今回はナイジェリアの貿易について整理します。
なおナイジェリアの新型コロナ感染状況とGDPの見通しに以前まとめていますので、宜しければこちらもこちらをご覧ください。
貿易収支の推移
早速ですが、以下は1970年以降のナイジェリアのGDPに占める輸出、輸入および貿易収支のシェアになります。
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”
ナイジェリアは基本的には貿易黒字国であり、特に1990年-2010年は平均8%の貿易黒字でした。
ただし2010年以降は輸出が減少し、2019年には-6%の貿易赤字に転じています。
輸出の構成
以下は2000年以降のナイジェリアの輸出品の構成です。
ナイジェリアの輸出の9割以上は2. 鉱物(ここでは主に石油)に依存しています。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
以下は上記の10分類を100分類弱に細分化した分類の上位5品目を取り上げています。
輸出の大部分を占めるのは27. 石油天然ガス等です。ナイジェリアはアフリカ最大の産油国で、2019年では世界で7番目の石油輸出国となっています。
この石油への依存体質はたびたび経済発展へのリスクとして取り上げられることが多いです。
2020年の新型コロナの影響と、それに起因する原油価格の下落により2020年のナイジェリアのGDP成長率は-3.2%に見込まれています。(出典:国際通貨基金(IMF)”World Economic Outlook Reports (WEO)”)
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
27. 石油天然ガス等に次ぐ主な輸出品は89. 船舶や83. 卑金属です。
具体的には、2019年では解体船が輸出全体の4%、卑金属製のフレキシブルチューブが同様に4%を占めています。
(27. 石油天然ガス等については、2019年では石油が77%、石油ガスが10%を占めます。)
輸入の構成
一方、輸入の構成については以下のようになっています。
2019年の輸入の構成は、8.機械が48%、2. 鉱物が16%、3.化学製品が12%、1.農林水産品・食料品が10%、残りが13%です。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
輸入品の具体的な商品を見ますと、2019年では84.一般機械、27.石油天然ガス等、87.自動車がそれぞれ19%、16%、12%です。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
また、2019年では90. 精密機械の輸入が急増していますが、具体的には医療用機器であり輸入全体の6%を占めています。
貿易相手国の構成
次に貿易相手国を確認します。以下は2019年の貿易相手シェアを表します。
ナイジェリアの最大の輸出相手国はインドで輸出全体の15.4%に相当します。
また、上位10カ国で輸出の70%、上位30カ国では95%を占めています。(なお、日本は0.5%で上位28番目です)
出所:UN comtrade.
一方、最大の輸入相手国は中国で全体の25.5%を占めており、2番目のインドとは2倍以上の差があります。
上位10カ国では74%、上位30カ国では93%を占めます。(なお、日本は1.5%で上位14番目です)
さいごに
ナイジェリアの貿易の特徴は以下のとおりです。
- 過去50年間は基本的には貿易黒字であり、1990年-2010年までは平均8%の貿易黒字。しかし、2019年は-6%の貿易赤字に転化
- 主な輸出品は石油で、輸出の約9割を占める
- 最大の輸出相手国はインド、一方最大の輸入相手国は中国
以上となります。引き続き他の国についても調べています。