今回はエジプトに関する観光に関するデータを整理します。
なお、この記事は世界観光機関（World Tourism Organization）が公開している観光統計データベース（UNWTO Tourism Statistics Database）を用いています。
エジプトの基本情報
エジプトの人口は2016年時点で
約9,300万人とアフリカでは3番目に人口の多い国です。
人口密度は93人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍以上です。
一人あたりGDPは2016年時点で12,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの2倍以上です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
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入国者数（外国人観光客数）
以下はエジプトにおける1995年以降の外国人入国者数の推移（左図）とその構成（右図）を示しています。
また、1段目のグラフは宿泊者か当日出国者を表し、2段目は入国の目的、3段目は入国手段、4段目は入国者の地域を表しています。
まず入国者数全体を見ると、エジプトでは1995年では300万人ほどの入国者がおり、2010年には1,500万人ほどまで年々上昇傾向にありましたが、2010年におきたアラブの春以降入国者は減少し、2016年には600万人以下まで減少しています。
しかし、その後は上昇へ転じ2019年には1,300万人ほどまで回復しますが、2020年には新型コロナの影響により400万人以下まで減少しています。
出所：World Tourism Organization (2023), UNWTO Tourism Statistics Database, Madrid, data updated on 25/01/2023
次に入国者の構成を確認します。
はじめに1段目の入国者数の宿泊者か当日出国者からの内訳をみると、多くの入国者はエジプトでの宿泊を予定しており、当日に出国する日帰り観光客は全体の1割未満となっています。また、その傾向は年々減少傾向となっています。
次に2段目の入国目的を見ると、入国者の9割以上はプライベート目的での入国であり、その大半は観光目的と思われます。ビジネス目的は全体の数%に留まり、またそのシェアは僅かに減少傾向となっています。
3段目の入国手段を見ると、その多くは空路であり、そのシェアは1995年から直近にかけて7割ほどから8割ほどまで上昇傾向にあります。それにともない水路や陸路についてはともに年々シェアを縮小させています。
4段目では入国者の出身地域を表しています。
これを見ると、1995年以降多くの変化はみられず、ヨーロッパがおおよそ50-60%ほどを占めており、次は中東で20%ほど、アメリカ、アジア、アフリカにそれぞれおおよそ5%程度で推移しています。
観光客の観光関連の消費額
ここでは外国人のエジプトでの消費額（左図）と一人あたり消費額（右図）を表しています。
また、参考としてエジプト人の海外での消費額合計（下段左図）とエジプト人の一人あたりの海外での消費額（下段右図）を並記しています。
外国人のエジプトでの消費額合計は1995年では30億ドルほどでしたが、2010年には140億ドルほどまで上昇したのち、入国者の下落に伴い、2016年には再度30億ドルほどまで減少してます。
その後は上昇し、2019年には140億ドルの水準まで戻りますが、2020年には新型コロナの影響により再び消費額が下落しています。
これらを一人あたり消費額で見ると、1995年から2012年までは一人あたり消費額が900ドル程度で安定していますが、2013年以降下落し、2016年には600ドルほどまで下がりますが、2020年には1,300ドルまで急増しています。
注：一人あたり消費額については消費額を入国者もしくは出国者数で除して算定している。
出所：World Tourism Organization (2023), UNWTO Tourism Statistics Database, Madrid, data updated on 25/01/2023.
なお、エジプト人の海外での消費額を見ると1995年では海外で15億ドルほど消費していましたが、2016年には45億ドルほどまで3倍に増加するものの、その後は低下しています。
また、エジプト人一人あたり消費額を見ると、データの確認できる限りにおいてはおおよそ500-600ドルほどで推移しています。
宿泊施設
以下はエジプトにおける宿泊施設数（左図）と稼働率および宿泊者の滞在日数を（右図）を表しています。
エジプトでは1995年から2010年までは宿泊施設は800施設ほどから1,500施設ほどまで安定して増加しており、またそれに付随する客室数とベッド数もそれぞれ5万室⇒22万室、13万台⇒45万台と拡大しますが、アラブの春以降は僅かに下落傾向にあります。
出所：World Tourism Organization (2023), UNWTO Tourism Statistics Database, Madrid, data updated on 25/01/2023
また、客室稼働率はアラブの春以前は60-70%ほどありましたが、その後は30%ほどまで下落しております。
（なお、ベッド稼働率についてはデータが公表されておりません。）
一方、宿泊者の平均滞在日数は1999年では4日ほどでしたが、2004年には10日ほどまで上昇したのち、その後は変動はあるものの水準は変わっておりません。
観光産業労働者数
以下はエジプトにおける観光産業に従事する労働者数（左図）とその構成（右図）を表しています。
出所：World Tourism Organization (2023), UNWTO Tourism Statistics Database, Madrid, data updated on 25/01/2023
（確認できるデータは限定的ですが、）観光関連の労働者数の推移をみると2010年では160万人ほどいましたが、2015年には200万人ほどまで拡大しています。
その内訳をみると旅客運送業に従事する労働者は全体の6割ほどを占め最大の業種となっており、それに次ぐのは飲食業であり全体の2割ほどを占めています。
また、この期間において構成比はほぼ変わっておりません。
なお、観光産業に限らずエジプト全体における産業別労働者については以下の記事に参照しておりますので、よろしければご覧ください。
今回はエジプトの産業構造を確認します。 エジプトの貿易構造と人口構成についてはこちらをご覧ください。 [sitecard subtitle=関連記事 url=https://africa-keizai.com[…]
さいごに
今回は世界観光機関のデータベースに基づき観光に関する指標見てきました。
本サイトでは他にも、観光に関する貿易収支や、アフリカ諸国内ので観光客数ランキングなどまとめた記事も公開していますので、よろしければご覧ください
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