今回はアフリカとの比較の参考国として米国(アメリカ)の旅行関連のデータについて整理します。
米国(アメリカ)については既に知っていることも多いと思いますが、改めてアフリカ諸国と同一の分析フレームで確認しようと思います。
アフリカ諸国における外国人観光客数ランキング(2019年以前)
以下は新型コロナ以前における日本とアフリカ諸国における外国人観光客の受け入れ人数のランキングです。
出所:World Bank “World Development Indicators”, December 2022 注:国名後のカッコ内はデータの利用年次を表す。
新型コロナ以前の2019年における米国(アメリカ)を訪れた外国人観光客数は1.65億人です。
アフリカでもっとも外国人観光客が多い南アフリカ(1,500万人)と比較すると10倍以上となっています。
外国人観光客数と海外旅行客数
以下は1995-2020年の米国(アメリカ)を訪れた外国人観光客数と米国(アメリカ)からの海外旅行客数を表します。
米国(アメリカ)を訪れた外国人観光客数は1995年では8,000万人超ほどでしたが、2006年には1.8億人超まで増加しましたが、2020年には新型コロナの影響により4,500万人程度まで激減しています。
出所:World Bank “World Development Indicators”, December 2022
一方、米国(アメリカ)からの海外への旅行客は1995年では7,400万人ほどでしたが、2019年には1.7億人まで増加しています。ただし、こちらも新型コロナの影響により2020年には6,100万人へ減少しています。
旅行によるサービス貿易収支
外国人観光客の旅行による消費は通常サービスの輸出として捉えられます。また、逆に自国民の海外旅行での消費はサービスの輸入として扱われます。
以下は、そのサービス輸出とサービス輸入のGDPにおけるシェアを表します。
出所:World Bank “World Development Indicators”, December 2022に基づく推計値
米国(アメリカ)は基本的には米国(アメリカ)から海外へ旅行する観光客よりも、海外からの米国(アメリカ)を訪れる観光客の方が多くため、旅行によるサービス貿易は常時黒字収支となっています。
旅行におけるサービス収支は変動はあるものの、1995年以降おおよそGDP比で0.1~0.5%の間で推移しています。
旅行者あたり消費額
上記のサービス貿易は旅行者全体の消費額を表すため、それを旅行客数で除することで旅行客一人当たりの消費額を試算することができます。
以下は、外国人観光客一人当たりの消費額(=サービス輸出/外国人観光客数)と米国(アメリカ)から海外を訪れる旅行客一人当たりの消費額(=サービス輸入/海外旅行客数)の推移を表しています。
出所:World Bank “World Development Indicators”, December 2022に基づく推計値
米国(アメリカ)を訪れる外国人観光客一人当たりの消費額は2006年の700ドルから2019年には1,400ドルほどへ上昇しています。
一方で、米国(アメリカ)からの海外へ旅行する一人当たりの消費額は1995年から2019年では800ドルから1,100ドルへ増加しています。
さいごに
米国(アメリカ)の旅行についてまとめると以下のとおりです。
- 米国(アメリカ)を訪れる外国人観光客数は1995年から2019年では7,400万人から1.7億人まで増加し、2020年には4,500万人程度まで激減
- 旅行によるサービス貿易はGDP比で0.1~0.5%の貿易黒字
- 外国人観光客一人当たりの消費額は2006年の700ドルから2019年には1,400ドルほどへ上昇