今回はエジプトの産業構造を確認します。
エジプトの貿易構造と人口構成についてはこちらをご覧ください。
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エジプトの基本情報
エジプトの人口は2016年時点で
約9,300万人とアフリカでは3番目に人口の多い国です。
人口密度は93人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍以上です。
一人あたりGDPは2016年時点で12,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの2倍以上です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
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産業別GDP構成比
早速ですが、以下はエジプトの1970年から2019年までの産業別のGDP構成比の推移を表します。
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”
1970年時点では1.農業のシェアがもっとも高く一国全体の29%を占めていましたが、50年間で一貫して減少し2019年では11%となっています。
一方、7.サービスについては1970-1990年まで農業とほぼ同水準のシェアで下落推移していましたが、その後は上昇へ転じ2019年では207%ともっともシェアの大きい産業となっています。
2.鉱業は変動は激しいものの、1970年から2012年までで4%から18%まで拡大しています。2019年では14%まで少しシェアを落としていますが、7.サービス、3,製造業、5.商業に次ぐ産業規模となっています。
産業別GDP寄与度
以下はGDPにおける産業別寄与度を表します。
(なお、データの変動が激しいため1年毎では変動が激しいため、5年平均を採用してます。また、ここでの産業GDPと一般的に用いるマクロのGDPとでは統計上の誤差により乖離が生じています。)
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”に基づく推計値
エジプトでは1975-1985年を除き、過去50年間はおおよそ年率4%前後の経済成長で推移しています。
1975-1985年はいわゆる「門戸開放政策」と言われる期間であり、外国(特にアラブ諸国)から資金を国内に呼び込むことで経済成長を遂げた時期です。
この10年間の平均成長率は10%と他の期間の倍以上の経済成長となっています。
産業別就業者数シェア
以下は1991年から2019年の産業別就業者数のシェアを表します。
出典:ILO Modelled Estimatesに基づく推計
もっとも就業者の多い産業はGDPシェアと同様に7.サービスで2019年では27%を占めています。
また、この1991-2019年では1.農業のシェアが39%から21%まで一貫して減少する代わりに、
4.建設は6%から12%、5.商業は10%から17%、6.運輸は5%から9%とこれらの産業は就業者シェアが2倍程度拡大しています。
産業別労働生産性(産業別就業者あたりGDP)
以下は2019年における産業別の労働生産性(産業別の就業者一人あたりGDP)を米ドル換算で表しています。
出典:ILO Modelled EstimatesおよびUN “The National Accounts Main Aggregates Database”に基づく推計
2019年におけるエジプト全体の労働生産性は11,000ドルほどですが、産業によりそれは大きく異なります。
もっとも労働生産性が高い産業は2. 鉱業・電ガス水であり、労働生産性は87,000ドルほどです。エジプトの主な輸出品は石油天然ガスですが、これらを産出する鉱業は少ない人件費で多くの生産を可能とするため著しく労働生産性が高くなります。
2番目に高い産業は3.製造業であり、労働生産性は14,000ドルほどと全体平均の1.3倍程度となっています。最近ではプラスチック製品や電気製品の輸出が少しずつ増えてきており、それにより製造業も育ってきていると思われますが、自動車産業が発展している南アフリカの製造業の労働生産性(23,000ドル)に比べるとまだ低いと言えそうです。
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(ただし、国際間の生産性評価にはここで用いている為替レートによる評価ではなく購買力平価PPPによる評価が望ましいです。)
一方、労働集約的な1.農業や4.建設は低生産性となりやすく、それぞれ6,300ドル、5,800ドル程度となっています。
なお就業者一人あたりのGDPではなく、人口あたりのGDPについては以下の記事で2016年時点の国際比較をおこなっています。
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さいごに
エジプトの産業構造についてまとめると以下のとおりです。
- 産業別GDPシェアは1.農業が一貫して減少する代わりに、2.鉱業は4%から18%まで拡大
- 1970年代後半から1980年代前半は門戸開放政策により高い経済成長を実現
- 就業者シェアは1.農業が一貫して減少する代わりに、4.建設は6%から12%、5.商業は10%から17%、6.運輸は5%から9%と拡大
- 労働生産性が高い産業は鉱業・電ガス水(87,000ドル)。一方もっとも低いのは農業(7,500ドル)および4.建設(5,800ドル)
引き続き他の国についても調べていきます。