのリスクと言えます。
輸入の構成
一方、輸入の構成については以下のようになっています。
2017年の輸入の構成は、8.機械が37%、1.農林水産品・食料品が20%、3.化学製品が15%、7. 金属製品が14%、残りが13%です。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
輸入品の具体的な商品を見ますと、2017年では84. 一般機械が17%、85.電気機械が9%、87.自動車が7%、73.鉄鋼製品と10.穀物がともに6%です。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
貿易相手国の構成
次に貿易相手国を確認します。以下は2017年の貿易相手シェアを表します。
アルジェリアの最大の輸出相手国はイタリアで輸出全体の16%に相当します。
アルジェリアはHassi R’ Mel 大ガス田の天然ガスをパイプラインによってイタリアへ輸出しており、それによりイタリアのシェアが大きくなっています。
続く国はフランス、スペインと上位3か国はヨーロッパの国であり、この3か国で輸出の40%を占めます。
なお、スペインへとつなぐパイプラインの開発も現在計画されているうようです。
上位10カ国では輸出の77%、上位30カ国では98%を占めています。(日本は22位で0.3%を占めます)
出所:UN comtrade.
最大の輸入相手国も中国で全体の18.1%を占めており2位のフランス(9.3%)の倍以上に相当します。(なお、日本は23位で1.0%を占めます)
上位10カ国では68%、上位30カ国では91%を占めます。
さいごに
アルジェリアの貿易の特徴は以下のとおりです。
- 1990年代後半から2015年にかけては、大幅な貿易黒字。近年では貿易赤字に転じ、2019年では-6%の貿易収支
- 輸出品はほぼ石油・天然ガス
- 主な輸入品は一般機械、電気機械、自動車など
- 主な輸出相手国はイタリア、フランス、スペイン
- 最大の輸入相手国は中国で、次ぐのフランスのおよそ倍以上に相当
以上となります。引き続き他の国についても調べています。