今回はカメルーンの貿易について整理します。
なおカメルーンの関税率については以下の時期を参照ください。
今回はカメルーンの関税率について整理します。 関税率などのデータはWTO Statが公表している、最恵国待遇相手における関税率や免税率などを用いています。 なお、貿易について以下の記事を参照ください。 […]
カメルーンの基本情報
カメルーンはナイジェリア、チャド、中央アフリカ共和国、コンゴ、赤道ギニア、ガボンに接する中央アフリカの国です。
カメルーンの人口は2016年時点で約2,400万人で、アフリカではやや人口の多い国です。
一方、一人あたりGDPは2016年時点で3,200ドルとアフリカ平均の5,000ドルの6割程度とアフリカではやや低位の国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
貿易収支の推移
早速ですが、以下は1970年以降のカメルーンのGDPに占める輸出、輸入および貿易収支のシェアになります。
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”
カメルーンは1990年代を除けば一貫して貿易赤字の国です。近年では貿易収支は-6%となっています。
貿易黒字であった1990年代は輸出の増加よりも輸入が減少したことに起因しています。
これは、1980年代後半から1990年代にかけて国際通貨基金(IMF)および世界銀行による「構造調整計画」と言われる、財政赤字を縮小するための政策を推し進められたことによります。
輸出の構成
以下は1995年以降のカメルーンの輸出品の構成です。
カメルーンの主な輸出は主に2. 鉱物、1. 農林水産品・食料品、4. 木材・木製品が大部分を占めています。
2017年の輸出の構成は、2. 鉱物が44%、1. 農林水産品・食料品が22%、4. 木材・木製品が16%、残りが18%です。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
以下は上記の10分類を100分類弱に細分化した分類の上位5品目を取り上げています。
もっとも輸出が多いのは27. 石油天然ガス等で、変動は激しいもののデータの確認できる2017年では43%を占めてます。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
27. 石油天然ガス等以外では、農林水産品や鉱物といった1次製品が主な輸出品です。
具体的には2017年では、木材(14%)、ココア豆(12%)、綿(5%)、アルミニウム(4%)が上位品目となっています。
輸入の構成
一方、輸入の構成については以下のようになっています。
2017年の輸入の構成は、8.機械が25%、1.農林水産品・食料品が23%、2. 鉱物が19%、3.化学製品が17%、残りが17%です。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
輸入品の具体的な商品を見ますと、2017年では27.石油天然ガス等が14%、10.穀物と84. 一般機械ともに10%、85.電気機械と87.自動車がともに7%です。
特に近年ではコメの輸入が増加しています。
カメルーンでの主食はバナナ、ヤム芋、キャッサバ等ですが、近年ではコメを食べる人が増えており、JICAの報告書によると一人当たりの年間のコメの消費量は約 26 ㎏(2001 年)から約 32 ㎏(2011 年)に伸びています。
このような背景によりコメの輸入が増加しているものと解されます。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
貿易相手国の構成
次に貿易相手国を確認します。以下は2017年の貿易相手シェアを表します。
カメルーンの最大の輸出相手国はイタリアで輸出全体の13.9%に相当します。
2-5番目は中国、フランス、オランダ、スペインで上位5か国で輸出全体の55.1%を占めます。
なお、上位10カ国で輸出の76%、上位30カ国では98%を占めています。
出所:UN comtrade.
一方、最大の輸入相手国は中国で全体の17.2%を占めており2位のフランス(9.8%)のおよそ倍に相当します。
上位10カ国では61%、上位30カ国では88%を占めます。(なお、日本は2.4%で上位13番目です)
さいごに
カメルーンの貿易の特徴は以下のとおりです。
- 1990年代を除き一貫して貿易赤字
- 主な輸出品は石油天然ガス、ココア、木材、綿、アルミニウム等の一次製品
- 主な輸入品は石油天然ガス、機械類に加え、近年は穀物(コメ)が増加
- 主な輸出相手国はイタリア、中国、フランス、オランダ、スペイン
- 最大の輸入相手国は中国で、次ぐのフランス(9.8%)のおよそ倍に相当
以上となります。引き続き他の国についても調べています。