今回はアフリカとの参考国として米国(アメリカ)の就業率、失業率、労働生産性などの労働関連のデータについて簡単に整理します。
なお、産業別の労働者数や賃金・労働時間に関しては以下の記事を参照ください。
今回はアフリカとの比較の参考国として米国(アメリカ)の産業について整理します。 米国(アメリカ)については既に知っていることも多いと思いますが、改めてアフリカ諸国と同一の分析フレームで確認しようと思います。 […]
就業率と失業率、ニート率
就業率
以下は1991年から2022年における男女別の就業率の推移を表しています。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2022.
米国(アメリカ)の就業率は約30年間では2001年のドットコムバブル、2008年のリーマンショック、2020年の新型コロナなどの不景気には就業率が下がる時期もありますが、おおよそ60%近辺で推移しています。
しかし、男女別に見ると、男性の就業率は低下傾向にある一方で、女性の就業率は上昇傾向となっています。
失業率
次に失業率について確認します。以下は2022年における失業率のランキングを示します。
米国(アメリカ)の失業率は3.6%と日本に比べると高い水準にあるものの、アフリカと比較するとかなり低い失業率と言えます。
なお、もっとも失業率の高い国は南アフリカの28.5%です。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2022.
次に1991年から2022年における男女別の失業率の推移について確認します。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2022.
失業率は男女ともに類似した推移をしていますが、2001年のドットコムバブル、2008年のリーマンショックといった景気後退的には男性の失業率が高まる傾向にありましたが、直近の新型コロナでは女性の失業が男性に比べて高くなっています。
この背景には男性は製造業、建設などで雇用されていることが多い一方で、女性は飲食などのサービス業に従事していることが多いなどの影響があるかと思われます。
ニート率
次は就学・就労していない、また職業訓練も受けていない若者、いわゆるニート(NEET:Not in Education, Employment or Training)について確認します。
以下は2005年から2022年におけるニート率を示しています。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2022.
米国(アメリカ)ではニート率はリーマンショック後の2009年に上昇していますが、その後は一貫して減少傾向にありました。
しかし、今回の新型コロナ時により再びニート率は急増しますが、再度減少傾向となっています。
性別では、男性の方が女性に比べニート率が低くなっていますが、近年ではその格差は縮まりつつあります。
労働生産性と就業構成
労働生産性
以下は2021年における労働生産性(GDP/就業者数)のランキングを示します。
米国(アメリカ)の労働生産性は131,000ドルとアフリカでもっとも労働生産性の高いリビアの74,000ドルの2倍近い水準にあります。
また、もっとも労働生産性の低いブルンジ(1,700ドル)に比べると70倍以上となっています。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2022.
就業構成
以下は1991年から2021年における労働生産性(GDP/就業者数)と就業者全体に占める女性シェアを示します。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2022.
米国(アメリカ)の労働生産性は1991年には85,000ドルから2021年には131,000ドルと50%ほど上昇しています。
また、この期間における就業者全体に占める女性シェアは45%から46%へ僅かに上昇しています。
特にリーマンショック後の2009年には、男性の失業率が高まったことで女性の就業率は一時的に高まっています。
職業構成
以下は1991年から2019年における職業構成比の推移を表しています。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2020.
米国(アメリカ)では2.専門職のシェアが一貫して拡大傾向にある一方で、4.事務補助員、7. 技能工及び関連職業の従事者、8.設備・機械の運転・組立工は減少傾向にあります。
以下は2019年の男女別の職業構成比を示します。
出所:ILO Modelled Estimates, November 2020.
米国(アメリカ)では1.管理職、7. 技能工及び関連職業の従事者、8.設備・機械の運転・組立工などでは男性の比率が高い一方で、女性では2.専門職、4.事務補助員、5.サービス・販売従事者などの職業の比率が多くなっています。
さいごに
米国(アメリカ)の労働についてまとめると以下のとおりです。
- 就業率は60%程度
- 失業率は3.6%
- 労働生産性は131,000ドル
- 就業者全体に占める女性シェアは46%
引き続き他の国についても調べていきます。