今回はエジプトの貿易について整理します。
なおエジプトの関税率については以下の記事を参照ください。
今回はエジプトの関税率について整理します。 関税率などのデータはWTO Statが公表している、最恵国待遇相手における関税率や免税率などを用いています。 なお、貿易について以下の記事を参照ください。 [[…]
貿易収支の推移
早速ですが、以下は1970年以降のエジプトのGDPに占める輸出、輸入および貿易収支のシェアになります。
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”
エジプトは、輸出はGDPの10-30%、輸入は20-40%で推移しており、経常的に10%前後の貿易赤字が50年ほど続いています。
輸出の構成
以下は2000年以降のエジプトの輸出品の構成です。
2019年のエジプトの輸出は2.鉱物が28%、3.化学製品が18%、1.農林水産品・食料品が17%、5.繊維・アパレルが11%が主で、これらで74%と占めています。
特に2.鉱物の依存は大きく、2006年は輸出の59%を占めています。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
以下は上記の10分類を100分類弱に細分化した分類の上位5品目を取り上げています。
もっとも多いのは先の2.鉱物に含まれる27. 石油天然ガス等で、変動は大きいものの最大の輸入品となっています。
また、近年では71.宝石・貴金属、39.プラスチック製品、85.電気機械、8.果物などの輸出も増加しており、2019年ではそれぞれ輸出の5-7%に相当しています。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
輸入の構成
一方、輸入の構成については以下のようになっています。
2019年の輸入の構成は、8.機械が25%、1.農林水産品・食料品が21%、2.鉱物および3.化学製品がともに16%、7.金属製品が11%、残りが11%です。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
輸入品の具体的な商品を見ると、27.石油天然ガス等が近年では最大の輸入品となっています。
(主な輸出品も27.石油天然ガス等であるため少し奇妙です。貿易統計に中継貿易が含まれている可能性も考えれますが、原因がわかっておりません。わかり次第こちらに追記しようと思います。)
その他には2019年では85.電気機械、84.一般機械がともに9%、10.穀物、87.自動車がそれぞれ7%と6%となっています。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
貿易相手国の構成
次に貿易相手を確認します。
以下は2019年の貿易相手シェアを表します。
エジプトの最大の輸出相手国はアメリカで輸出全体の7.2%に相当します。
また、上位10カ国で輸出の50%、上位30カ国では84%を占めています。
出所:UN comtrade.
一方、最大の輸入相手国は中国で全体の15.3%を占めており、2番目のアメリカとは2倍以上の差があります。
上位10カ国では58%、上位30カ国では88%を占めます。
なお、日本はエジプトの輸入の1.5%を占めており、輸入相手国の上位17番目にあたります。
さいごに
エジプトの貿易の特徴は以下のとおりです。
- 50年にわたり貿易赤字が続いている
- 主な輸出品および輸入品はともに石油天然ガス
- 最大の輸出相手国はアメリカで輸出全体の7.2%を占め、一方最大の輸入相手国は中国で輸入の15.3%を占める
以上となります。引き続き他の国についても調べています。