今回はコンゴ共和国の経済予測について取り上げます。
使用しているデータは国際通貨機関（IMF）が年に2~4回刊行しているWorld Economic Outlook（WEO）を用いています。
WEOでは最新のデータに基づき予測を毎回改訂していますので、過去のデータを顧みることで予測の不確実性を理解したうえで有益なツールとして使用することが望まれます。
コンゴ共和国の基本情報
コンゴ共和国は中央アフリカの国で、コンゴ民主共和国、ガボン、赤道ギニア、カメルーン、中央アフリカ共和国の5か国と接しています。
コンゴ共和国の人口は2016年時点で約500万人で、アフリカでは比較的小さな国です。
一方、一人あたりGDPは2016年時点でアフリカ平均5,000ドルよりも高い6,300ドルです。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
今回は2000年以降のアフリカ諸国におけるGDP成長率の相関係数を確認してみます。 まずは、アフリカ諸国のGDPの規模について見てみます。 GDPランキング 以下は2016年のアフリカ諸国におけるGDPランキン[…]
国際比較ランキング
GDP成長率
以下のグラフは2022~2028年におけるアフリカ諸国の実質GDP成長率のランキングを示しています。
また、参考国として米国、中国および日本を並記しています。当該期間では、中国は4.0%、米国は1.8%、日本は0.8%と予測されており、t日米に関してはアフリカ諸国と比較すると非常に低水準となっています。
コンゴ共和国に関しては、同期間では3.9%ほどの経済成長を見込まれており、アフリカ諸国の中では34番目に高い水準となっています。
出所：World Economic Outlook Database, April 2023
時系列推移
GDP成長率・一人あたりGDP
以下は2000年以降のGDP成長率（左図）および世界に占めるGDPシェア（右図）の実績値と過去の数時点および直近（Latest）のWEOの予測を表しています。
コンゴ共和国のGDP成長率は2000年代では-5~10%の間で大きく変動しながら推移していますが、2010年代以降では経済成長は減速し、特に2010年代半ばにはマイナス成長が続いています。
そのため、過去のWEOの予測を見ると、基本的には5%以下であることが多く、直近のWEOにおいても2028年にかけて4%ほどとなっています。
また、世界に占めるGDPシェアは非常に小さく実績値は2000年の0.03%でしたが、直近では0.02%ほどまで水準を落としています。
出所：World Economic Outlook Database, April 2023
次に以下のグラフは一人あたりの実質GDPの推移を表しています。
出所：World Economic Outlook Database, April 2023
単位は国際比較で用いられる2017年PPP換算（米ドル）を用いています。PPPについては以下の記事でまとめていますので、こちらも参照ください。
今回はアフリカ各国の物価の違いについて整理します。 国際間の物価の違いを表す経済データとして、購買力平価（PPP）というものがあります。今回はこのPPPを用います。 購買力平価（PPP）とは 総務省によると ※ 購買力平価（Pu[…]
一人あたりGDPについては、2000年では5,500ドルほどであり、2010年代前半には6,500ドルほどまで上昇しますが、2022年には4,000ドルほどまで下落しています。
なお、最新のWEOでは2028年にかけて4,500ドルほどまで回復すると見込まれています。
インフレ率
以下は2000年以降の年次インフレ率（左図）および2000年を基準としたインフレ指数（右図）の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。
コンゴ共和国ではインフレ率はおおよそ5%以下で変動して推移していますが、平均すると3%ほどであることから、WEOの予測もおおよそ3%ほどで見込まれることが多いです。
同様に、直近のWEOでは2022年は3.5%ほどのインフラが見込まれていますが、2028年にかけて3%程度まで収束すると見られています。
また、インフレ指数は2000年を100とすると、実績値では2022年は180ほどとなり、さらに2027年の見込みでは200程度まで上昇すると見込まれています。
出所：World Economic Outlook Database, April 2023
なお、過去の物価変動について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
今回はコンゴのCPIおよびデフレータについて整理します。 なお、ここでは国内での物価の成長率について取り上げます。 物価水準の国際比較については、以下の記事などを参照ください。 [sitecard subtitle=関連記[…]
政府の歳入歳出・負債
以下は2000年以降の政府の歳入（左図）と歳出（右図）の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。
2000年ではGDP比で歳入は25%、歳出は23%ほどと黒字収支構造であり、2022年では歳入はGDP比で31%、歳出は25%と引き続き黒字構造が継続しています。
また、直近のWEOの予測では2028年ではそれぞれ29%と24%と見込まれており、依然黒字構造が維持されると予測されています。
出所：World Economic Outlook Database, April 2023
さらに以下は政府の総負債（左図）と純負債（右図）の推移を表しています。（ただし、コンゴ共和国では純債務のデータは利用できません。）
なお、純負債は総負債から債務証券に対応する金融資産（金・SDR、通貨・預金、負債証券、貸付金、保険・年金・標準保証制度、その他売掛金など）を除いたものをさします。
出所：World Economic Outlook Database, April 2023
コンゴ共和国のGDPに対する総負債比は2000年では140ほどでしたが、2012年には30ほどまで改善しています。
しかし、その後は上昇し2022年には100ほどまで上昇しますが、直近のWEOでは2028年には80ほどまで改善すると見込まれています。
さいごに
今回使用しているWEOは常時データを改訂しています。
特に近年では新型コロナの状況により予測値が大幅に改訂することありますので、新型コロナについて状況を知りたい場合は以下の記事を参照ください。
今回はコンゴ共和国の新型コロナの感染状況とワクチン接種状況について簡単に整理します。 コンゴ共和国の基本情報 コンゴ共和国は中央アフリカの国で、コンゴ民主共和国、ガボン、赤道ギニア、カメルーン、中央アフリカ共和国の5[…]