ナイジェリアの産業構造:GDPシェア、GDP寄与度、労働者数シェア、労働生産性について

今回はナイジェリアの産業構造を確認します。

ナイジェリアの貿易構造と人口構成についてはこちらをご覧ください。

 

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産業別GDP構成比

早速ですが、以下はナイジェリアの1970年から2019年までの産業別のGDP構成比の推移を表します。

出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”

 

ナイジェリアの産業別GDPシェアは変動はあるものの、おおよそ構成比があまり変わらないのが特徴です。

(一般的には経済成長が進むにつれて農業のシェアが減少し、代わりにサービスが拡大します。)

ただし、5.商業・レストラン・ホテルについては構成比が1970年から2019年で10%から17%へ拡大しています。

一方、3.製造業は減少傾向にあることから、5.商業・レストラン・ホテルのうちレストラン・ホテルが主に拡大しているものと思われます。

世界観光機関 (World Tourism Organization)によると、1995年から2016年でナイジェリアの海外観光客数は100万人から530万人と5倍以上増加しています。

同期間では世界全体は2倍、アフリカ北部を除くサブサハラアフリカでは3.5倍ほどですので、ナイジェリアは他のアフリカ諸国と比べても外国人向けのレストランやホテルが発展してきたものと思われます。

 

産業別GDP寄与度

以下はGDPにおける産業別寄与度を表します。

(なお、データの変動が激しいため1年毎では変動が激しいため、5年平均を採用してます。また、ここでの産業GDPと一般的に用いるマクロのGDPとでは統計上の誤差により乖離が生じています。)

出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”に基づく推計値

 

ナイジェリアは経済成長の変動が激しく、1980年代前半、1990年代前半、2010年代後半は低い経済成長となっています。

このうち初めの2期間については、1983年と1993年にクーデターにより共和制から軍事制へ移行したことによる混乱によりマイナス成長を記録しています。

また、2010年代後半は2016年に原油価格が1バレル53ドルから44ドルまで大幅に下落したことに、-1.6%とマイナス成長となっています。

 

産業別就業者数シェア

以下は1991年から2019年の産業別就業者数のシェアを表します。1.農業については特にシェアが大きいため、右軸を用いています。

出典:ILO Modelled Estimatesに基づく推計

 

もっとも就業者が多いのは1.農業で1991年では51%を占めていましたが、2019年では35%まで減少しています。

一方、就業者シェアが拡大したのでは5.商業、6.運輸、7.サービスであり、同期間ではそれぞれ17%から25%、3.6%から5.4%、15%から23%へ拡大しています。

 

産業別労働生産性(産業別就業者あたりGDP)

以下は2019年における産業別の労働生産性(産業別の就業者一人あたりGDP)を米ドル換算で表しています。

 

出典:ILO Modelled EstimatesおよびUN “The National Accounts Main Aggregates Database”に基づく推計

 

2019年におけるナイジェリア全体の労働生産性は8,000ドルほどですが、産業によりそれは大きく異なります。

もっとも労働生産性が高い産業は2. 鉱業・電ガス水であり、労働生産性は86,000ドルほどです。

また、6.運輸・通信(19,000ドル)や4.建設(18,000ドル)も労働生産性は高く平均の2倍以上あります。

一方、労働集約的な1.農業や、自営業主の多い5.商業・レストラン・ホテルは大型な設備投資を必要としないため労働生産性が低くなっています。

 

なお就業者一人あたりのGDPではなく、人口あたりのGDPについては以下の記事で2016年時点の国際比較をおこなっています。

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さいごに

ナイジェリアの産業構造についてまとめると以下のとおりです。

  • 産業別GDPシェアは全体には安定的だが、5.商業・レストラン・ホテルに限ってはシェアが拡大
  • クーデターの起こった1980年代前半と1990年代前半、および原油価格が大幅に下落した2010年代後半は低い経済成長
  • 就業者シェアは1.農業が一貫して減少する代わりに、5.商業、6.運輸、7.サービスはシェアが拡大
  • 労働生産性が高い産業は鉱業・電ガス水(86,000ドル)。一方もっとも低いのは農業および5.商業・レストラン・ホテル

引き続き他の国についても調べていきます。

 

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