今回はセーシェルの貿易について整理します。
セーシェルの基本情報
セーシェルはインド洋に浮かぶ島国でアフリカでは有数のリゾート地で知られています。そのためホテルやレストランの物価はアフリカでも著しく高いです。
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セーシェルの人口は2016年時点で約10万人とアフリカではもっとも人口の少ない国です。
一方、国土もアフリカでもっとも狭いため、人口密度は211人/km2とアフリカ平均の40人/km2の5倍以上であり、アフリカでも5番目に密度の高い国です。
一人あたりGDPは2016年時点で27,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの5倍以上あり、アフリカでは2番目に高くなっています。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
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貿易収支の推移
以下は1970年以降のセーシェルのGDPに占める輸出、輸入および貿易収支のシェアを表します。
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”
セーシェルでは過去50年ではほとんどの年次で貿易赤字であり、平均-12%の貿易収支となっています。
直近の2019年では-6%となっています。
輸出の構成
以下は1994年以降のセーシェルの輸出品の構成です。
主な輸出は1.農林水産品・食料品と2.鉱物であり、それぞれ2019年では40%と37%を占めています。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を筆者が10分類へ集計している。
以下は上記の10分類を100分類弱に細分化した分類の上位5品目を取り上げています。
具体的な主な輸出品は16.肉製品・魚介製品と27.石油天然ガス等です。変動もあるものの、この2商品で輸出全体のおよそ80-90%を占めます。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
また、単価が大きいため、年次により変動が激しいですが89.船舶の輸出も20%程度占める年次があります。
ただし、セーシェルでは船舶の製造はほぼ無いでしょうから、中古品もしくは輸入品の輸出かと思われます。
輸入の構成
一方、輸入の構成については以下のようになっています。
2019年の輸入の構成は、8.機械が43%、1.農林水産品・食料品が19%、2. 鉱物が17%、残りが21%です。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を筆者が10分類へ集計している。
輸入品の具体的な商品を見ますと、2019年では89.船舶が26%、27.石油天然ガス等が16%、3.魚介類が8%、84. 一般機械が7%、85.電気機械が4%です。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
セーシェルは研究的な油田開発はおこなっているものの、商業利用可能な規模の油田の開発はまだされておりません。
そのため、27石油天然ガス等は輸入に頼っているのが現状です。主な輸出品にも石油が挙げられますが、輸出している石油は輸入したものが輸出へ回っていると想像されます。
89.船舶についても国内で製造はほとんどないと思われますので、輸入にほぼ頼っていると思います。(また、石油同様に一部は輸出へ回っていると思います)
3.魚介類の輸入は主に冷凍された魚介類です。
貿易相手国の構成
次に貿易相手国を確認します。以下は2019年の貿易相手シェアを表します。
最大の輸出相手国はUAEで輸出全体の37%を占めます。
なお、上位10カ国で輸出の90%、上位30か国で99%を占めています。
出所:UN comtrade.
最大の輸入相手国もUAEで全体の22%を占めています。
なお、上位10カ国では76%、上位30カ国では95%を占めます。
多くのアフリカ諸国で主な貿易相手となっている中国はセーシェルとの貿易では存在感は薄れています。
さいごに
セーシェルの貿易の特徴は以下のとおりです。
- 過去50年では平均-12%の貿易赤字
- 主な輸出品は石油天然ガスと肉製品・魚介製品
- 主な輸入品は石油天然ガス、船舶
- 主な輸出相手国および輸入相手国はUAE
以上となります。引き続き他の国についても調べています。