今回は国連の持続可能な開発ソリューションネットワーク(Sustainable Development Solutions Network)が2023/6/21に公表した持続可能な開発報告書2023(Sustainable Development Report 2023)を使って、ニジェールのSDGs指標を見ていきたいと思います。
なお、SDGs(持続可能な開発目標)については以下の17つのGoalが設定されており、上記の報告書ではこのGoalに関して定量的な指標を公表しています。
なお、SDGsについては日本ユニセフ協会のHPにてわかりやすく紹介されていますので、よろしければご覧ください。
親子で学べるSDGs(持続可能な開発目標)サイト「SDGs CLUB(クラブ)」。各目標ごとにターゲットの子ども訳を読ん…
ニジェールの基本情報
ニジェールはアフリカ中央部に位置しており、7か国に囲まれる内陸の国です。
ニジェールの人口は2016年時点で2,100万人とアフリカでは比較的人口の多い国です。
一方、人口密度は16人/km2とアフリカ平均40人/km2の半分以下の人口密度の高い国です。
一人あたりGDPは2016年時点で1,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの1/5程度であり、アフリカでは5番目に低い国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
今回は2000年以降のアフリカ諸国におけるGDP成長率の相関係数を確認してみます。 まずは、アフリカ諸国のGDPの規模について見てみます。 GDPランキング 以下は2016年のアフリカ諸国におけるGDPランキン[…]
SDGs指標ランキング
以下はアフリカ諸国におけるSDGs指標(総合指数)の2000年および2022年のランキングを表しています。
指標は0~100点で評価され、2000年ではスウェーデンが84点が最高点となっており、2022年ではフィンランドが87点で最高点となっています。
なお、括弧内の順位は全世界での順位を表し、日本は2000年では75点で11位でしたが、2022年ではスコアは79点へ上がっているものの順位は21位へ落としています。
また、ここでは参考国として米国と中国も併記しています。
ニジェールのSDGs指標は2000年では38点でアフリカ諸国内では48位(世界では164位)でしたが、2022年では指標は48点、順位は45位(世界では161位)と僅かに順位を上げています。
アフリカ諸国におけるSDGs指標ランキング(左図:2000年、右図:2022年)
出所: Sachs, J.D., Lafortune, G., Fuller, G., Drumm, E. (2023). Implementing the SDG Stimulus. Sustainable Development Report 2023. Paris: SDSN, Dublin: Dublin University Press, 2023. 10.25546/102924
時系列推移
以下は2000年以降におけるニジェールのSDGs指標の推移を表します。
ここでは、上記のランキングで用いた総合指数と各17Goalの指数の推移を表しています。
総合指数は2000年以降38点から48点へ上がっていますが、それぞれの指標を見ると
- 10. 人や国の不平等をなくそう (31→63)
- 15. 陸の豊かさも守ろう (52→74)
- 5. ジェンダー平等を実現しよう (23→44)
- 3. すべての人に健康と福祉を (19→38)
- 11. 住み続けられるまちづくりを (32→46)
- 17. パートナーシップで目標を達成しよう (41→52)
の6ゴールは10点以上スコアが上昇しています。
注:項目名の後ろに付く括弧内の数字は2000年と2022年のスコアを表します。
ニジェールのSDGs17指標の推移
出所: Sachs, J.D., Lafortune, G., Fuller, G., Drumm, E. (2023). Implementing the SDG Stimulus. Sustainable Development Report 2023. Paris: SDSN, Dublin: Dublin University Press, 2023. 10.25546/102924
また、以下は17つのGoalの内訳にあたる詳細な指標(全98指標)について、2000年および2022年の変化を表しています。
ニジェールのSDGs詳細指標(2000年 vs 2022年)
出所: Sachs, J.D., Lafortune, G., Fuller, G., Drumm, E. (2023). Implementing the SDG Stimulus. Sustainable Development Report 2023. Paris: SDSN, Dublin: Dublin University Press, 2023. 10.25546/102924
これを見ると、44の指標はスコアを上げている一方で、9の指標はスコアを下げています。特に
- 22. SDG3. WHOが推奨するワクチンを2回接種した乳児の生存率(%) (0→66)
- 32. SDG5. 労働力率の男女比(%) (0→51)
- 79. SDG15. 生物多様性にとって重要な陸域の平均保護面積(%) (8→58)
- 11. SDG3. 妊産婦死亡率(出生10万人当たり) (0→46)
- 61. SDG11. 改善された水道水源へのアクセス(都市人口の割合) (26→70)
といった指標は大幅に改善している一方で、
- 6. SDG2. 肥満(BMI30以上)の有病率(成人人口の割合 (100→92)
- 46. SDG8. 失業率(15歳以上の労働力人口に占める割合) (62→53)
- 52. SDG9. モバイル・ブロードバンド契約数(人口100人当たり) (31→18)
- 90. SDG16. 主要な通常兵器の輸出(人口10万人当たりのTIV一定百万米ドル) (77→56)
- 85. SDG16. 未決拘禁者(刑務所人口に占める割合) (89→47)
といった項目は大幅にスコアを下げる結果となっています。
注:項目名の後ろに付く括弧内の数字は2000年と2022年のスコアを表します。
さいごに
この記事では17つのGoalについて網羅的に取り上げいますが、以下の記事ではそのうちGoal2: 飢餓をゼロに、Goals14: 海の豊かさを守ろう、Goals15: 陸の豊かさも守ろう、の3つのゴールについて詳細に取り上げていますので、よろしければそちらもご覧ください。
また、国内では法政大学の川久保研究室がSDGsについて研究に取り組んでいますので、よろしければそちらもご覧ください。