モーリタニアの成長会計:全要素生産性(TFP)、資本ストック、労働投入量

TFP

今回はモーリタニアの経済成長を成長会計の観点からフォーカスしたいと思います。

成長会計とは、経済成長の内訳の要因を明らかにしようとするものであり、基本的に労働投入、資本投入、これら2つ以外で成り立つ全要素生産性(TFP: Total Factor Productivity)の3つ分解されます。

また、TFPとは労働生産や資本投入で説明できない要因であることから、技術進歩や生産の効率化などの要因に相当すると解釈されます。

 

そこで、この記事では経済成長を表すGDP成長率、そして労働、資本、全要素生産性について触れています。

 

モーリタニアの基本情報

モーリタニアは西サハラ、アルジェリア、マリ、セネガルを隣国にもつ大西洋に接する西アフリカの国です。

モーリタニアの人口は2016年時点で420万人とアフリカでは比較的人口の少ない国です。

一方、人口密度は4人/km2とアフリカ平均40人/km2と1/10の水準であり、アフリカでは4番目に人口密度の低い国です。

 

一人あたりGDPは2016年時点で4,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの8割程度の国です。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

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GDP成長率

以下のグラフはアフリカ諸国におけるGDPの平均成長率(左図:1970-2019, 右図:2000-2019)のランキングを示しています。

日本や米国は1970年以降の長期においては、おおよそ3%弱の経済成長を遂げていますが、2000年以降に限定すれば日本の成長率はほぼ0%に近くなっています。

 

一方、モーリタニアは長期では33番目に高い3.3%となっていますが、2000年以降では成長率は5.0%へ加速しておりアフリカ全体でも22番目へランクを上げています。

出所:Penn World Table, version 10.0

 

就業率・就業者数

労働投入の主な要因となるのが、就業者数です。

以下のグラフはアフリカ諸国における人口あたりの就業率のランキングです。

日本は就業率が55%とアフリカのいずれに国に比べても高い水準となっています。

一方、モーリタニアは25%と日本の半分以下であり、アフリカでも48番目と低い水準となっています。

出所:Penn World Table, version 10.0

また就業率の推移をみると、1980年以降就業率はほぼ横ばいで推移していますが、人口増加に伴ない就業者数は40万人から120万人へ増加しています。

出所:Penn World Table, version 10.0

労働の構成について気になる方は以下の記事もご覧ください。

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資本投入

経済成長に必要な資本投入は、投資から資本ストック化され、それを経由して資本投入につながるため、投資が起点となります。

以下はモーリタニアのGDPに占める最終消費項目のシェアの推移を表していますが、投資シェアは1960年代初期や1970年代、2000年代後半は投資シェアが30%程度と高い水準にありましたが、1990年代などは10%程度と期間により水準に差異があります。

出所:Penn World Table, version 10.0

 

投資により蓄積される資本ストックの推移を表したものが以下となります。

モーリタニアでは、実質・名目資本ストックは1960年代後半から1980年にかけて資本ストックシェアを落としていますが、その後はおおよそGDP比で5.0程度で安定しています。

出所:Penn World Table, version 10.0

 

また以下はアフリカ諸国における名目資本ストック比率のランキングを表します。

日本は5.2とアフリカでも比較的高位にありますが、米国は3.4とアフリカ諸国と比べて平均的な水準と言えます。

一方、モーリタニアは4.6とアフリカでは14番目であり、資本ストックは比較的高い水準とあると考えられます。

出所:Penn World Table, version 10.0

 

なお、資本ストックは建築物、機械、ITなどの生産資産に限られていますが、より広い概念にあたる国富については以下の記事を参照ください。

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全要素生産性(TFP)

以下のGDP成長率に占める要因の内訳を表します。(左図:毎年、右図:毎10年)

モーリタニアでは、1980年代以降GDP成長率は4%以下に収まっていますが、それはTFPが多くの場合マイナスに寄与していたこと、また資本の寄与度が比較的低水準に収まっていることに起因しています。

出所:Penn World Table, version 10.0

さいごに

今回は成長会計の観点から経済成長を資本や労働に分解して見てきました。

経済について各産業の構成を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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