今回はモロッコに関する観光に関するデータを整理します。
なお、この記事は世界観光機関(World Tourism Organization)が公開している観光統計データベース(UNWTO Tourism Statistics Database)を用いています。
モロッコの基本情報
モロッコは地中海に接する北アフリカの国です。
モロッコの人口は2016年時点で約3,500万人とアフリカでは11番目に人口が多い国です。
人口密度は78人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍程度です。
一人あたりGDPは2016年時点で8,100ドルとアフリカ平均の5,000ドルの1.6倍程度です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
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入国者数(外国人観光客数)
以下はモロッコにおける1995年以降の外国人入国者数の推移(左図)とその構成(右図)を示しています。
また、1段目のグラフは宿泊者か当日出国者を表し、2段目は入国の目的、3段目は入国手段、4段目は入国者の地域を表しています。
まず入国者数全体を見ると、1995年では300万人ほどの入国者がおり、2019年には1,300万人ほどまで一貫して上昇傾向にありましたが、2020年には新型コロナの影響により300万人以下まで激減しています。
出所:World Tourism Organization (2023), UNWTO Tourism Statistics Database, Madrid, data updated on 25/01/2023
次に入国者の構成を確認します。
はじめに1段目の入国者数の宿泊者か当日出国者からの内訳をみると、多くの入国者は宿泊を予定しており、当日に出国する日帰り観光客は全体の1割未満となっています。また、その傾向は年々減少傾向となっています。
次に2段目の入国目的を見ると、入国者の約9割はプライベート目的での入国であり、その大半は観光目的と思われます。ビジネス目的は全体の数%に留まりますが、近年では僅かにシェアが拡大傾向となっています。
3段目の入国手段を見ると、その多くは空路であり、そのシェアは1995年から直近にかけて4割ほどから9割ほどまで上昇傾向にあります。それにともない、水路は4割ほどから1割ほどへ、陸路に関しては1割ほどからほぼ0%へシェアを縮小させています。
4段目では入国者の出身地域を表しています。
これを見ると、1995年以降多くの変化はみられず、ヨーロッパがおおよそ40%ほどを占めており、アメリカ、アフリカ、アジアはともに数%程度にとどまります。また、入国者の大半は不詳となっています。
観光客の観光関連の消費額
ここでは外国人のモロッコでの消費額(左図)と一人あたり消費額(右図)を表しています。
また、参考としてモロッコ人の海外での消費額合計(下段左図)と一人あたりの海外での消費額(下段右図)を並記しています。
外国人のモロッコでの消費額合計は1995年では20億ドルほどでしたが、2019年には100億ドルほどまで上昇しています。
しかし、2020年には新型コロナの影響により40億ドル程度まで急激に下落しています。
これらを一人あたり消費額で見ると、1995年では一人あたり消費額は600ドル程度でしたが、2008年には1,000ドルまで上昇したのち、新型コロナの前の2019年には800ドルほどまで低減しています。その後は新型コロナの影響により1,000ドル以上まで急増しています。
注:一人あたり消費額については消費額を入国者もしくは出国者数で除して算定している。
出所:World Tourism Organization (2023), UNWTO Tourism Statistics Database, Madrid, data updated on 25/01/2023.
一方、モロッコ人の海外での消費額を見ると1995年では海外で4億ドルほど消費していましたが、2019年には30億ドルほどまで急増していますが、その後は新型コロナの影響により15億ドルほどまで低下しています。
(なお、モロッコ人の一人あたり消費額についてはデータが確認できません。)
宿泊施設
以下はモロッコにおける宿泊施設数(左図)と稼働率および宿泊者の滞在日数を(右図)を表しています。
宿泊施設数に関しては1995年から2002年まではおおよそ400施設ほどで推移していきましたが、2003年以降は急増し2021年には4,500施設ほどまで増加しています。またそれに付随する客室数とベッド数もそれぞれ5万室⇒13万室、9万台⇒28万台と拡大しています。
出所:World Tourism Organization (2023), UNWTO Tourism Statistics Database, Madrid, data updated on 25/01/2023
また、新型コロナの以前では客室稼働率は40-50%ほど、ベッド稼働率は30-40%ほどありましたが、新型コロナ以降にはともに半減しています。
一方、宿泊者の平均滞在日数は2010年以前は5-8日ほどでしたが、2011年以降では3日ほどまで低下しています。
観光産業労働者数
以下はモロッコにおける観光産業に従事する労働者数(左図)とその構成(右図)を表しています。
出所:World Tourism Organization (2023), UNWTO Tourism Statistics Database, Madrid, data updated on 25/01/2023
(確認できるデータは限定的ですが、)観光関連の労働者数の推移をみると2008年では40万人ほどいましたが、2019年には55万人ほどまで拡大しています。
その内訳をみると宿泊サービスが3割ほど、飲食業が2割ほどとこの2業種で全体の半分を占めています。
また、構成比については2012年以降統計的には変わっておりません。
なお、観光産業に限らずモロッコ全体における産業別労働者については以下の記事に参照しておりますので、よろしければご覧ください。
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さいごに
今回は世界観光機関のデータベースに基づき観光に関する指標見てきました。
本サイトでは他にも、観光に関する貿易収支や、アフリカ諸国内ので観光客数ランキングなどまとめた記事も公開していますので、よろしければご覧ください
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