今回はアフリカとの比較の参考国として日本の人口構成にフォーカスしてみます。
日本については既に知っていることも多いと思いますが、改めてアフリカ諸国と同一の分析フレームで確認しようと思います。
(本来日本については詳細なデータを長期で利用できますが、ここでは比較しやすいようにアフリカ諸国と同一のデータベースを用いて比較します。)
人口の見通し
このグラフは、1950年から2100年までの日本の人口構成の変化を示しています。1950年の8600万人から急増し、2000年代には1億2800万人でピークに達しましたが、今後は減少が予測されており、2100年には7700万人まで減少するとされています。また、0-14歳の若年層(青色)が減少する一方、65歳以上の高齢者(緑色、青色)の割合が急激に増加していることが特徴的です。高齢化社会が進む中、少子高齢化が日本の大きな課題となっています。
出典:UN World Population Prospects 2024
なお人口の平均成長率は1950-2020年では0.5%ほどであり、この先については2020-2050年が-0.6%、2050-2100年は-0.6%の見通しです。
人口構成の見通し
このグラフは、日本の人口構成を年齢層ごとに示しており、1950年から2100年までの変化を視覚化しています。0-14歳(青色)の割合は長期的に減少し、15-29歳や30-49歳も減少傾向にあります。一方、65歳以上(緑色、青色)の高齢者の割合は今後大幅に増加する見込みです。このように、日本は急速に高齢化が進んでおり、少子高齢化による社会的課題が浮き彫りになっています。
出典:UN World Population Prospects 2024
人口ボーナス・人口オーナス
豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。
野村証券によると人口ボーナス(および人口オーナス)を以下のように定義してます。
生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。
このグラフは、日本の「人口ボーナス/オーナス」の比率を示しており、労働年齢人口が経済成長に与える影響を表しています。人口ボーナスは1970年から1990年にかけてピークを迎え、その後減少に転じています。グラフによると、今後は高齢化の進展により、労働力人口が減少し、経済的な負担が増加する人口オーナスの影響が強まることが予測されています。
出典:UN World Population Prospects 2024に基づく推計
男女別の学歴構成
以下は1950-2015年までの男女別の最終学歴の構成です。
ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。
出典: Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく推計
日本は明治5年8月2日(1872年9月4日)に学制が定められて以来、教育制度が整っていたため1950年時点でも未就学者はほぼいません。
ただし、小学校卒は1950年時点では男性は24%、女性は20%と多くいましたが、2015年ではそれぞれ2-3%程度に留まっています。
一方、専門・大卒以上は1950年では男性は5.2%、女性は1.6%でしたが、2015年ではそれぞれ33%と30%まで拡大しています。
都市部と農村部人口の構成と人口密度
このグラフは、日本の都市部人口シェアと人口密度の推移を示しています。1960年から2020年にかけて、都市部人口シェア(青い線)は60%から90%に増加し、都市化が進んでいます。また、都市部の人口密度は2020年に2174人/km²に達し、都市部への人口集中が顕著です。一方で、農村部の人口密度(赤い点)は88人/km²から35人/km²へと減少しており、農村地域からの人口流出が続いていることがわかります。
出典:World Development Indicators, 2024/09に基づく推計
さいごに
日本の人口は今後大幅に減少し、特に労働年齢人口の減少が経済に大きな影響を与えることが予想されます。高齢者の割合が増加し、少子高齢化がさらに進むため、持続可能な社会保障システムの構築や、労働力不足を補うための対策が急務です。日本の未来に向けた課題として、労働力確保や経済成長の維持に向けた政策対応が不可欠です。
なお、労働については以下の記事で取り扱っていますので、是非ご覧ください。
今回はアフリカとの参考国として日本の就業率、失業率、労働生産性などの労働関連のデータについて簡単に整理します。 なお、産業別の労働者数や賃金・労働時間に関しては以下の記事を参照ください。 [sitecard subtitle=関[…]