マダガスカルの人口構成と将来の見通し。年齢構成や学歴構成の変化を確認する

今回はマダガスカルの人口構成にフォーカスしてみます。

なお、他の国との人口規模については、こちらで比較しております。

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人口の見通し

このグラフは、1950年から2100年までのマダガスカルの人口構成の推移を示しています。グラフを見ると、全体的に人口が増加傾向にあり、特に若年層の割合が多くを占めています。1950年代では総人口がわずか数百万人で、0-14歳の年齢層が最も大きな割合を占めていました。

時間の経過とともに、15-29歳や30-49歳の層も増加し、2050年以降は50歳以上の年齢層も顕著に増えていきます。さらに2100年には80歳以上の高齢者層も増加し、全体的に年齢構成が高齢化に向かう傾向が見られます。これは、出生率の変化や医療の進展に伴い、平均寿命が伸びることが背景にあると考えられます。

マダガスカルの人口

出典:UN World Population Prospects 2024

 

なお人口の平均成長率は1950-2020年では2.8%ほどであり、この先については2020-2050年が2.0%、2050-2100年は0.9%の見通しです。

 

人口構成の見通し

このグラフは、マダガスカルの人口構成比率の推移を示しています。1950年から2100年までの各年齢層の割合の変化を見ることができ、年齢ごとの人口バランスがどのように移り変わっていくかを視覚的に表しています。

1950年時点では、0-14歳の年少人口が50%近くを占め、全体的に若年層が多い構成でした。しかし、時代が進むにつれ、若年層の割合は減少し、代わりに15-29歳や30-49歳の割合が一定を保ちながら構成の中心を担っています。

さらに、50歳以上の高齢層も徐々に増加していくことが見て取れます。特に65歳以上の年齢層は、今後2100年にかけて割合が増えていくと予測され、人口の高齢化が進む傾向が示されています。

マダガスカルの人口構成

出典:UN World Population Prospects 2024

 

人口ボーナス・人口オーナス

豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。

野村証券によると人口ボーナス(および人口オーナス)を以下のように定義してます。

生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。

 

このグラフは、マダガスカルの「人口ボーナス/オーナス」の推移を示しています。

1950年から1980年頃にかけて、人口ボーナスの指数が低く推移しており、マダガスカルは人口オーナスの時期にありました。しかし、1980年代後半以降、この指数が徐々に上昇し始め、2030年頃まで一貫して増加傾向にあります。これは、マダガスカルが今後数十年にわたり、労働年齢人口が増加し、経済成長にとって有利な状況が続くことを意味しています。

その後、指数は緩やかに横ばいとなり、2100年に向けて徐々に低下する予測です。これは、少子高齢化に伴い、経済に再び負担がかかる可能性があることを示唆しています。マダガスカルにとって、現在の人口ボーナス期をいかに活用し、将来の人口オーナス期に備えるかが重要な課題となるでしょう。

 

マダガスカルの人口ボーナス

出典:UN World Population Prospects 2024に基づく著者の推計

 

男女別の学歴構成

以下は1950-2015年までの男女別の最終学歴の構成です。

ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。

 

出典: Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく著者の推計

 

マダガスカルは他のアフリカ諸国と同様に未就学シェアが1950年以降急激に減少しており、1950-2015年では男性は61%から33%、女性は58%から36%まで未就学シェアが減少しています。

一方、少しずつですが高学歴化も進んでおり、高卒および専門・大卒以上の男性はそれぞれ0.2%から2.7%、0.0%から1.3%と拡大しています。

女性も同様に高卒および専門・大卒以上はそれぞれ0.0%から2.4%、0.0%から1.0%と、ほぼ男性と変わらない程度に高学歴シェアが拡大しています。

 

都市部と農村部人口の構成と人口密度

このグラフは、マダガスカルの都市部人口シェアと人口密度の推移を示しています。青い線は都市部人口シェアの変化を表し、1960年から現在までの間で着実に増加していることがわかります。1960年の10%から始まり、2020年には40%を超える都市化率に達しています。今後も都市化の進行が予測されており、マダガスカルにおいて都市部の人口が大きな割合を占めるようになることが示唆されています。

一方、右軸で表されるのは人口密度で、都市部と農村部に分けて示されています。都市部の人口密度(青い点)は、1990年に3,644人/km²、2000年に3,902人/km²、そして2020年には5,267人/km²に達しており、都市部への人口集中が顕著です。対照的に、農村部の人口密度(赤い点)は非常に低く、ほぼ横ばいの状態が続いています。例えば1990年には15人/km²で、2020年でも27人/km²に留まっています。

このグラフから、マダガスカルにおける都市化と人口集中の進展が読み取れ、都市部へのインフラ整備や社会サービスの提供が今後の重要な課題となることがうかがえます。また、農村部との格差拡大にも注意が必要です。

 

マダガスカルの都市人口と人口密度出典:World Development Indicators, 2024/09に基づく著者の推計

 

さいごに

マダガスカルの人口構成と都市化の進展を見ていくと、若年層の多い人口構造と都市部への人口集中が今後さらに進むことが予想されます。都市化が進むにつれ、都市部におけるインフラ整備や雇用機会の確保が急務となる一方で、農村部との格差が拡大する可能性もあります。持続可能な都市計画や農村開発政策が、今後のマダガスカルの経済成長と安定的な社会発展に不可欠となるでしょう。

 

なお、労働については以下の記事で取り扱っていますので、是非ご覧ください。

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