今回はアフリカで高い経済成長を遂げており「アフリカの奇跡」と呼ばれるルワンダの貿易について整理します。
なお、ルワンダの新型コロナ感染状況とGDPの見通しに以前まとめていますので、宜しければこちらもこちらをご覧ください。
貿易収支の推移
早速ですが、以下は1970年以降のルワンダのGDPに占める輸出、輸入および貿易収支のシェアになります。
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”
ルワンダは過去50年間一貫して貿易赤字です。また、その貿易赤字幅も年々拡大傾向にあり、2019年では-14%の貿易収支となっています。
また、1994年に大規模な内戦が生じたことで、貿易収支は-61%と著しい赤字収支となっています。この内戦の影響は大きく、同年の実質GDP成長率はWorld Bankによると-50.2%となっています。
(1994年の-50.2%は、同年では世界で最も低い成長率となっています。)
当時の状況についてはこちらの記事で少し伺うことできます。
1994年、東アフリカのルワンダで起きたジェノサイド(大虐殺)で、80万人を超える人々が殺された。被害者と加害者、当事者…
輸出の構成
以下は2003年以降のルワンダの輸出品の構成です。
ルワンダの主な輸出は1. 農林水産品・食料品と2. 鉱物が大部分を占めていますが、2012年以降は10.宝石・貴金属・美術品(ここでは主に金)が拡大しています。
2019年の輸出の構成は、1. 農林水産品・食料品が37%、2. 鉱物が23%、10.宝石・貴金属・美術品が27%、残りが12%です。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
以下は上記の10分類を100分類弱に細分化した分類の上位5品目を取り上げています。
2019年におけるルワンダの最大の輸出品は71.宝石・貴金属です。金は輸出全体の26%を占めています。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
また、近年輸出のシェアが落ちてきているもの、9. コーヒー、茶、香辛料と26. 鉱石、スラグ及び灰はルワンダの主要輸出製品です。
9. コーヒー、茶、香辛料は具体的には紅茶とコーヒーで2019年ではそれぞれ輸出全体の7.4%と6.4%を占めています。
ルワンダのコーヒーは柑橘系の香りが特徴的です。こちらの記事ではルワンダのコーヒーを紹介しています。
東アフリカの内陸国ルワンダでは1994年にジェノサイドによってコーヒー産業は壊滅状態であったが、各国の支援によって持ち直…
26. 鉱石、スラグ及び灰については、「ニオブ鉱、タンタル鉱、バナジウム鉱及びジルコニウム鉱」と「すず鉱」で2019年ではそれぞれ輸出全体の3.9%と3.2%を占めています。
輸入の構成
一方、輸入の構成については以下のようになっています。
2019年の輸入の構成は、8.機械が22%、2. 鉱物が19%、1.農林水産品・食料品が17%、3.化学製品が13%、残りが28%です。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
輸入品の具体的な商品を見ますと、2019年では27.石油天然ガス等が17%、84.一般機械と85. 電気機械ともに9%です。
2019年には71.宝石・貴金属・美術品(ここでは主に金)の輸入が急増しており8%を占めています。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
その他、医薬品の輸入も多く輸入全体の2.6%を占めています。
貿易相手国の構成
次に貿易相手国を確認します。以下は2019年の貿易相手シェアを表します。
ルワンダの最大の輸出相手国は隣国のコンゴ民主共和国で輸出全体の32.1%に相当します。
2番目はUAEで29.6%です。ルワンダはこの2か国への輸出が全体の6割を超えており、大きく依存していると言えます。
なお、上位10カ国で輸出の87%、上位30カ国では98%を占めています。
出所:UN comtrade.
一方、最大の輸入相手国は中国で全体の19.9%を占めており2位のインド(8.8%)の倍以上を占めています。
上位10カ国では71%、上位30カ国では92%を占めます。(なお、日本は0.9%で上位20番目です)
さいごに
ルワンダの貿易の特徴は以下のとおりです。
- 過去50年間一貫して貿易赤字で、特に1994年は-61%の貿易収支
- 主な輸出品は金、紅茶、コーヒー、鉱石など
- 主な輸出相手国はコンゴ民主共和国およびUAEで、この2か国で輸出の6割を占める。
- 最大の輸入相手国は中国
以上となります。引き続き他の国についても調べています。