今回はリビアの人口構成にフォーカスしてみます。
なお、他の国との人口規模については、こちらで比較しております。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
リビアの基本情報
リビアは地中海に接する北アフリカの国です。
リビアの人口は2016年時点で約600万人とアフリカでは平均よりも人口の少ない国です。
人口密度は3.6人/km2とアフリカでは下から2番目に低い国です。
一人あたりGDPは2016年時点で14,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの3倍近くあり、アフリカでは7番目に一人当たりGDPが高い国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
人口の見通し
リビアの人口構成を示したこの図は、同国の人口動態の推移を詳細に表しています。1950年から現在、そして2100年までの予測データをもとに作成されており、リビアの将来的な人口増減の見通しを理解する上で重要な情報を提供します。
現在から未来の人口の動き
この図からわかる通り、リビアの人口は2000年代半ばまで安定的に増加していましたが、2020年代以降は成長が鈍化し、2100年までほぼ横ばいの状態になると予測されています。この傾向は、出生率の減少と高齢化社会への移行が要因として挙げられます。
年齢別人口構成
- 若年層(0-14歳):現在は全人口の中で約20%を占めていますが、今後は徐々に割合が減少していくと見られます。
- 労働力層(15-64歳):現在、経済活動の中心を担うこの年齢層が最も多く、2100年までに労働力の割合が縮小することが予想されています。
- 高齢者(65歳以上):高齢者人口は急増しており、2100年には全人口の約20%を占めると予測されています。特に80歳以上の割合が顕著に増加する点が注目されます。
出典:UN World Population Prospects 2024
なお人口の平均成長率は1950-2020年では2.6%ほどであり、この先については2020-2050年が0.9%、2050-2100年は0.1%の見通しです。
人口構成の見通し
リビアの人口構成を示したこのグラフは、1950年から2100年までの年齢層ごとの人口比率の推移を表しています。このデータを通じて、リビアの社会構造や人口動態の変化について詳しく理解することができます。
年齢層ごとの傾向
- 0-14歳の人口比率
1950年には約40%を占めていましたが、1980年代にピーク(約50%)に達した後、減少傾向に転じています。2100年には約20%程度にまで低下すると予測されています。出生率の低下がこの変化を反映しています。 - 15-29歳の人口比率
この層は1950年代から増加を続け、2000年頃には約30%を占めるようになりました。しかし、その後は緩やかに減少し、2100年には約20%未満に縮小する見込みです。 - 30-49歳および50-64歳の人口比率
これらの労働年齢層の割合は、今後数十年間で徐々に増加しますが、2100年にかけてはほぼ一定または若干の減少が見込まれます。 - 65歳以上の高齢者層
現在は全体の5%以下ですが、今後急激に増加し、2100年には約20%を占めるようになると予測されています。特に80歳以上の割合も顕著に増加する見込みです。
出典:UN World Population Prospects 2024
人口ボーナス・人口オーナス
豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。
野村証券によると人口ボーナス(および人口オーナス)を以下のように定義してます。
生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。
リビアの人口ボーナス/オーナス比率を示したこのグラフは、同国の経済発展における労働力供給の影響を視覚的に表しています。このデータは、1950年から2100年までの時系列に基づいており、リビアの人口構成と経済ポテンシャルの関係を理解する上で重要な指標となります。
過去から現在の傾向
1950年代から1980年代にかけて、人口ボーナス比率(労働可能年齢人口が依存人口を支える割合)は着実に増加してきました。これは、出生率の低下とともに労働年齢人口が増加したためです。1990年代から2000年代初頭にかけて、比率は約2.0に達し、リビアが経済発展に適した「人口ボーナス期」に突入していたことを示しています。
将来の予測
2020年代以降、この比率は緩やかに低下していくと予測されています。これは、高齢者人口が増加する一方で、労働年齢人口の割合が減少するためです。この傾向は、2100年まで続くと見込まれ、人口ボーナスの効果が薄れていく一方で、高齢化社会に向かうことが示唆されています。
出典:UN World Population Prospects 2024に基づく推計
男女別の学歴構成
以下は2015年の男女別の最終学歴の構成です。
ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。
出典: Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく推計
リビアでは男性の未就学が17%に対し、女性は26%と高く、通学前の15歳未満を含めると女性の半分以上は就学経験のないことになります。
高専・大卒を含む高卒以上のシェアは男女でそこまで格差が大きくなく、男性は27%に対し、女性は24%となっています。
都市部と農村部人口の構成と人口密度
このグラフは、リビアの都市部人口シェアと人口密度の変化を示したものです。1960年から2020年にかけてのデータに基づき、リビアの都市化と人口分布の特徴を視覚的に表現しています。
グラフの解説
- 都市部人口シェア(青い折れ線グラフ)
リビアでは1960年代から都市化が急速に進行しており、都市部人口シェアは1960年の約30%から2020年には約80%に達しています。この急激な都市化は、経済の近代化やインフラ整備、農村から都市への移住が主な要因として挙げられます。 - 人口密度(オレンジの折れ線グラフ)
リビア全体の人口密度は非常に低く、これは、リビアの国土の大部分が砂漠地帯であることに起因しています。居住可能な地域が限られているため、都市部への集中が加速しています。 - 農村部人口密度と都市部人口密度(赤と青の点)
農村部の人口密度はほぼゼロに近く、都市部に人口が集中していることが明確に分かります。都市部の人口密度は一定の増加傾向を示しており、2020年には約1,659人/km²となっています。
出典:World Development Indicators, 2024/09に基づく推計
さいごに
リビアの人口動態は、急速な都市化とそれに伴う社会変化を反映しています。都市部の人口シェアは過去数十年で大きく増加し、現在では80%に達しています。この背景には、石油資源の発展による都市部への投資と農村部からの人口流入が挙げられます。一方で、農村部の人口減少や国全体の低い人口密度は、居住可能な地域が限られているリビアの地理的条件を浮き彫りにしています。
今後、リビアが直面する課題として、都市部の過密化によるインフラ問題や環境への負荷が懸念されます。持続可能な都市計画や、農村地域の再開発を含むバランスの取れた政策が、社会的安定と経済成長において重要な役割を果たすでしょう。リビアの未来を支えるためには、これらの課題に対する積極的な取り組みが不可欠です。
なお、労働については以下の記事で取り扱っていますので、是非ご覧ください。