スーダンの経済予測:World Economic Outlook Database, October 2023

今回はスーダンの経済予測について取り上げます。

使用しているデータは国際通貨機関(IMF)が年に2~4回刊行しているWorld Economic Outlook(WEO)を用いています。

WEOでは最新のデータに基づき予測を毎回改訂していますので、過去のデータを顧みることで予測の不確実性を理解したうえで有益なツールとして使用することが望まれます。

 

スーダンの基本情報

スーダンはリビア、エジプト、チャド、南スーダン、中央アフリカ共和国、エチオピア、エリトリアを隣国にもつ北アフリカの国です。

スーダンの人口は2016年時点で約4,100万人とアフリカで8番目に人口の多い国です。

一方、人口密度は22人/km2とアフリカ平均の40人/km2の半分程度です。

 

一人あたりGDPは2016年時点で4,300ドルとアフリカ平均の5,000ドルの9割程度です。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

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国際比較ランキング

GDP成長率

以下のグラフは2023~2028年におけるアフリカ諸国の実質GDP成長率のランキングを示しています。

また、参考国として米国、中国および日本を並記しています。当該期間では、中国は4.1%、米国は1.9%、日本は0.8%と予測されており、日米に関してはアフリカ諸国と比較すると非常に低水準となっています。

 

スーダンに関しては、同期間では0.5%ほどの経済成長を見込まれており、アフリカ諸国の中では53番目に高い水準となっています。

予測GDP成長

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

時系列推移

GDP成長率・一人あたりGDP

以下は2000年以降のGDP成長率(左図)および世界に占めるGDPシェア(右図)の実績値と過去の数時点および直近(Latest)のWEOの予測を表しています。

スーダンのGDP成長率は2010年代では比較的安定して成長していましたが、2010年代では2012年や2010年代後半にマイナス成長となるなど、経済が不安定化しています。

 

直近のWEOの予測においては2023年には-20%ほどと経済が衰退するなど見込まれているものの、2028年では5%程度まで回復すると予測されています。

 

世界に占めるGDPシェアは2000年では0.17%ほどでしたが、2022年には0.12%ほどまで下がり、2028年ではさらに0.10%ほどまで低下するとみられています。

スーダンのGDP予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

次に以下のグラフは一人あたりの実質GDPの推移を表しています。

スーダンの一人あたりGDP予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

単位は国際比較で用いられる2017年PPP換算(米ドル)を用いています。PPPについては以下の記事でまとめていますので、こちらも参照ください。

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一人あたりGDPについては、2000年では4,000ドルほどであり、2008年には5,000ドルほどまで上昇したものの、2022年には4,000ドル以下まで低下しています。

また、最新のWEOでは2028年では3,000ドルほどまでさらに低下すると見込まれています。

 

インフレ率

以下は2000年以降の年次インフレ率(左図)および2000年を基準としたインフレ指数(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。

 

スーダンではインフレ率は2000年代では10%以下で安定していましたが、2010年代では10%以上が常時となり、さらに2020年以降は100%を超えるなどハイパーインフレの状況となっています。

なお、直近のWEOでは2023年以降も高いインフレ状況にあり、2028年でやっと50%以下まで低下する見込みとなっています。

 

インフレ指数は2000年を100とすると、実績値では2022年は10万ほどとなり、さらに2028年の見込みでは500万程度まで上昇すると見込まれています。

スーダンのインフレ率予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

なお、過去の物価変動について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

 

失業率

以下は2000年以降の失業率の実績値(Actual)と過去の数時点および直近(Latest)のWEOの予測を表しています。

スーダンの失業率は2000年では15%ほどでしたが、2013年からは上昇傾向となり、2022年には30%超まで上昇しています。

また、直近の予測によると2024年では45%超まで上がりますが、2028年には40%超程度まで低下すると見込まれています。

スーダンの失業率

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

なお、過去の失業率や労働について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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政府の歳入歳出・負債

以下は2000年以降の政府の歳入(左図)と歳出(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。

2000年ではGDP比で歳入は10%、歳出も10%と均衡財政でしたが、2022年になると歳入はGDP比で15%、歳出は18%と赤字に転化しています。

また、直近のWEOの予測では2028年ではともに18%と見込まれており、均衡収支へ改善すると予測されています。

スーダンの歳出歳入

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

さらに以下は政府の総負債(左図)と純負債(右図)の推移を表しています。

なお、純負債は総負債から債務証券に対応する金融資産(金・SDR、通貨・預金、負債証券、貸付金、保険・年金・標準保証制度、その他売掛金など)を除いたものをさします。

(ただし、スーダンについては純負債のデータは公表されておりません。)

スーダンの債務

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

スーダンのGDPに対する総負債比は2000年では150ほどでしたが、2008年には50ほどまで改善するものの、その後は上昇へ転じ、2022年には180ほどまで悪化しています。

しかし、直近のWEOでは2028年には250ほどまで悪化すると見込まれています。

 

さいごに

今回使用しているWEOは常時データを改訂しています。

特に近年では新型コロナの状況により予測値が大幅に改訂することありますので、新型コロナについて状況を知りたい場合は以下の記事を参照ください。

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