今回はガーナの貿易について整理します。
ガーナの基本情報
ガーナはコートジボワール、トーゴ、ブルキナファソに接する西アフリカの国です。
ガーナの人口は2016年時点で約2,800万人とアフリカでは比較的人口の多い国です。
人口密度は118人/km2とアフリカ平均の40人/km2の3倍近い水準にあります。
一人あたりGDPは2016年時点で4,300ドルとアフリカ平均の5,000ドルをやや下回ります。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
貿易収支の推移
早速ですが、以下は1970年以降のガーナのGDPに占める輸出、輸入および貿易収支のシェアになります。
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”
1985年以前は貿易収支は均衡していましたが、1990年以降から貿易赤字は拡大し、2008年では-15%の貿易赤字となっています。
ただし、その後は貿易赤字は縮小し2019年では貿易黒字に転化しています。
輸出・輸入ともにGDPの40%近くに相当しており、日本に比べ貿易のシェアが高くなっています。(日本の輸出入はおよそGDPの2割です。)
輸出の構成
以下は2000年以降のガーナの輸出品の構成です。
2019年のガーナの輸出は10.宝石・貴金属・美術品が37%、2.鉱物が34%、1.農林水産品・食料品が22%が主な輸出品で、これらで全体の93%と占めています。
2011年以降2.鉱物の輸出が急増していますが、2007年にガーナ沖で発見されたジュビリー油田の石油輸出が本格化したことに起因しています。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
以下は上記の10分類を100分類弱に細分化した分類の上位5品目を取り上げています。
もっとも多いのは先の71. 宝石・貴金属(ここでは具体的にはゴールド)であり、変動は大きいもののおおよそ輸出の3-4割を占めています。
また上記で触れましたが2011年から石油の輸出が急増しており、現在では金に次ぐ2番目に大きな輸出品目となっています。
チョコレートで有名なガーナですが、2005年以降ココア製品の輸出シェアは減少傾向にあり、一時は輸出の44%を占めていましたが
2019年は16%まで減少しています。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
輸入の構成
一方、輸入の構成については以下のようになっています。
2019年の輸入の構成は、8.機械が38%、1.農林水産品・食料品が18%、3.化学製品が17%、7.金属製品が10%、残りが17%です。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
輸入品の具体的な商品を見ますと、2019年では87.自動車、84.一般機械、85.電気機械がそれぞれ16%、13%、7%です。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
また、10.穀物は輸入の5%を占めますがうち3.6ポイントが米となっています。JETROのジェトロセンサー2017年4月号AREA Reportによると、ガーナを含む西アフリカでは
都市人口が増え、経済成長に伴い所得が増えた結果、その都市住民の生活水準が高まり、食生活も変わった
ことにより主食であるキャッサバやヤム芋から、保存のきく米に趣向が変化したためだそうです。
貿易相手国の構成
次に貿易相手国を確認します。以下は2019年の貿易相手シェアを表します。
ガーナの最大の輸出相手国はインドで輸出全体の21.5%に相当します。
また、上位10カ国で輸出の80%、上位30カ国では97%を占めています。(なお、日本は1.0%で上位16番目です)
出所:UN comtrade.
一方、最大の輸入相手国は中国で全体の19.1%を占めており、2番目のアメリカとは2倍以上の差があります。
上位10カ国では58%、上位30カ国では88%を占めます。(なお、日本は1.7%で上位18番目です)
さいごに
ガーナの貿易の特徴は以下のとおりです。
- 1990年以降から貿易赤字は拡大し最大-15%の貿易赤字だったが、2019年は貿易黒字に転化
- 主な輸出品は金、石油、ココア・ココア製品
- 最大の輸出相手国はインド、一方最大の輸入相手国は中国
以上となります。引き続き他の国についても調べています。