今回はアフリカとの参考国として日本の就業率、失業率、労働生産性などの労働関連のデータについて簡単に整理します。
なお、産業別の労働者数や賃金・労働時間に関しては以下の記事を参照ください。
今回はアフリカとの比較の参考国として日本の産業について整理します。 日本については既に知っていることも多いと思いますが、改めてアフリカ諸国と同一の分析フレームで確認しようと思います。 (本来日本については詳細なデータを長期で利用[…]
今回はアフリカ諸国との比較の参考国として、日本の労働統計についてフォーカスしたいと思います。 この記事では、産業別や職業別の平均賃金、また産業別や職業別の平均労働時間についてまとめています。 雇用者の平均賃金 […]
日本の就業率と失業率、ニート率
就業率
以下は1991年から2019年における男女別の就業率の推移を表しています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
日本では過去28年間の就業率はほぼ60%近辺で安定的に推移しています。
しかし、この期間は男性の就業率は76%から70%へ減少しており、女性は50%から52%と増加しており、女性の就業の増加により就業率が保たれていることがわかります。
失業率
次に失業率について確認します。以下は2019年における失業率のランキングを示します。
2019年における日本の失業率は2.4%とアフリカと比較するとかなり低い失業率となっています。
なお、もっとも失業率の高い国は南アフリカの28.5%です。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
次に1991年から2019年における男女別の失業率の推移について確認します。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
失業率は男女ともに類似した推移をしており、1991年では2%ほど失業率は2003年には5%超まで増加しています。
この時期はドットコムバブルの崩壊やイラク戦争などの世界経済の低迷をうけ日本では就職氷河期を迎えていました。
その後は、減少へ転じるものの、2008年のリーマンショックをうけ再度5%超まで増加しています。
しかし、その後は2019年では2%強程度まで改善します。
ニート率
次は就学・就労していない、また職業訓練も受けていない若者、いわゆるニート(NEET:Not in Education, Employment or Training)について確認します。
以下は2005年から2019年におけるニート率を示しています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
日本ではニート率は3-4%程度で推移しています。性別では男性のほうが女性に比べニート率が低くなっていますが、近年では女性のニート率は減少の傾向にあります。
日本の労働生産性と就業構成
労働生産性
以下は2019年における労働生産性(GDP/就業者数)のランキングを示します。
日本の労働生産性は77,500ドルとアフリカでもっとも労働生産性の高いガボンの55,700ドルに比べ4割程度高い水準にあります。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
就業構成
以下は1991年から2019年における労働生産性(GDP/就業者数)と就業者全体に占める女性シェアを示します。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
日本の労働生産性は過去28年間で労働生産性は63,800ドルから77,500ドルと19%ほど上昇しています。
また、この期間における就業者全体に占める女性シェアも40%から44%へ上昇しています。
特にリーマンショック後の2008年以降は急激女性のシェアが拡大しています。
ただし、比較的賃金の低い女性の拡大は労働生産性悪化につながりやすく、2008年以前の労働生産性の改善は年率1.0%であるのに対し、2009年以降では年率0.3%まで減少しています。
職業構成
以下は1991年から2019年における職業構成比の推移を表しています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
日本では5.サービス・販売従事者、2.専門職、3.技師、準専門職のシェアが拡大傾向にある一方で、4.事務補助員、8.設備・機械の運転・組立工、1.管理職は減少傾向にあります。
以下は2019年の男女別の職業構成比を示します。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
日本では賃金が比較的高い1.管理職は男性が3%に対し、女性は1%とシェアにして3倍ほどの乖離がある一方で、4.事務補助員や5.サービス・販売従事者など比較的賃金安い職業は女性が多くなっています。
また、7-技能工及び関連職業の従事者、8-設備・機械の運転・組立工などの肉体労働者については男性が大半を占めています。
さいごに
日本の労働についてまとめると以下のとおりです。
- 就業率は60%程度
- 失業率は2.4%
- 労働生産性は77,500ドル
- 就業者全体に占める女性シェアは44%
引き続き他の国についても調べていきます。