今回はアフリカとの参考国として中国の就業率、失業率、労働生産性などの労働関連のデータについて簡単に整理します。
なお、産業別の労働者数や賃金・労働時間に関しては以下の記事を参照ください。
今回はアフリカとの比較の参考国として中国の産業について整理します。 中国については既に知っていることも多いと思いますが、改めてアフリカ諸国と同一の分析フレームで確認しようと思います。 中国の人口構成については[…]
就業率と失業率、ニート率
就業率
以下は1991年から2022年における男女別の就業率の推移を表しています。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2022.
中国の就業率は約30年間では新型コロナ後の反動を除き一貫して低下傾向にあり、1991年から2019年で77%から64%となっています。
この背景には、高齢化により非勤労者が増加していることが考えられます。
また、男女別に見ると、女性の方が就業率は男性に比べ10ポイントほど低い水準にありますが、傾向については男女ともに似たような推移となっています。
失業率
次に失業率について確認します。以下は2022年における失業率のランキングを示します。
中国の失業率は4.9%と日本に比べると高い水準にあるものの、アフリカ諸国では34-35位に相当しており比較的低い失業率と言えます。
なお、もっとも失業率の高い国は南アフリカの28.5%です。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2022.
次に1991年から2022年における男女別の失業率の推移について確認します。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2022.
中国の失業率は1991年には2%超程度の低水準でしたが、その後は上昇傾向にあり、新型コロナ時の2020年には5%と1991年以降はもっとも高い失業率を記録しますが、2022年には若干改善しています。
また、男女別では一貫して男性の方が高い傾向にあり、1991年には0.5ポイントほどの格差がありましたが、直近ではその格差は1.0ポイントまで拡大しています。
ニート率
次は就学・就労していない、また職業訓練も受けていない若者、いわゆるニート(NEET:Not in Education, Employment or Training)について確認します。
以下は2005年から2022年におけるニート率を示しています。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2022.
中国ではニート率は緩やかに低下傾向にありましたが、今回の新型コロナ時により一時的にニート率は上昇しますが、その後は再度低下傾向となっています。
性別では、男性の方が女性に比べニート率が低くなっており、その格差は15ポイント超で安定しています。
労働生産性と就業構成
労働生産性
以下は2021年における労働生産性(GDP/就業者数)のランキングを示します。
中国の労働生産性は33,000ドルとアフリカ諸国では10位のエスワティニと11位のジブチの間に位置しています。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2022.
就業構成
以下は1991年から2021年における労働生産性(GDP/就業者数)と就業者全体に占める女性シェアを示します。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2022.
中国の労働生産性は1991年には3,000ドルから2021年には33,000ドルと11倍の急増しています。
また、この期間における就業者全体に占める女性シェアは僅かに変動はあるものの、水準そのものは45%程度からあまり変化していません。
職業構成
以下は1991年から2019年における職業構成比の推移を表しています。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2020.
中国ではかつては6-農林漁業従事者, 9-単純作業の従事者のシェアが60%超を占めていましたが、2019年には40%以下まで減少しています。
一方で、5.サービス・販売従事者や7. 技能工及び関連職業の従事者、8.設備・機械の運転・組立工などの職業は拡大傾向にあります。
以下は2019年の男女別の職業構成比を示します。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2020.
中国では1.管理職、7. 技能工及び関連職業の従事者、8.設備・機械の運転・組立工などでは男性の比率が高い一方で、女性では2.専門職、4.事務補助員、5.サービス・販売従事者などの職業の比率が多くなっています。
さいごに
中国の労働についてまとめると以下のとおりです。
- 就業率は64%
- 失業率は4.9%
- 労働生産性は33,000ドル
- 就業者全体に占める女性シェアは45%程度
引き続き他の国についても調べていきます。