今回はアルジェリアの労働関連のデータについて簡単に整理します。
アルジェリアの基本情報
アルジェリアの人口は2016年時点で約4,000万人とアフリカでは9番目に人口が多い国です。
人口密度は17人/km2とアフリカ平均の40人/km2の半分以下です。
一方、一人あたりGDPは2016年時点で15,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルと3倍ほどあり、アフリカでは6番目に高い国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
アルジェリアの就業率と失業率、ニート率
就業率
以下は1991年から2019年における男女別の就業率の推移を表しています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
アルジェリアの就業率は過去28年間で35%から38%へ上昇しています。
女性の就業率は男性に比べ著しく低いものの、同期間では10%から14%と改善しており、それにより全体の就業率が改善しております。
失業率
次に失業率について確認します。以下は2019年における失業率のランキングを示します。
2019年におけるアルジェリアの失業率は11.8%とアフリカでは比較的高い失業率となっています。
ただし、もっとも失業率の高い南アフリカ(28.5%)に比べると半分以下の水準です。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
次に1991年から2019年における男女別の失業率の推移について確認します。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
アルジェリアでは1991年には20%ほどであった失業率は1995年には30%を超える水準まで上昇しています。
その後は減少へ転じるものの、女性の失業率は高く留まりしており、2019年には男性の10%に比べ女性は倍の20%となっています。
ニート率
次は就学・就労していない、また職業訓練も受けていない若者、いわゆるニート(NEET:Not in Education, Employment or Training)について確認します。
以下は2005年から2019年におけるニート率を示しています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
日本ではニート率は3-4%程度でしたが、アルジェリアのニート率は非常に高くなっています。
ただし、2005年から2019年にかけて30%から20%へ一貫して減少しています。
男女別では女性のニート率は著しく高く、2019年では男性は11%に対し、女性は30%となっています。
アルジェリアの労働生産性と就業構成
労働生産性
以下は2019年における労働生産性(GDP/就業者数)のランキングを示します。
アルジェリアの労働生産性は44,000ドルであり、アフリカで8番目に高い国です。
なお、日本の労働生産性は77,500ドル、アフリカでもっとも労働生産性の高いガボンの55,700ドルであり、これらの国に比べるとアルジェリアは6-8割程度の水準にあります。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
就業構成
以下は1991年から2019年における労働生産性(GDP/就業者数)と就業者全体に占める女性シェアを示します。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
アルジェリアの労働生産性は過去28年間ではあまり上昇せずに、39,000ドルから43,000ドルの間で変動を繰り返しています。
一方、就業者全体に占める女性シェアは14%ほど18%へ上昇しています。
職業構成
以下は1991年から2019年における職業構成比の推移を表しています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
アルジェリアでは過去28年間で6.農林水産従事者, 9.単純作業従事者や3.技師、准専門職のシェアが減少する一方で、代わりに2.専門職や8.設備・機械の運転・組立工が上昇しています。
以下は2019年の男女別の職業構成比を示します。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
男女別にみると、男性は1.管理職、5.サービス・販売従事者、8.設備・機械の運転・組立工、6.農林水産従事者, 9.単純作業従事者といった職業が多い一方で、
女性は2.専門職、3.技師、准専門職、4.事務補助員が多くなっています。
さいごに
アルジェリアの労働についてまとめると以下のとおりです。
- 就業率は40%程度
- 失業率は11.8%
- 労働生産性は44,000ドル
- 就業者全体に占める女性シェアは18%
引き続き他の国についても調べていきます。