今回はアルジェリアの産業構造を確認します。
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アルジェリアの基本情報
アルジェリアはモロッコ、モーリタニア、マリ、ニジェール、リビア、チュニジアと多くの国を隣国にもつ北アフリカの国です。
アルジェリアの人口は2016年時点で約4,000万人とアフリカでは9番目に人口が多い国です。
人口密度は17人/km2とアフリカ平均の40人/km2の半分程度です。
一人あたりGDPは2016年時点で15,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの3倍程度です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
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産業別GDP構成比
早速ですが、以下はアルジェリアの1970年から2019年までの産業別のGDP構成比の推移を表します。
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”
アルジェリアの経済は輸出の9割を石油天然ガスが占めているとおり、2.鉱業に大きく依存しています。
特に原油価格が高騰していいた2000年後半には、2.鉱業のGDPは一国全体の半分近くを占めるほど大きくなっています。
原油価格により2.鉱業のGDPの増減するため、他の産業のGDPシェアも変動しますが、そのような中でも
6.運輸・通信は1995年以降一貫して拡大傾向にあります。一方、3.製造業は1985年以降一貫して減少傾向にあります。
産業別GDP寄与度
以下はGDPにおける産業別寄与度を表します。
(なお、データの変動が激しいため1年毎では変動が激しいため、5年平均を採用してます。また、ここでの産業GDPと一般的に用いるマクロのGDPとでは統計上の誤差により乖離が生じています。)
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”に基づく推計値
1970年代はブーメディエン政権による石油天然ガスの国有化や工業化政策により平均4.7%の経済成長を達成しています。
1978年にブーメディエン大統領が亡くなった後には、1980年のアルジェ学生運動や「ベルベルの春」事件など国内情勢は悪化しますが、1980年代前半はまだ4.1%の成長を保っていましたが、1986年にインフレが進むと、一気に情勢が悪化し経済成長は1985-1995年の10年間は0.8%まで低下します。
1990年代後半から2000年前半にかけて天然ガスの生産が増加するなど2.鉱業が大きく拡大することにより4%前後の経済成長まで回復しますが、
その後は2.鉱業のマイナス成長により一国全体のGDPの成長率は低下傾向にあります。
産業別就業者数シェア
以下は1991年から2019年の産業別就業者数のシェアを表します。
出典:ILO Modelled Estimatesに基づく推計
もっとも就業者が多いのは7.サービスで1991年では32%を占めていましたが、2019年では36%まで拡大しています。
また、4.建設と5.商業・レストラン・ホテル、6.運輸・通信も約30年間で上昇傾向にあります。
一方、1.農業は1991年では25%あったシェアは10%まで減少しています。
産業別労働生産性(産業別就業者あたりGDP)
以下は2019年における産業別の労働生産性(産業別の就業者一人あたりGDP)を米ドル換算で表しています。
出典:ILO Modelled EstimatesおよびUN “The National Accounts Main Aggregates Database”に基づく推計
2019年におけるある全体の労働生産性は15,000ドルほどですが、産業によりそれは大きく異なります。
もっとも労働生産性が高い産業は2. 鉱業・電ガス水であり、労働生産性は99,000ドルほどです。
1.農業の労働生産性は2008年までは一国平均の半分程度でしたが、その後上昇し、2019年では一国平均の1.3倍ほどと高まっていいます。
一方、3.製造業の労働生産性は6,500ドルほどと著しく低くなっています。
さいごに
アルジェリアの産業構造についてまとめると以下のとおりです。
- 産業別GDPシェアは2.鉱業により変動するものの、6.運輸・通信は1995年以降拡大傾向、3.製造業は1985年以降一貫して減少傾向
- 1985-1995年はGDPの平均成長率は0.8%と低水準であったものの、1990年代後半から2000年前半に2.鉱業が大きく拡大することにより4%前後の経済成長まで回復
- 就業者数シェアは7.サービスでは1991-2019年で32%から36%まで拡大、一方、1.農業は25%から10%まで減少
- 労働生産性が高い産業は鉱業・電ガス水(99,000ドル)。一方もっとも低いのは製造業(6,500ドル)
引き続き他の国についても調べていきます。