今回はアフリカとの参考国として米国(アメリカ)の一般政府における財政(歳出、歳入、税収、債務)について簡単に整理します。
歳入・歳出比率(対GDP比)
以下はアフリカ諸国および参考国(日本、米国、中国)におけるGDPに対する※歳入(左図)・歳出(右図)比率のランキングを示しています。(カッコ内はデータが取得できる最新年を示しています。)
(ただし、ここの歳入にはデータの都合により助成金は含まれていません。)
米国(アメリカ)の歳入比率は17.6であり、アフリカ諸国と比べると18位のガボンと19位のケニアの間と中位に位置しています。
しかし、歳出については32.2と歳入に比べて明らかに高く、アフリカ諸国と比べると6位チュニジアと7位モーリシャスの間と比較的上位に相当しています。
出所:World Development Indicators, December 2022.
次に、以下は米国の一般政府におけるGDPに対する※歳入・歳出比率の推移を表しています。
(ただし、ここの歳入にはデータの都合により助成金は含まれていません。)
米国では1970年代前半では歳入と歳出はほぼ均衡していましたが、その後は歳入比率はほぼ横ばいであったのに対し、歳出比率は徐々に上昇し、さらに2020年には新型コロナの影響により10ポイント近くと急激に上昇しています。
なお、横ばいであった歳入も、その内数をみると税収自体は徐々に減少傾向となっています。
出所:World Development Indicators, December 2022.
さらに歳入(左図)と歳出(右図)の内訳の構成比の推移を表しているのが以下のグラフです。
歳入を見ると、所得税・資産課税は1970年では6割ほどを占めていましたが、直近ではその比率は5割ほどまで減少し、代わりに社会保険料は同期間で25%ほどから40%ほどまで拡大しています。
一方、歳出については(1990年以前はデータが乱れているため、それ以降を見ると)1990年代前半では50%ほどであった補助金・その他移転は直近では70%ほどまで上昇しており、その結果その他の項目はすべてシェアは減少しています。
出所:World Development Indicators, December 2022.
一般政府の軍事費
以下はアフリカ諸国と参考国における一般政府の軍事費比率のランキングを示しています。(左図は対GDP比、右図は対政府支出比)
米国のGDPに対する軍事費は3.5%であり、アフリカ諸国と比べると5位ジブチと6位のナミビアの間に位置しています。
また、対政府支出比で見ると8.3%とアフリカ諸国の中では14位ボツワナと15位ナミビアの間となっています。
出所:World Development Indicators, December 2022.
さらに、推移をみると1960年では対GDP比では9%ほどありましたが、直近では1/3程度まで低下しています。
また、対政府支出比では2000年代後半には12%ほどありましたが、直近では8%ほどまで低下しています。
出所:World Development Indicators, December 2022.
総債務比率(対GDP比)
次に以下のグラフはアフリカ諸国および参考国の政府の総債務比(GDP=100)のランキングを占めています。
なお、総債務に対し、そこから債務証券に対応する金融資産(金・SDR、通貨・預金、負債証券、貸付金、保険・年金・標準保証制度、その他売掛金など)を除いたものを純債務と言います。
米国のGDPに対する総債務比は126であり、アフリカ諸国と比べると3位コンゴ民主共和国と4位ザンビアの間に位置しており、比較的債務残高が蓄積していると言えます。
出所:World Development Indicators, December 2022.
過去の総債務比の推移を見ると1990年ではGDPを100とすると総債務は40ほどでしたが、2000年以降から急増しており、直近では3倍以上まで膨らんでいます。
出所:World Development Indicators, December 2022.
さいごに
今回は一般政府における歳出と歳入の構成や、税収および債務の推移などを整理しました。
なお、今後の歳出・歳入や債務について予測については以下の記事で扱っていますので、是非ご参照ください。