ケニアのSDGs指標(SDSN: Sustainable Development Report 2023)

今回は国連の持続可能な開発ソリューションネットワーク(Sustainable Development Solutions Network)が2023/6/21に公表した持続可能な開発報告書2023(Sustainable Development Report 2023)を使って、ケニアのSDGs指標を見ていきたいと思います。

 

なお、SDGs(持続可能な開発目標)については以下の17つのGoalが設定されており、上記の報告書ではこのGoalに関して定量的な指標を公表しています。

SDGs

 

なお、SDGsについては日本ユニセフ協会のHPにてわかりやすく紹介されていますので、よろしければご覧ください。

SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)

親子で学べるSDGs(持続可能な開発目標)サイト「SDGs CLUB(クラブ)」。各目標ごとにターゲットの子ども訳を読ん…

 

ケニアの基本情報

ケニアはソマリア、エチオピア、ウガンダ、タンザニアを隣国にもつ東アフリカの国です。

ケニアの人口は2016年時点で約4,700万人とアフリカでは7番目に人口が多い国です。

人口密度は81人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍ほどです。

 

一人あたりGDPは2016年時点で3,200ドルとアフリカ平均の5,000ドルの6割程度です。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

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SDGs指標ランキング

以下はアフリカ諸国におけるSDGs指標(総合指数)の2000年および2022年のランキングを表しています。

指標は0~100点で評価され、2000年ではスウェーデンが84点が最高点となっており、2022年ではフィンランドが87点で最高点となっています。

なお、括弧内の順位は全世界での順位を表し、日本は2000年では75点で11位でしたが、2022年ではスコアは79点へ上がっているものの順位は21位へ落としています。

また、ここでは参考国として米国と中国も併記しています。

 

ケニアのSDGs指標は2000年では51点でアフリカ諸国内では15位(世界では127位)でしたが、2022年では指標は61点へ上がっているものの、順位は15位(世界では123位)とほぼ変わっておりません。

 

アフリカ諸国におけるSDGs指標ランキング(左図:2000年、右図:2022年)SDGs指標ランキング

出所: Sachs, J.D., Lafortune, G., Fuller, G., Drumm, E. (2023). Implementing the SDG Stimulus. Sustainable Development Report 2023. Paris: SDSN, Dublin: Dublin University Press, 2023. 10.25546/102924

 

時系列推移

以下は2000年以降におけるケニアのSDGs指標の推移を表します。

ここでは、上記のランキングで用いた総合指数と各17Goalの指数の推移を表しています。

総合指数は2000年以降51点から61点へ上がっていますが、内訳の指標を見ると

  • 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう (12→39)
  • 5. ジェンダー平等を実現しよう (43→70)
  • 10. 人や国の不平等をなくそう (23→50)
  • 7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに (16→42)
  • 3. すべての人に健康と福祉を (27→51)
  • 1. 貧困をなくそう (37→49)
  • 4. 質の高い教育をみんなに (60→71)

の7ゴールは10点以上スコアが上昇している一方で、

  • 13. 気候変動に具体的な対策を (99→98)
  • 15. 陸の豊かさも守ろう (61→59)
  • 11. 住み続けられるまちづくりを (58→56)

の3ゴールについてはスコアが低下しています。

 

注:項目名の後ろに付く括弧内の数字は2000年と2022年のスコアを表します。

ケニアのSDGs17指標の推移

ケニアのSDGs指標推移

出所: Sachs, J.D., Lafortune, G., Fuller, G., Drumm, E. (2023). Implementing the SDG Stimulus. Sustainable Development Report 2023. Paris: SDSN, Dublin: Dublin University Press, 2023. 10.25546/102924

 

また、以下は17つのGoalの内訳にあたる詳細な指標(全98指標)について、2000年および2022年の変化を表しています。

 

ケニアのSDGs詳細指標(2000年 vs 2022年)

ケニアのSDGs指標1

ケニアのSDGs指標2

出所: Sachs, J.D., Lafortune, G., Fuller, G., Drumm, E. (2023). Implementing the SDG Stimulus. Sustainable Development Report 2023. Paris: SDSN, Dublin: Dublin University Press, 2023. 10.25546/102924

 

これを見ると、57の指標はスコアを上げており、特に

  • 50. SDG9. 全季節道路を利用できる農村人口(%) (0→71)
  • 32. SDG5. 労働力率の男女比(%) (2→54)
  • 51. SDG9. インターネット利用人口 (9→61)
  • 58. SDG11. 高齢者の貧困率(66歳以上人口に占める割合) (53→99)
  • 23. SDG3. ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)のサービス普及率指数(ワースト0-ベスト100) (6→51)

といった指標は大幅に改善しています。

一方で、19の指標はスコアを下げており、特に

  • 6. SDG2. 肥満(BMI30以上)の有病率(成人人口の割合 (99→87)
  • 80. SDG15. 生物多様性にとって重要な淡水域の平均保護面積(%) (64→46)
  • 35. SDG6. 少なくとも基本的な衛生サービスを利用している人口(%) (100→76)
  • 60. SDG11. 直径2.5ミクロン未満の粒子状物質(PM2.5)の年平均濃度(μg/m3) (83→58)
  • 90. SDG16. 主要な通常兵器の輸出(人口10万人当たりのTIV一定百万米ドル) (67→23)

といった項目は大幅にスコアを下げる結果となっています。

 

注:項目名の後ろに付く括弧内の数字は2000年と2022年のスコアを表します。

さいごに

この記事では17つのGoalについて網羅的に取り上げいますが、以下の記事ではそのうちGoal2: 飢餓をゼロに、Goals14: 海の豊かさを守ろう、Goals15: 陸の豊かさも守ろう、の3つのゴールについて詳細に取り上げていますので、よろしければそちらもご覧ください。

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また、国内では法政大学の川久保研究室がSDGsについて研究に取り組んでいますので、よろしければそちらもご覧ください。

 

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