ウガンダの為替レートと物価水準(PLI: Price level Index)

今回はウガンダの為替レートと物価水準(PLI: Price level Index)について整理します。

なお、物価水準の国際比較については、以下の記事なども参照ください。

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ウガンダの基本情報

ウガンダはルワンダ、コンゴ民主共和国、ケニア、タンザニア、南スーダンの国境の境目に位置する東アフリカの国です。

 

ウガンダの人口は2016年時点で約4,000万人で、アフリカ54カ国中では10番目に人口が多い国です。

また人口密度も高くアフリカで9番目に人口が密集する国です。

 

一人あたりGDPは2016年時点で2,100ドルとアフリカ平均の5,000ドルの4割程度です。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

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為替レートと実効為替レート

以下は対米ドルに対する為替レートと実質実効為替レート(右軸)の推移を示しています。

為替レートに関しては、1960年では1ドル=0.1ウガンダ・シリング でしたが、1985年以降は一貫して通貨安となり、2021年には1ドル=3600ウガンダ・シリング 程度となっています。

 

次に実効為替レートについてですが、これは「通貨の実力」を表す指数として言われます。

通常の為替レートでは特定の二国間の通貨によりレートが決定される一方で、実際には多国間での取引が生じているため、これらを考慮した通貨の関係を示すには実効為替レートが有効とされています。

日本銀行の説明によると

実効為替レートは、特定の2通貨間の為替レートをみているだけでは捉えられない、相対的な通貨の実力を測るための総合的な指標です。具体的には、対象となる全ての通貨と日本円との間の2通貨間為替レートを、貿易額等で計った相対的な重要度でウエイト付けして集計・算出します。

とされており、国際決済銀行(Bank for International Settlements、BIS)が公表しています。

作成方法やカバレッジ、ウエイト等の詳細については、BISのホームページ(外部サイトへのリンク)を参照してください。

 

実効為替レートについては物価上昇を含む名目実効為替レートと物価上昇の除いた実質実効為替レートの2種類がありますが、ここでは実質実効為替レートを可視化しています。

 

実質実効為替レートは1980年以降急激に価値が低下しましたが(通貨安)、2000年以降はほぼ横ばいで推移しています。

ウガンダの為替レートと実質実効為替レート

出所:World Development Indicators, December 2022.

 

物価水準ランキング(GDP物価水準と家計消費物価水準)

次に1990年以降における物価水準について確認します。

以下は、GDP(家計消費、政府消費、投資、貿易の合計)の物価水準を表します。

米国の物価水準を基準(1.0)とすると、日本の物価は0.91とやや安くなっています。

一方、ウガンダは0.37とアフリカ諸国においては37番目に低い物価水準であり、中国と比べても半分程度にとどまっています。
GDPの物価水準

出所:World Development Indicators, December 2022.

 

次に、一般家計に関係する家計消費の物価水準のランキングを見ると、日本は米国よりも2%ほど高い物価と言えます。

一方、ウガンダは0.34とGDPの物価水準と類似しており、アフリカ諸国では40番目と下位に位置しています。

家計消費の物価水準

出所:World Development Indicators, December 2022.

 

物価水準の推移

次に物価水準の推移を確認します。

物価水準については基本的には米ドルなどを用いて共通通貨により評価をおこなうため、為替レートの影響を直接的にうけます。

そのため短期的に変動の大きい為替レートの影響を考慮して時系列でデータを見る必要もあります。

 

以下のグラフは、GDPの物価水準と家計消費の物価水準の推移を表しています。

GDPの物価水準は1990年では0.4程度であり、1990年代は変動は大きいものの、直近まで水準はほぼ横ばいで推移しています。

また、家計消費の物価水準についても、GDPの物価水準と同様の水準で推移しています。

ウガンダの物価水準

出所:World Development Indicators, December 2022.

 

GDPの物価水準の内訳を見ると、2017年時点ではGDPの物価水準が0.35に対して、家計消費は0.34、政府消費は0.21、総資本形成(投資+在庫)は0.64、貿易は1.01となっています。

特に政府消費については、労働集約的な公務、教育、医療などを中心に構成されるため、国内賃金が低いことに起因して物価水準も低くなっています。

また総資本形成の内訳では、国内で機械・設備の投資財の製造が難しいことから輸入に頼るケースが多く、その結果非常に高い物価水準となる一方で、建設については国内労働者の低賃金を反映して安い物価水準となっています。

ウガンダの最終消費の物価水準

出所:ICP2017.

 

次に商品別の物価水準を見ると、食料品や酒類・タバコと運輸については比較的高くなっています。

特に運輸の内訳にあたる自動車は米国よりも高価となっています。

食料品については、フルーツ、野菜などは米国より6割ほど安価となっていますが、乳製品、菓子などの嗜好品については米国より高い水準となっています。

また、酒類・タバコについてはタバコは非常に安価なものの、酒類は米国に近い水準と比較的高い水準となっています。

一方で、ウガンダでは水道光熱費、教育、医療などの社会インフラについては0.1-0.2程度と非常に低い物価と抑えられています。

ウガンダの財別物価水準

出所:ICP2017.

 

 

さいごに

今回は為替レートと物価水準に関して、過去のデータを整理しました。

一方で、国内物価の変動自体については、CPIおよびデフレータについて取り上げている以下の記事を参照ください。

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