中国の産業構造:GDPシェア、GDP寄与度、労働者数シェア、労働生産性について

今回はアフリカとの比較の参考国として中国の産業について整理します。

中国については既に知っていることも多いと思いますが、改めてアフリカ諸国と同一の分析フレームで確認しようと思います。

 

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産業別GDP構成比

早速ですが、以下は日本の1970年から2020年までの産業別のGDP構成比の推移を表します。

中国の産業構成比

出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”, December 2021

 

1970年時点では1.農業のGDPシェアは35%ほどと最大の産業でしたが、直近では8%まで減少しています。

1985年以降で1.農業に代わり、3.製造業が最大の産業となりますが、リーマンショック以降はGDPシェアが減少へ転じています。

直近では、かつてはGDPシェアが10%超ほどであった7.その他サービスのシェアが急増し、現在では35%ほどまで拡大して最大の産業となっています。

 

産業別GDP寄与度

以下はGDPにおける産業別寄与度を表します。

(なお、ここでは5年平均を採用してます。また、ここでの産業GDPと一般的に用いるマクロのGDPとでは統計上の誤差により乖離が生じています。)

中国の産業別GDP寄与度

出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”, December 2021に基づく推計値

 

中国は1980年から2010年代前半まではGDP成長率が7-10%ほどと高い成長率を記録しています。

しかし、2010年代後半は2020年の新型コロナ時の影響により平均成長率は5.6%と比較的低成長へ転じています。

産業別の寄与度をみると、1985年以前では比較的1.農業が経済成長に強く寄与していましたが、1985以降はは3.製造業や7.その他サービスが強く寄与しています。

 

産業別就業者数シェア

以下は1991年から2021年の産業別就業者数のシェアを表します。

中国の就業構成比

出典:ILO Modelled Estimates, November 2021に基づく推計

 

就業者数シェアの推移はGDPシェアの推移と類似しています。

1991年では就業者の60%は1.農業に従事していましたが、直近では25%程度まで半減しています。

一方で、7.その他サービス、5.商業・レストラン・ホテル、4.建設業は1991年ではそれぞれ9%、7%、3%ほどでしたが、2021年にはそれぞれ22%、20%、8%まで急増させています。

 

産業別労働生産性(産業別就業者あたりGDP)

以下は2020年における産業別の労働生産性(産業別の就業者一人あたりGDP)を米ドル換算で表しています。

(なお労働生産性といっても、測定の方法は様々あります。より望ましい測定方法をアフリカ諸国に適応するにはデータ制約から困難であるため、ここでは簡易な方法として分子には為替レート換算した産業別GDP、分母には産業別就業者数を用いています。)

中国の労働生産性

出典:ILO Modelled Estimates, November 2021およびUN “The National Accounts Main Aggregates Database”, December 2021に基づく推計

 

2020年における中国全体の労働生産性は9,600ドルほどですが、産業によりそれは大きく異なります。

もっとも労働生産性が高い産業は2. 鉱業・電ガス水であり、労働生産性は37,000ドルほどです。

一方、労働集約的な1.農業は3,000ドルと労働生産性が低くなっています。

 

さいごに

中国の産業構造についてまとめると以下のとおりです。

  • 産業別GDPシェアは1970年では1.農業が最大の産業でしたが、1985年以降は3.製造業、2015年以降は7.その他サービスが最大のGDPシェアへ成長
  • 産業別GDP寄与度では、1985年以前は1.農業の寄与が大きく、それ以降は3.製造業、7.その他サービスが強く寄与
  • 就業者数シェアも、かつては1.農業が60%を占めていましたが、直近では25%ほどまで減少し、一方7.サービス、5.商業・レストラン・ホテル、4.建設業ではシェアが拡大
  • 労働生産性が高い産業は2.鉱業・電ガス水、一方労働生産性の低い産業は1.農業

アフリカ諸国の参考としてご覧ください。

 

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