今回はアフリカとの比較の参考国として米国(アメリカ)の人口構成にフォーカスしてみます。
米国(アメリカ)については既に知っていることも多いと思いますが、改めてアフリカ諸国と同一の分析フレームで確認しようと思います。
人口の見通し
早速ですが、以下は米国(アメリカ)の1950年から2020年までの年齢階層別の人口の推移と、2100年までの見通しです。
出典:UN World Population Prospects 2022
1950年では1.48億人でしたが、2021年では3.37億人まで増加しています。この期間の人口の平均成長率は1.2%です。
また、2030年には3.52億人、2050年には3.75億人、2100年には3.94億人まで増加する見込みであり、この期間の人口の平均成長率は2021-2050年が0.4%、2050-2100年は0.1%です。
人口構成の見通し
こちらは先ほどのグラフの年齢階層シェアの推移です。
1950年では28%あった14歳以下の人口シェアは、2021年では18%まで急減しています。また、このシェアは2100年には14%まで減少する見込みです。
一方、1950年では80歳以上人口はわずか1.2%でしたが、2021年では4%まで増加しており、2050年には9%、2100年には14%まで増加の見込みです。
出典:UN World Population Prospects 2022
人口ボーナス・人口オーナス
豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。
野村証券によると人口ボーナス(および人口オーナス)を以下のように定義してます。
生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。
以下は、1950-2100年の人口ボーナス・人口オーナスを示します。
米国(アメリカ)は1950-1970年までは人口オーナス期でしたが、その後は人口ボーナス期へ転じています。
その人口ボーナス期は1980年には終わり、その後は停滞期を迎えます。なお、今後は2100年に向かい緩やかな人口オーナス期と見込まれています。
出典:UN World Population Prospects 2022に基づく推計
男女別の学歴構成
以下は1950-2015年までの男女別の最終学歴の構成です。
ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。
出典: Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく推計
米国(アメリカ)は1950年時点において未就学者はわずか10%程度しかいません。
小学校卒は1950年時点では男性は21%、女性は20%ほどでしたが、2015年ではそれぞれ3%程度まで減少しています。
一方、専門・大卒以上は1950年では男性は5.2%、女性は4.3%でしたが、2015年ではそれぞれ26%と28%まで拡大しています。
都市部と農村部人口の構成と人口密度
以下は1960年以降の全人口のうち都市部に住む人口シェアと、都市部、農村部および平均の人口密度の推移です。
なお、都市部と農村部の人口密度はデータの制約により1990年以降は隔年での推計値になります。
出典:World Development Indicators, December 2022に基づく推計
米国(アメリカ)の都市部人口シェアは1960年では70%でしたが、現在では83%とほぼほぼすべての人は都市部で生活しています。
また、都市部の人口密度は、1990年の1,288人/平方kmから2015年では1,404人/平方kmと増加しています。
一方、農村部の人口は6.9人/平方kmから2015年では6.6人/平方kmへ僅かに減少しています。
さいごに
米国(アメリカ)の人口構成と見通しの特徴は以下のとおりです。
- 人口は1950年、2021年、2100年ではそれぞれ1.48億人、3.37億人、3.94億人
- 14歳以下の人口構成は1950年の27%から、2021年では18%まで減少。その後2100年には14%までさらに減少
- 80歳以上人口は1950年の1.2%から、2021年は4%、2100年は14%まで増加の見込み
- 1950-1970年までは人口オーナス期でしたが、1970-1980年は人口ボーナス期
- 専門・大卒以上は1950年では男性は5.2%、女性は4.3%。2015年ではそれぞれ26%と28%まで拡大
- 都市部人口シェアは1960年から2019年では70%から83%まで増加
アフリカ諸国の参考としてご覧ください。