ケニアの産業構造:GDPシェア、GDP寄与度、労働者数シェア、労働生産性について

今回はケニアの産業構造を確認します。

 

ケニアの基本情報

ケニアはソマリア、エチオピア、ウガンダ、タンザニアを隣国にもつ東アフリカの国です。

 

ケニアの人口は2016年時点で約4,700万人とアフリカでは7番目に人口が多い国です。

人口密度は81人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍ほどです。

 

一人あたりGDPは2016年時点で3,200ドルとアフリカ平均の5,000ドルの6割程度です。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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産業別GDP構成比

早速ですが、以下はケニアの1970年から2019年までの産業別のGDP構成比の推移を表します。

出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”

 

1970年におけるもっともGDPの多い産業は農業で全体の32%を占めていましたが、2000年代半ばには23%まで減少しています。ただし、その後は急激に上昇しており2019年では37%を占めるまでとなっています。

5.商業・レストラン・ホテルと6.運輸・通信はシェアは少ないものの、過去50年間で一貫してシェアが上昇しており、現状ではそれぞれ10%近くを占めています。

一方、3.製造業については1980年以降一貫して減少しており、ピーク時の1980年には19%を占めていたシェアは2019年には8%まで減少しています。

 

産業別GDP寄与度

以下はGDPにおける産業別寄与度を表します。

(なお、データの変動が激しいため1年毎では変動が激しいため、5年平均を採用してます。また、ここでの産業GDPと一般的に用いるマクロのGDPとでは統計上の誤差により乖離が生じています。)

出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”に基づく推計値

 

ケニアは、1970-1990年はおおよそ4-5%の経済成長でしたが、1990年代前半にはマイナス成長に転じています。

1990年代前半には、東西冷戦終結の影響もあり、海外からの投資が抑制された結果、経済が低迷したと言われています。

 

産業別就業者数シェア

以下は1991年から2019年の産業別就業者数のシェアを表します。

なお、農業については他の産業に比べシェアが大きいため、右軸を採用しています。

出典:ILO Modelled Estimatesに基づく推計

 

もっとも就業者が多いのは1.農業でおよそ就業者全体の40-60%を占めています。

1.農業に次ぐ産業は7.サービス、5.商業・レストラン・ホテルであり、それぞれおよそ20%弱です。2019年ではこれら3産業で全体の9割を占めています。

 

産業別労働生産性(産業別就業者あたりGDP)

以下は2019年における産業別の労働生産性(産業別の就業者一人あたりGDP)を米ドル換算で表しています。

 

出典:ILO Modelled EstimatesおよびUN “The National Accounts Main Aggregates Database”に基づく推計

 

2019年におけるある全体の労働生産性は3,900ドルほどですが、産業によりそれは大きく異なります。

もっとも労働生産性が高い産業は6. 運輸・通信であり、労働生産性は16,600ドルほどです。

一方、5.商業・レストラン・ホテル(1,900ドル)や1.農業(2,600ドル)は就業者の多い産業は労働生産性が低くなっています。

 

さいごに

ケニアの産業構造についてまとめると以下のとおりです。

  • 産業別GDPシェアは2019年は1.農業が37%、5.商業・レストラン・ホテルが9%、6.運輸・通信が10%、2.製造業は8%
  • 1970-1990年はおおよそ4-5%の経済成長でしたが、1990年代前半にはマイナス成長
  • 就業者シェアは2019年は1.農業が54%、7.サービスが19%、5.商業・レストラン・ホテルが18%
  • 労働生産性が高い産業は6.運輸・通信(16,600ドル)。一方もっとも低いのは5.商業・レストラン・ホテル(1,900ドル)

引き続き他の国についても調べていきます。

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