今回はケニアの銀行と金融に関する経済データを整理します。
なお、この記事は世界銀行(World Bank)が公開しているデータベース(WDI: World Development Indicators)を用いています。
ケニアの基本情報
ケニアはソマリア、エチオピア、ウガンダ、タンザニアを隣国にもつ東アフリカの国です。
ケニアの人口は2016年時点で約4,700万人とアフリカでは7番目に人口が多い国です。
人口密度は81人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍ほどです。
一人あたりGDPは2016年時点で3,200ドルとアフリカ平均の5,000ドルの6割程度です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
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ATM台数
ここでは海外旅行する方には気になるであろう、ATMの設置台数について扱います。
以下は人口10万人あたりのATM設置台数のランキングを表しています。
なお、ここでは参考として日本、米国、中国も併記しており、例えば日本では人口10万人あたり117台となっています。
ケニアにおいては、10万人あたり6.9台と日本に比べ1/10以下の水準ですが、アフリカ諸国の中では27位と中位に位置しています。
出所:World Bank, World Development Indicators, October 2023.
預金金利・貸出金利
次に銀行口座の預金金利と銀行からの貸出金利を扱います。
以下はアフリカ諸国における預金金利(左図)と貸出金利(右図)のランキングを表しています。
また、同様に参考国として日本、米国、中国も併記しています。(ただし、預金金利については米国のデータは利用できません。)
ケニアにおいては預金金利は6.7%とアフリカ諸国では11位、貸出金利では12.1%で19位と比較的上位に位置しています。
出所:World Bank, World Development Indicators, October 2023.
以下では、ケニアにおける銀行の預金金利と貸出金利および金利スプレッド(貸出金利と預金金利の差分)の時系列の推移を表しています。
また、金利と相関のあるCPIも併記しています。
預金金利についてはCPIよりは安定的でまたCPIよりやや低い水準で推移しています。
また、貸出金利については預金金利に+5%~+10%程度で推移しており、それは金利スプレッドからも確認できます。
出所:World Bank, World Development Indicators, October 2023.
金利はインフレ下では高くなる傾向があるため、インフレの影響を除いた実質の貸出金利の推移を表しています。
なお、ここでは貸出金利をGDPデフレータで除することで実質化をおこなっています。
実質貸出金利を見ると、定期的にマイナス金利となるものの、基本的には5%~10%程度のプラス金利で推移することが多くなっています。
出所:World Bank, World Development Indicators, October 2023.
銀行の自己資本比率と不良債権比率
以下はアフリカ諸国における銀行の自己資本比(左図)と不良債権比率(右図)のランキングを表しています。
また、同様に参考国として米国、中国も併記しています。(なお、日本のデータはWDIでは公表されておりません。)
ケニアにおいては銀行の自己資本比は12.0%とアフリカ諸国32か国中9位、不良債権比率では11.1%で32か国中11位と比較的上位に位置しています。
出所:World Bank, World Development Indicators, October 2023.
以下では、ケニアにおける銀行の自己資本比率と不良債権比率の時系列の推移を表しています。
銀行の自己資本比率は2000年代後半では比較的安定しており、おおよそ12%前後で推移しています。
一方、不良債権比率は2006年では12%ほどでしたが2011年には4%ほどまで改善したのち、直近では10%超ほどまで悪化しています。
出所:World Bank, World Development Indicators, October 2023.
上場企業数と時価総額
ここでは株式市場について扱います。
以下はアフリカ諸国における上場企業数(左上図)、上場企業1社あたりの平均時価総額(右上図)、上場企業全体の時価総額合計(左下図)、GDPに対する上場企業時価総額比率(右下図)のランキングを表しています。
また、同様に参考国として日本、米国、中国も併記しています。
はじめに上場企業数(左上図)を見ると、ケニアは60社であり、アフリカ諸国17か国中8位に位置していますが、その数は日本や米国と比べて1/50以下の水準です。
次に上場企業の1社あたりの時価総額(右上図)では、ケニアは3.6億ドルでアフリカ諸国14か国中4位であり、日本よりも1/5ほどの水準となっています。
全上場企業の時価総額全体(左下図)のランキングでは、ケニアは210億ドルでアフリカ17か国中5位ですが、その水準は米国(41兆ドル)の1%にも満たしません。
最後にGDPに対する上場企業時価総額比率(右下図)、いわゆるバフェット指数と言われる指標では、ケニアは21%でアフリカ17か国中7位で平均的な水準となっています。
出所:World Bank, World Development Indicators, October 2023.
以下のでは上記で取り上げたデータの時系列の推移を表しています。
ケニアは1995年では上場企業数は50社ほどで、その後は比較的安定しており、直近では60社ほどとなっています。
また、上場企業1社あたりの時価総額は為替の影響もあり変動はあるものの、1995年の0.5億ドルほどから直近では4億ドルほどまで上昇しています。
出所:World Bank, World Development Indicators, October 2023.
次に市場全体の時価総額の推移をみると、1995年では20億ドルほどでしたが、2000年以降急激に上昇し、直近では200億ドルに達しています
また、時価総額の上昇にともないGDPに対する上場企業時価総額合計(バフェット指数)は2000年では10%ほどでしたが、直近では25%ほどとなっています。
出所:World Bank, World Development Indicators, October 2023.
さいごに
今回はケニアにおける銀行と金融市場について見てきました。
ATM台数については海外旅行者、金利については現地滞在者やビジネスマン、株式市場に関するデータは投資家の方々の参考になれれば幸いです。
なお、以下では米国の株式市場に上場しているアフリカの企業についてまとめていますので、よろしければご覧ください。
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