今回は南アフリカの関税率について整理します。
関税率などのデータはWTO Statが公表している、最恵国待遇相手における関税率や免税率などを用いています。
なお、貿易について以下の記事を参照ください。
今回は南アフリカの貿易について整理します。 貿易収支の推移 早速ですが、以下は1970年以降の南アフリカのGDPに占める輸出、輸入および貿易収支のシェアになります。 出所:UN "The[…]
南アフリカの基本情報
南アフリカの人口は2016年時点で約5,500万人とアフリカでは6番目に人口の多い国です。
人口密度は45人/km2とアフリカ平均の40人/km2とほぼ近い水準にあります。
一人あたりGDPは2016年時点で13,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの2倍以上です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
今回は2000年以降のアフリカ諸国におけるGDP成長率の相関係数を確認してみます。 まずは、アフリカ諸国のGDPの規模について見てみます。 GDPランキング 以下は2016年のアフリカ諸国におけるGDPランキン[…]
国際比較ランキング
関税率
以下のグラフはアフリカ諸国における関税率のランキングを示しています。
(左図は、輸入金額をウェイトした加重平均の平均関税率、右図は、輸入品目ごとの関税率の単純平均で評価しています。)
日本や米国の平均関税率(金額ウェイト)は2020年では2%ほどとなっており、また2021年の平均関税率(単純平均)はそれぞれ4%と3%となっています。
その水準はアフリカ諸国と比べると著しく低い水準であり、日本と米国は国際貿易市場に対してオープン化していると見なせます。
一方、南アフリカは平均関税率(金額ウェイト)についてはアフリカでは44番目の6%、平均関税率(単純平均)は45番目の8%と比較的低い水準の関税率を設けています。
出所:WTO Stat
無税率・免税率
以下のグラフはアフリカ諸国における無税率・免税率のランキングを示しています。
(左図は、輸入額全体に対する無税となる輸入額合計の比率、右図は、輸入品目数に対して免税されている品目数の比率。)
日本と米国では、無税率(金額ウェイト)はそれぞれ77%、57%と輸入額の大半以上は非課税品目であり、また免税率(品目換算)はそれぞれ53%、47%と輸入品目の半数ほどが非課税とされています。
一方、南アフリカの無税率(金額ウェイト)は4番目の64%であり、免税率(品目換算)は4番目の60%とアフリカでは高い非課税比率となっています。
出所:WTO Stat
2期間比較
輸入シェア
以下は南アフリカの2005年と2020年における輸入品目の金額構成を表しています。
同期間において、19.非電化機械や21.輸送用機器などはシェアを下げる一方で、14.化学品などはシェアを拡大させています。
出所:WTO Stat
関税率
以下は細品目ごとの関税率を単純平均した22分類ごとの平均関税率を表しています。
南アフリカの平均関税率は2021年では8%と2006年から変わっておりません。
また、輸入金額を用いた加重平均関税率においても6%で同期間において変わっておりません。
ただし、各分類レベルで見ると2.乳製品などは大幅に関税率を下げる一方で、7.砂糖などは関税率を上げています。
出所:WTO Stat
無税率・免税率
以下は22分類ごとの輸入額に対する無税となる輸入額の比率を表しています。
輸入額ベースでの全体で見れば、無税率は2005年から2020年で67%から64%へ僅かに低下しています。
個別の分類でみると13.石油類や9.綿花などは無税率を低下させており、一方で15.木材や1.動物生産品などは大幅に無税率を上げています。
出所:WTO Stat
以下は22分類ごとの輸入品目数に対して免税されている品目数の比率を表しています。
こちらについては無税率と異なり、全体としての免税率は57%から60%へ僅かに上げています。
個別に見ると、15.木材などは大幅に免税率を上昇させている一方で、11.魚介類などは免税率を大幅に下げています。
出所:WTO Stat
さいごに
今回は関税率や免税率などを通じて国際貿易への開放具合について見てきました。
なお、この期間における経済成長について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
今回は南アフリカの経済成長を成長会計の観点からフォーカスしたいと思います。 成長会計とは、経済成長の内訳の要因を明らかにしようとするものであり、基本的に労働投入、資本投入、これら2つ以外で成り立つ全要素生産性(TFP: Total F[…]