今回は南アフリカの貿易について整理します。
貿易収支の推移
早速ですが、以下は1970年以降の南アフリカのGDPに占める輸出、輸入および貿易収支のシェアになります。
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”
南アフリカでは、輸出額と輸入額はほぼGDPの20-30%で推移しています。
貿易収支は、1970年代後半から1990年代前半は貿易黒字の傾向にありましたが、近年では貿易収支はほぼ均衡しています。
輸出の構成
以下は2000年以降の南アフリカの輸出品の構成です。
2020年の南アフリカの輸出は2.鉱物が24%、10.宝石・貴金属・美術品が23%、8.機械が19%、1.農林水産品・食料品が12%と輸出品は比較的多岐にわたっています。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
具体的な主な輸出品を見ると、もっとも輸出している商品は宝石・貴金属でおよそ20%を占めています。
その内訳は2020年ではプラチナ(白金)が13ポイント、金が8ポイントです。
南アフリカは世界でも有数のプラチナや金の産出国ですので、特徴的な輸出構成と言えます。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
また、26鉱石、スラグ及び灰は近年上昇傾向にあり2020年では15%に達しています。その内訳は鉄鉱石が8ポイント、マンガンが3ポイントです。
南アフリカはアフリカではもっとも自動車を生産している国でもあり、そのため87自動車の輸出はその特徴でもあります。
詳しくはこちらをご覧ください。
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その他としては27.原油天然ガス等が8%、84.一般機械が6%です。
輸入の構成
一方、輸入の構成については以下のようになっています。
2020年の輸入の構成は、8.機械が33%、3.化学製品が17%、2.鉱物が14%、残りが35%です。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
輸入品の具体的な商品を見ると、2020年では27.石油天然ガス等(ここでは石油がほとんど)が14%、84.一般機械が13%です。
また、85.電気機械は10%ですが、そのうち4ポイントは電話(携帯電話含む)です。
南アフリカは87.自動車を輸出していますが、輸入も多くしており2020年では輸入の6%を占めています。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
貿易相手国の構成
次に貿易相手国を確認します。以下は2020年の貿易相手シェアを表します。
南アフリカの最大の輸出相手国は中国で輸出全体の11.5%に相当します。
また、上位10カ国で輸出の60%、上位30カ国では87%を占めています。(なお、日本は4.5%で上位6番目です)
出所:UN comtrade.
また最大の輸入相手国も中国で全体の20.8%を占めており、2番目のドイツとは2倍以上の差があります。
上位10カ国では59%、上位30カ国では85%を占めます。(なお、日本は2.8%で上位8番目です)
さいごに
南アフリカの貿易の特徴は以下のとおりです。
- 輸出および輸入はGDPの20-30%を占めており、近年の貿易収支はほぼ±0
- 主な輸出品はプラチナ・金などの貴金属で輸出の20%程度を占める
- アフリカでは珍しく自動車を多く輸出している
- 石油の輸入が多く、全体の15-25%を占める
- 最大の貿易相手国は輸出・輸入ともに中国
以上となります。