中国の為替レートと物価水準(PLI: Price level Index)

今回は参考国として、中国の為替レートと物価水準(PLI: Price level Index)について整理します。

なお、物価水準の国際比較については、以下の記事なども参照ください。

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為替レートと実効為替レート

以下は対米ドルに対する為替レートと実質実効為替レート(右軸)の推移を示しています。

為替レートに関しては、1960年では1ドル=2.5中国元でしたが、1980年以降通貨安がすすみ、2022年には1ドル=6.7中国元程度となっています。

 

次に実効為替レートについてですが、これは「通貨の実力」を表す指数として言われます。

通常の為替レートでは特定の二国間の通貨によりレートが決定される一方で、実際には多国間での取引が生じているため、これらを考慮した通貨の関係を示すには実効為替レートが有効とされています。

日本銀行の説明によると

実効為替レートは、特定の2通貨間の為替レートをみているだけでは捉えられない、相対的な通貨の実力を測るための総合的な指標です。具体的には、対象となる全ての通貨と日本円との間の2通貨間為替レートを、貿易額等で計った相対的な重要度でウエイト付けして集計・算出します。

とされており、国際決済銀行(Bank for International Settlements、BIS)が公表しています。

作成方法やカバレッジ、ウエイト等の詳細については、BISのホームページ(外部サイトへのリンク)を参照してください。

 

実効為替レートについては物価上昇を含む名目実効為替レートと物価上昇の除いた実質実効為替レートの2種類がありますが、ここでは実質実効為替レートを可視化しています。

 

実質実効為替レートは1995年を底として、それ以降上昇傾向にあります。

中国の為替レートと実行為替レート

出所:World Development Indicators, February 2024.

 

物価水準ランキング(GDP物価水準と家計消費物価水準)

次に1990年以降における物価水準について確認します。

以下は、GDP(家計消費、政府消費、投資、貿易の合計)の物価水準を表します。

米国の物価水準を基準(1.0)とすると、日本の物価は0.74と安くなっています。

一方、中国は0.59となっており、アフリカ諸国と比べると比較的高くなっています。

GDPの物価水準

出所:World Development Indicators, February 2024.

 

次に、一般家計に関係する家計消費の物価水準のランキングを見ると、日本は米国よりも16%ほど安い物価と言えます。

一方、中国は0.57とGDPの物価水準よりはやや低い同水準となっています。

家計消費の物価水準

出所:World Development Indicators, February 2024.

 

物価水準の推移

次に物価水準の推移を確認します。

物価水準については基本的には米ドルなどを用いて共通通貨により評価をおこなうため、為替レートの影響を直接的にうけます。

そのため短期的に変動の大きい為替レートの影響を考慮して時系列でデータを見る必要もあります。

 

以下のグラフは、GDPの物価水準と家計消費の物価水準の推移を表しています。

GDPの物価水準は1990年では0.35程度でしたが、直近では0.6ほどまで上昇しています。

同様に、家計消費の物価水準は1990年の時点で0.5ほどの水準でしたが、直近では0.6ほどまで上昇しています。

中国の物価水準

出所:World Development Indicators, February 2024.

 

GDPの物価水準の内訳を見ると、2017年時点ではGDPの物価水準が0.62に対して、家計消費は0.61、政府消費は0.55、総資本形成(投資+在庫)は0.69、貿易は1.01となっています。

 

総資本形成の内訳では、国内で機械・設備の投資財の製造が難しいものもあることから輸入に頼るケースが多く、その結果非常に高い物価水準となる一方で、建設については国内労働者の低賃金を反映して安い物価水準となっています。

中国の最終消費の物価水準

出所:ICP2017.

 

次に商品別の物価水準を見ると、食料品は他の商品に比べて価格が高く、特に乳製品、油脂類、フルーツ、菓子類、アルコール飲料は米国以上に高価となっています。

 

上記で挙げた財以外についてはおおよそ0.4-0.7ほどとなっています。中国の物価水準

出所:ICP2017.

 

 

さいごに

今回は為替レートと物価水準に関して、過去のデータを整理しました。

一方で、国内物価の変動自体については、CPIおよびデフレータについて取り上げている以下の記事を参照ください。

 

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