ナイジェリアの為替レートと物価水準(PLI: Price level Index)

今回はナイジェリアの為替レートと物価水準(PLI: Price level Index)について整理します。

なお、物価水準の国際比較については、以下の記事なども参照ください。

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ナイジェリアの基本情報

ナイジェリアはカメルーン、チャド、ニジェール、ベナンを隣国にもつ西アフリカの国です。

ナイジェリアの人口は2016年時点で約1.9億人とアフリカではもっとも人口が多い国です。

また人口密度は202人/km2とアフリカ平均の40人/km2の5倍以上であり、アフリカでは7番目に人口密度の高い国です。

 

一人あたりGDPは2016年時点で5,800ドルとアフリカ平均の5,000ドルとほぼ同程度となっています。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

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為替レートと実効為替レート

以下は対米ドルに対する為替レートと実質実効為替レート(右軸)の推移を示しています。

為替レートに関しては、1960年では1ドル=0.7ナイラでしたが、一貫してナイラは通貨安となり、2020年には1ドル=360ナイラ程度となっています。

 

次に実効為替レートについてですが、これは「通貨の実力」を表す指数として言われます。

通常の為替レートでは特定の二国間の通貨によりレートが決定される一方で、実際には多国間での取引が生じているため、これらを考慮した通貨の関係を示すには実効為替レートが有効とされています。

日本銀行の説明によると

実効為替レートは、特定の2通貨間の為替レートをみているだけでは捉えられない、相対的な通貨の実力を測るための総合的な指標です。具体的には、対象となる全ての通貨と日本円との間の2通貨間為替レートを、貿易額等で計った相対的な重要度でウエイト付けして集計・算出します。

とされており、国際決済銀行(Bank for International Settlements、BIS)が公表しています。

作成方法やカバレッジ、ウエイト等の詳細については、BISのホームページ(外部サイトへのリンク)を参照してください。

 

実効為替レートについては物価上昇を含む名目実効為替レートと物価上昇の除いた実質実効為替レートの2種類がありますが、ここでは実質実効為替レートを可視化しています。

 

1980年~2000年では名目の為替レートは通貨安が進んでおり、それに類似して実質実効為替レートにおいても変動は大きいものの下落傾向(通貨安)となっています。

しかし、2000年以降においては、名目の為替レートは一気に通貨安が進んでいるますが、実質実効為替レートにて評価すると逆に緩やかに上昇傾向(通貨高)と異なる傾向となっています。ナイジェリアの為替レートと実質実効為替レート

出所:World Development Indicators, December 2022.

 

物価水準ランキング(GDP物価水準と家計消費物価水準)

次に1990年以降における物価水準について確認します。

以下は、GDP(家計消費、政府消費、投資、貿易の合計)の物価水準を表します。

米国の物価水準を基準(1.0)とすると、日本の物価は0.91とやや安くなっています。

一方、ナイジェリアについては0.4であり、アフリカ諸国においては27番目であり、中国と比べても物価が安くなっています。
GDPの物価水準

出所:World Development Indicators, December 2022.

 

次に、一般家計に関係する家計消費の物価水準のランキングを見ると、日本は米国よりも2%ほど高い物価と言えます。

一方、ナイジェリアは0.42となっており、GDPの物価水準と類似しており、アフリカ諸国では27番目と中位に位置しています。

家計消費の物価水準

出所:World Development Indicators, December 2022.

 

物価水準の推移

次に物価水準の推移を確認します。

物価水準については基本的には米ドルなどを用いて共通通貨により評価をおこなうため、為替レートの影響を直接的にうけます。

そのため短期的に変動の大きい為替レートの影響を考慮して時系列でデータを見る必要もあります。

 

以下のグラフは、GDPの物価水準と家計消費の物価水準の推移を表しています。

1990年代においては為替レートの変動の影響もあり、1990年代後半には急激に高まる時期もありましたが、2000年以降で見るとGDPの物価水準は0.2から0.4へ、家計消費の物価水準も0.3から0.4へ上昇しています。ナイジェリアの物価水準

出所:World Development Indicators, December 2022.

 

GDPの物価水準の内訳を見ると、2017年時点ではGDPの物価水準が0.38に対して、家計消費は0.37、政府消費は0.21、総資本形成(投資+在庫)は0.66、貿易は1.01となっています。

特に総資本形成の内訳では、国内で機械・設備の投資財の製造が難しいことから輸入に頼るケースが多く、その結果非常に高い物価水準となる一方で、建設については国内労働者の低賃金を反映して安い物価水準となっています。ナイジェリアの最終消費の物価水準

出所:ICP2017.

 

次に財別の物価水準を見ると、食品・飲料は0.68であり、内訳では特に肉、魚介類、フルーツなどが非常に安くなっている一方で、菓子類は輸入品が多いのか物価が高くなっています。

また、食品・飲料以外の財を見ると、総じて0.2~0.3と非常に安い物価水準となっていますが、運輸については内訳の自動車の物価が1.09と例外的に高いため、0.61と比較的高くなっています。

ナイジェリアの財別物価水準

出所:ICP2017.

 

 

さいごに

今回は為替レートと物価水準に関して、過去のデータを整理しました。

一方で、国内物価の変動自体については、CPIおよびデフレータについて取り上げている以下の記事を参照ください。

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今回はナイジェリアのCPIおよびデフレータについて整理します。 なお、ここでは国内での物価の成長率について取り上げます。 物価水準の国際比較については、以下の記事などを参照ください。 [sitecard subtitle=[…]

 

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