タンザニアの人口構成と将来の見通し。年齢構成や学歴構成の変化を確認する

今回はタンザニアの人口構成にフォーカスしてみます。

なお、他の国との人口規模については、こちらで比較しております。

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タンザニアの基本情報

タンザニアはケニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、コンゴ民主共和国、ザンビア、マラウイ、モザンビークを隣国に持つ東アフリカの国です。

 

タンザニアの人口は2016年時点で約5,500万人とアフリカでは5番目に人口の多い国です。また人口密度は58人/km2とアフリカ平均の40人/km2の1.5倍ほどの密度です。

 

一人あたりGDPは2016年時点で2,700ドルとアフリカ平均の5,000ドルの半分程度となっています。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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人口の見通し

このグラフは、タンザニアの人口構成の推移と将来予測を示したものです。グラフを見ると、タンザニアの人口は今後も急速に増加する見通しであり、2100年には2億6千万人を超えると予測されています。この増加は特に若年層(0-14歳)が多いことに起因しており、全体の人口増加を牽引しています。

1950年から2020年にかけて、0-14歳の年少人口が人口の大部分を占めていますが、将来的には15-29歳や30-49歳といった働き盛りの世代が増加し、人口構成の中心を担うことになります。さらに、65歳以上の高齢者も増加傾向にあり、特に2100年には80歳以上の人口も目立つようになります。このような人口構成の変化は、タンザニアの社会保障や医療、教育などのインフラに対して大きな影響を与えるでしょう。

急速に増加する人口に対して、持続可能な経済成長とインフラの整備が求められる中、若年層に向けた教育投資や雇用創出が重要な課題となります。また、高齢化社会に向けた準備も必要であり、長期的な視野での社会政策が求められます。タンザニアは、豊富な若年層の人口を活かし、経済成長の原動力とすることが期待されますが、それを実現するためには多岐にわたる課題への取り組みが不可欠です。

タンザニアの人口

出典:UN World Population Prospects 2024

 

なお人口の平均成長率は1950-2020年では3.0%ほどであり、この先については2020-2050年が2.5%、2050-2100年は1.4%の見通しです。

 

人口構成の見通し

このグラフは、タンザニアの人口構成比率の推移と将来予測を示しています。青色の0-14歳の割合は1950年から2020年にかけて40%以上を占めており、タンザニアの人口増加を支えてきました。しかし、今後は減少傾向に向かい、2100年には約20%にまで低下すると予測されています。

オレンジ色の15-29歳、灰色の30-49歳の割合は、今後も安定しており、特に30-49歳の層が人口構成の中心を担うようになります。50歳以上の年齢層、特に50-64歳と65-79歳の割合は将来的に増加し、高齢化が進む見通しです。また、80歳以上の割合(緑色)も徐々に増加しており、2100年には5%に達する見込みです。

このような人口構成の変化は、若年層中心から高齢者の割合が増加する傾向を示しており、タンザニアの社会保障、医療サービス、労働力に影響を及ぼすと考えられます。

タンザニアの人口構成

出典:UN World Population Prospects 2024

 

人口ボーナス・人口オーナス

豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。

野村証券によると人口ボーナス(および人口オーナス)を以下のように定義してます。

生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。

 

グラフを見ると、タンザニアでは1990年代から2020年頃までは1.0付近で推移しており、人口ボーナスが十分に活かされていなかった可能性があります。しかし、2030年以降に1.2以上に上昇し、2070年頃には1.7程度まで増加すると予測されています。これは、今後数十年にわたり働き手の増加による経済的恩恵が見込まれることを示しています。

その後、2100年にかけては緩やかに減少傾向に転じ、高齢化による人口オーナスの影響が表れる可能性があります。このような人口構成の変化に対応するため、労働力を活用した経済発展の戦略が重要となるでしょう。

タンザニアの人口ボーナス

出典:UN World Population Prospects 2024に基づく推計

 

男女別の学歴構成

以下は1950-2015年までの男女別の最終学歴の構成です。

ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。

 

出典: Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく推計

 

タンザニアは他のアフリカの国と同様に未就学シェアが1950年以降急激に減少しており、1950-2015年の期間では男性は48%から13%、女性は53%から17%まで減少しています。

一方、高卒および専門・大卒以上は増加しており、男性はそれぞれ0.1%から1.7%、0.0%から1.9%と拡大しています。

同様に女性も学歴化が進み、高卒および専門・大卒以上はそれぞれ0.0%から1.3%、0.0%から1.2%と、男性と比べるといまだにギャップは残るものの教育水準は改善しています。

 

都市部と農村部人口の構成と人口密度

このグラフは、タンザニアにおける都市部人口シェアと人口密度の推移を示しています。グラフの左軸には都市部人口シェア(%)が、右軸には人口密度(人/km²)が表示されています。

1960年から2020年にかけて、タンザニアの都市部人口シェアは急激に増加しています。特に1990年代からその傾向が顕著となり、2020年には約30%に達しました。今後も都市化が進み、都市部人口シェアがさらに増加することが予想されます。

一方、人口密度は農村部と都市部で大きな差があります。都市部の人口密度は右肩上がりで増加しており、2020年時点では3,145人/km²に達しています。これは、都市部への人口集中が続いていることを示しており、今後もさらなる人口増加が予測されることから、都市インフラの整備が急務となるでしょう。

タンザニアの都市人口と人口密度

出典:World Development Indicators, 2024/09に基づく推計

さいごに

タンザニアの人口構成と都市化の進展を見ていくと、今後数十年にわたり人口が急増し、特に都市部での人口密度がさらに高まることが予想されます。若年層の割合が高く、出生率が高いタンザニアでは、人口ボーナスの効果が期待される一方で、インフラや教育、雇用の確保などの課題も浮き彫りとなっています。持続的な成長を遂げるためには、都市部と農村部のバランスを保ちながら、社会的および経済的な基盤の強化が求められるでしょう。

 

なお、労働については以下の記事で取り扱っていますので、是非ご覧ください。

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