今回はエスワティニにおける児童労働についてデータを整理します。
ただし、児童労働の問題には就学の問題も関連することが多いため、はじめに就学率についてデータを確認します。
エスワティニの基本情報
エスワティニは南アフリカ、モザンビークを隣国にもつアフリカ南部の国です。
かつてはスワジランドと呼ばれていましたが、2018年にエスワティニと改名しました。
エスワティニの人口は2016年時点で130万人とアフリカでは比較的人口の少ない国です。
一方、人口密度は75人/km2とアフリカでは比較的人口密度の高い国です。
また、一人あたりGDPは2016年時点で8,500ドルとアフリカでは比較的高い国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
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就学率(教育)
以下はアフリカ諸国および参考国(米国、中国)における就学率を表します。(括弧内の数字はデータの年次を表します。)
なお、ここでの就学率は初等教育対象年齢人口に対する初等教育に入学した人口をします。
参考国である米国と中国の就学率はそれぞれ、95.6%と89.3%に対し、エスワティニは82.6%と両国よりも低い水準にあり、アフリカ諸国の中では31番目となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
次に、就学率の推移をみます。
1970年代前半の就学率は60%ほどでしたが、直近では80%と多くの子供に教育が行き届く状況となっています。
また、男女格差については1970年時点ですでに格差はほぼない状況となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
なお、人口に占める学歴構成については、以下の時期で取り上げています。
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児童就業率(児童労働)
次に、児童の就業率について確認します。
以下のグラフは7-14歳人口に占める就業率を表しており、左図は全体、中図は男子、右図は女子の就業率のランキングとなっています。
エスワティニの全体の児童就業率は13%でデータの確認できる44か国中38番目となっています。
また、男子は15%で44か国中38番目、女子は12%で38番目と男女ともに低い水準となっており、児童の7人に1人は労働をおこなっている状況となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
以下の左図は児童労働における産業別構成比を表しており、右図では就業形態別の構成比を表します。
ただし、産業構成についてはデータが公表されておらず、すべて不詳となります。
雇用形態については、雇用者は16%ほどであり、大部分は家族従業者が占めています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
なお、一国全体の労働構成については以下の記事を参照ください。
今回はエスワティニの就業率、失業率、労働生産性などの労働関連のデータについて簡単に整理します。 なお、産業別の労働者数や賃金・労働時間に関しては以下の記事を参照ください。 [sitecard subtitle=関連記事 url=[…]
児童の平均労働時間
次に、児童の平均労働時間ついて確認します。
以下のグラフは労働に従事している(就業している)児童の週平均労働時間のランキングを示しており、左図は非就学児童の平均労働時間、右図は就学も就業もしている児童の平均労働時間を示しています。
左図の非就学の就業児童の労働時間では、エスワティニは9時間と(データの確認できる)アフリカの41か国中38番目となっています。
同様に、右図の就学している就業児童の労働時間は4時間であり(データの確認できる)アフリカの41か国中38番目となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
男女別の労働時間をみると、非就学の就業児童の労働時間では男子が8.8時間に対し女子は8.6時間と僅かに男子の方が長く、同様に就学している就業児童の労働時間においても男子は4.2時間、女子は3.8時間と若干男子の方が長くなっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
さいごに
今回は就学率や児童の就業率や労働時間について整理しましたが、児童労働の賃金データや産業別の児童労働時間などのデータについては確認することができませでした。
