今回はアフリカとの比較の参考国として中国の人口構成にフォーカスしてみます。
中国については既に知っていることも多いと思いますが、改めてアフリカ諸国と同一の分析フレームで確認しようと思います。
人口の見通し
早速ですが、以下は中国の1950年から2020年までの年齢階層別の人口の推移と、2100年までの見通しです。
出典:UN World Population Prospects 2022
1950年では5.4億人でしたが、2021年では14.3億人まで増加しています。この期間の人口の平均成長率は1.4%です。
しかし、その後は人口減少へ転じており2030年には14.2億人、2050年には13.1億人、2100年には7.7億人と見込まれており、この期間の人口の平均成長率は2021-2050年が-0.3%、2050-2100年は-1.1%です。
人口構成の見通し
こちらは先ほどのグラフの年齢階層シェアの推移です。
1950年では35%あった14歳以下の人口シェアは、1960年には40%に達しますが、1979年に一人っ子政策が始まったことでその後は急激に減少へ転じ、2021年には18%となっています。また、このシェアは2100年には10%まで減少する見込みです。
一方、1950年では80歳以上人口はわずか0.6%でしたが、2021年では2%まで増加しており、2050年には10%、2100年には23%まで増加の見込みです。
出典:UN World Population Prospects 2022
人口ボーナス・人口オーナス
豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。
野村証券によると人口ボーナス(および人口オーナス)を以下のように定義してます。
生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。
以下は、1950-2100年の人口ボーナス・人口オーナスを示します。
中国は1950-1980年までは人口オーナス期でしたが、その後は人口ボーナス期へ転じています。
その人口ボーナス期は2010年には終わり、その後は急激に減少へ転じ、2080年にまで人口オーナス期が続くと見込まれています。
出典:UN World Population Prospects 2022に基づく推計
男女別の学歴構成
以下は1950-2015年までの男女別の最終学歴の構成です。
ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。
出典: Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく推計
中国は1950年時点において未就学者は男性が43%、女性は59%も占めていました、2015年にはそれぞれ5%と11%まで減少しています。
一方、専門・大卒以上は1950年では男性は0.2%、女性は0.0%でしたが、2015年ではそれぞれ10%と9%まで拡大しています。
都市部と農村部人口の構成と人口密度
以下は1960年以降の全人口のうち都市部に住む人口シェアと、都市部、農村部および平均の人口密度の推移です。
なお、都市部と農村部の人口密度はデータの制約により1990年以降は隔年での推計値になります。
出典:World Development Indicators, December 2022に基づく推計
中国の都市部人口シェアは1960年ではたった16%でしたが、現在では63%と多くの人は都市部で生活しています。
また、都市部の人口密度は、1990年の828人/平方kmから2015年では1,466人/平方kmと増加しています。
一方、農村部の人口は94人/平方kmから2015年では70人/平方kmへ減少しています。
さいごに
中国の人口構成と見通しの特徴は以下のとおりです。
- 人口は1950年、2021年、2100年ではそれぞれ5.4億人、14.3億人、7.7億人
- 14歳以下の人口構成は1950年の35%から、2021年では18%まで減少。その後2100年には10%までさらに減少
- 80歳以上人口は1950年の0.6%から、2021年は2%、2100年は23%まで増加の見込み
- 1980-2010年までは人口ボーナス期でしたが、2010-2080年は人口オーナス期の見込み
- 専門・大卒以上は1950年では男性は0.2%、女性は0.0%。2015年ではそれぞれ10%と9%まで拡大
- 都市部人口シェアは1960年から2019年では16%から63%まで増加
アフリカ諸国の参考としてご覧ください。