エジプトの貿易:貿易収支、輸出・輸入の構成について。主な輸出品や輸入品は何?

今回はエジプトの貿易について整理します。

なおエジプトの関税率については以下の記事を参照ください。

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貿易収支の推移

早速ですが、以下は1970年以降のエジプトのGDPに占める輸出、輸入および貿易収支のシェアになります。

出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”

エジプトのGDPに占める貿易シェアの推移を示したこのグラフでは、輸出(緑)、輸入(赤)、および純輸出(黄色の折れ線)が1970年から2020年まで分析されています。輸入がGDPの20〜40%の範囲で推移する一方、輸出は10〜30%にとどまっています。その結果、エジプトは一貫して貿易赤字を抱え、2020年にはGDPの約8%の赤字に達しています。

 

輸出の構成

以下は2000年以降のエジプトの輸出品の構成です。

このグラフは、エジプトの輸出構成を2000年から2019年にかけて示しています。主要な輸出品目として、農林水産品・食料品(緑色)、鉱物(灰色)、化学製品(黄色)が年々変化しながら重要な位置を占めています。特に、鉱物(石油や天然ガスなど)が2000年代半ばに急増しており、エジプト経済の輸出依存構造が見て取れます。近年では、機械類、繊維・アパレルの輸出比率も増加傾向にあり、多様化の兆しも見られます。

出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。

 

以下は上記の10分類を100分類弱に細分化した分類の上位5品目を取り上げています。

このグラフは、エジプトの主要な輸出品目の推移を示しています。特に27.石油・天然ガスの輸出が2000年代中頃にピークを迎え、その後は減少傾向にあるのが特徴的です。一方、71.宝石・貴金属や39.プラスチック製品は近年増加しており、輸出品目が多様化していることが伺えます。85.電気機械や8.果物も成長を見せ、特定の産業への依存から脱却する兆しが見られます。

出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。

 

 

 

輸入の構成

一方、輸入の構成については以下のようになっています。

のグラフは、エジプトの輸入構成の推移を示しており、2000年から2019年にかけての主要な輸入品目の割合が視覚化されています。農林水産品(緑)や鉱物(灰色)が一貫して大きな割合を占め、近年では機械類(青色)や金属製品(赤色)の輸入が拡大しています。これにより、エジプトの国内需要の変化や産業構造の課題が読み取れます。

出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。

 

このグラフは、エジプトの主要な輸入品の推移を示しています。特に27.石油・天然ガスの輸入は2010年代に大きく増加し、エネルギー需要が高まっていることがわかります。また、85.電気機械(青色)や84.一般機械も安定的に増加しており、産業機械や電子機器の需要が輸入の大部分を占めています。さらに、10.穀物(黄緑色)や87.自動車(紺色)の割合も増加傾向にあり、国内消費の影響が見えます。

出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。

 

貿易相手国の構成

次に貿易相手を確認します。

以下は2019年の貿易相手シェアを表します。

 

エジプトの輸出および輸入の相手国シェアを示しています。

**輸出シェア(上段グラフ)**では、アメリカ(7.2%)とアラブ首長国連邦(6.8%)が主要な輸出先であり、中東および欧米諸国が上位を占めています。

**輸入シェア(下段グラフ)**では、中国が圧倒的に15.3%を占め、次いでドイツ、アメリカが続きます。これにより、エジプトの輸入依存は特に中国を中心に高いことが分かります。

出所:UN comtrade. 

 

なお、日本はエジプトの輸入の1.5%を占めており、輸入相手国の上位17番目にあたります。

 

さいごに

エジプトの貿易の特徴は以下のとおりです。

  • 50年にわたり貿易赤字が続いている
  • 主な輸出品および輸入品はともに石油天然ガス
  • 最大の輸出相手国はアメリカで輸出全体の7.2%を占め、一方最大の輸入相手国は中国で輸入の15.3%を占める

 

以上となります。引き続き他の国についても調べています。

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