南アフリカの経済予測:World Economic Outlook Database, October 2022

今回は南アフリカの経済予測について取り上げます。

使用しているデータは国際通貨機関(IMF)が年に2~4回刊行しているWorld Economic Outlook(WEO)を用いています。

WEOでは最新のデータに基づき予測を毎回改訂していますので、過去のデータを顧みることで予測の不確実性を理解したうえで有益なツールとして使用することが望まれます。

 

南アフリカの基本情報

 

南アフリカの人口は2016年時点で約5,500万人とアフリカでは6番目に人口の多い国です。

人口密度は45人/km2とアフリカ平均の40人/km2とほぼ近い水準にあります。

 

一人あたりGDPは2016年時点で13,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの2倍以上です。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

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国際比較ランキング

GDP成長率

以下のグラフは2021~2027年におけるアフリカ諸国の実質GDP成長率のランキングを示しています。

また、参考国として米国と日本を並記しています。当該期間では、米国は2.2%、日本は1.2%と予測されており、アフリカ諸国と比較すると非常に低水準となっています。

 

南アフリカに関しては、同期間では1.9%ほどの経済成長を見込まれており、アフリカ諸国の中では52番目に高い水準となっています。

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

 

なお、過去における経済成長について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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時系列推移

GDP成長率・一人あたりGDP

以下は2000年以降のGDP成長率(左図)および世界に占めるGDPシェア(右図)の実績値(Actual)と過去の数時点および直近(Latest)のWEOの予測を表しています。

南アフリカのGDP成長率はリーマンショックの2009年と新型コロナの2020年を除けば、2000年以降0-6%の間で推移しており、過去のWEOについてもこの範囲で収まっています。

WEOの2006年9月版のGDP成長率予測を除くと、WEOの予測値はつねに実績を上回る結果となっています。

なお、直近のWEOによると2022年と2023年のGDP成長率は2.1%、1.1%とみられており、2027年の1.4%にかけて徐々に加速すると予測されています。

 

また、世界に占めるGDPシェアを見えると、水準の改訂はあるものの、推移としては予測値と実績値でおおよそ類似しています。

GDPシェアは2000年では0.75%ほどでしたが、2021年では0.6%であり、さらに2027年には0.55%ほどまで縮小すると見られています。

なお、水準が改訂しているのは、GDP統計は随時データの推計方法や会計概念が拡張するため、その影響によるものと考えられます。

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

 

次に以下のグラフは一人あたりの実質GDPの推移を表しています。

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

 

単位は国際比較で用いられる2017年PPP換算(米ドル)を用いています。PPPについては以下の記事でまとめていますので、こちらも参照ください。

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一人あたりGDPについては、2000年では11,000ドルほどでしたが、2021年では13,000ドルとなりましたが、その後は2027年かけて横ばいと見込まれています。

 

インフレ率

以下は2000年以降の年次インフレ率(左図)および2000年を基準としたインフレ指数(右図)の実績値(Actual)と過去の数時点および直近(Latest)のWEOの予測を表しています。

 

南アフリカのインフレ率は変動はありつつも2010年以降であればおおよそ5%前後で推移しています。

直近のWEOによると、2022年では6.7%程度のインフレを見込まれていますが、2027年には4.5%ほどにまで収束すると見られています。

 

またインフレ指数をみると、おおよそ過去のWEOの推移は実績値と近似していることが確認できます

インフレ指数は2000年を100とすると、2021年では300ほどとなっており、さらに2027年には400ほどまで上昇すると見込まれています。

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

 

なお、過去の物価変動について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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失業率

以下は2000年以降の失業率の実績値(Actual)と過去の数時点および直近(Latest)のWEOの予測を表しています。

南アフリカの失業率はおおよそ25%前後で推移していますが、2021年では新型コロナの影響により35%ほぼまで急増しており、直近のWEO2022/10では2027年には40%近くまでさらに悪化すると見込まれています。

過去のWEOの予測を見ると予測値は実績値を下回っていることから、失業率はさらに悪化する可能性は高いと思われます。

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

なお、過去の失業率や労働について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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政府の歳入歳出・負債

以下は2000年以降の政府の歳入(左図)と歳出(右図)の実績値(Actual)と過去の数時点および直近(Latest)のWEOの予測を表しています。

2000年ではGDP比で21%ほどの歳入、23%ほどの歳出と赤字収支構造となっており、2021年ではそれぞれ27%と33%とさらに赤字収支は拡大しています。

さらに直近のWEOの予測では2027年ではそれぞれ27%と34%と見込まれており、赤字収支構造は継続すると見られてます。

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

 

さらに以下は政府の総負債(左図)と純負債(右図)の推移を表しています。

なお、純負債は総負債から債務証券に対応する金融資産(金・SDR、通貨・預金、負債証券、貸付金、保険・年金・標準保証制度、その他売掛金など)を除いたものをさします。

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

南アフリカのGDPに対する総負債比と純負債比は2000年ではそれぞれ38と37ほどでしたが、2021年には69と63まで上昇しており、さらに直近のWEOでは2027年にはそれぞれ84と82まで悪化すると見込まれています。

 

さいごに

今回使用しているWEOは常時データを改訂しています。

特に近年では新型コロナの状況により予測値が大幅に改訂することありますので、新型コロナについて状況を知りたい場合は以下の記事を参照ください。

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