今回はアフリカとの比較の参考国として中国の貿易について整理します。
中国については既に知っていることも多いと思いますが、改めてアフリカ諸国と同一の分析フレームで確認しようと思います。
なお関税率については以下の記事を参照ください。
貿易収支の推移
早速ですが、以下は1970年以降のGDPに占める輸出、輸入および貿易収支のシェアを表します。
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”, December 2021
過去50年ではリーマンショックの2008年にかけて、輸出・輸入はGDP比で30%程度まで拡大していましたが、リーマンショック以降は減少傾向へ転じており、2020年ではともに20%弱となっています。
また、貿易収支は1990年代半ばまではほぼ均衡状態にありましたが、その後は徐々に貿易黒字となり、リーマンショック直前にはGDP比で+10%程度の黒字となりましたが、その後は減少へ転じ直近では1%の貿易収支へ縮小しています。
輸出の構成
以下は1992年以降の輸出品の構成です。
1992年では5.繊維・アパレルが輸出の30%超を占めており最大の輸出品でしたが、そのシェアは2021年では10%程度まで縮小しています。
一方、かつては20%程度しか占めていなかった8.機械は直近では50%超を占めるほど急激にシェアを拡大させています。
出所:UN comtrade, December 2022. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
以下は上記の10分類を100分類弱に細分化した分類の上位5品目を取り上げています。
輸出品の上位は85.電気機械(具体的にはスマートフォン、集積回路など)と84.一般機械であり、この2品目で40%程度を占めています。また、同じ機械類の87.自動車も5番目の輸出品目となっています。
また、かつては輸出シェアが2%程度であった94.家具、39.プラスチック製品は直近ではシェアを2倍ほどに拡大させています。
出所:UN comtrade, December 2022. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
輸入の構成
一方、輸入の構成については以下のようになっています。
2021年の輸入の構成は、8.機械が42%、2.鉱物が26%、3.化学製品が11%、残りが22%です。
最大の輸入カテゴリーは8.機械類であり、そのシェアは1992年以降あまり変わっていません。
この期間では5.繊維・アパレルのシェアが減少し、一方で2.鉱物が増加しています。
出所:UN comtrade, December 2022. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
輸入品の具体的な商品を見ると、2021年では85.電気機械が25%、84. 一般機械が9%、90.精密機械が4%と機械類が輸入品の大半を占めていますが、1991年からは84.一般機械から85.電気機械へ輸入品が変わってきています。
また、かつてはあまり輸入シェアが高くなかった、27.石油天然ガス等や26.鉱石については、一貫して拡大傾向にあり、直近ではそれぞれ15%と10%を占めるほどとなっています。
出所:UN comtrade, December 2022. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
貿易相手国の構成
次に貿易相手国を確認します。以下は2021年の貿易相手シェアを表します。
中国の最大の輸出相手国は米国であり、輸出全体の17%を占めています。
また、2~4位は香港、日本、韓国と東アジアとなっており。この3か国で20%を占めています。
なお、上位10カ国で輸出の55%、上位30か国で84%を占めていますが、上位30位にはアフリカ諸国は含まれていません。
出所:UN comtrade, December 2022.
次に、最大の輸入相手国はその他アジア諸国であり輸入全体の9%を占めます。
輸入の上位10カ国は59%、上位30か国では87%を占めていますが、上位30位のうちアフリカ諸国は南アフリカ、アンゴラのみとなっています。
さいごに
中国の貿易の特徴は以下のとおりです。
- リーマンショック以降貿易黒字は縮小し、直近は+1%の黒字収支
- 主な輸出品はかつては繊維・アパレルだったが、現在はスマートフォンなどの電気機械
- 主な輸入品は電気機械や石油天然ガス等など
- 主な輸出相手国は米国、輸入相手国はその他アジア諸国
アフリカ諸国の参考としてご覧ください。