モロッコの産業構造:GDPシェア、GDP寄与度、労働者数シェア、労働生産性について

今回はモロッコの産業構造を確認します。

 

モロッコの基本情報

モロッコは地中海に接する北アフリカの国です。

 

モロッコの人口は2016年時点で約3,500万人とアフリカでは11番目に人口が多い国です。

人口密度は78人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍程度です。

 

一人あたりGDPは2016年時点で8,100ドルとアフリカ平均の5,000ドルの1.6倍程度です。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

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産業別GDP構成比

早速ですが、以下はモロッコの1970年から2019年までの産業別のGDP構成比の推移を表します。

出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”

 

モロッコの主な産業は7.その他サービスで1970年では一国全体の25%を占めていましたが、近年では40%近くまで増加しています。

一方、1.農業、3.製造業、5.商業・レストラン・ホテルは一貫してシェアが減少傾向にあります。

 

産業別GDP寄与度

以下はGDPにおける5年平均の産業別寄与度を表します。

出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”に基づく推計値

 

モロッコは1980年代後半、1990年代を除けば、おおよそ4-5%の経済成長を遂げています。

産業別就業者数シェア

以下は1991年から2019年の産業別就業者数のシェアを表します。

出典:ILO Modelled Estimatesに基づく推計

 

もっとも就業者の多い産業は1.農業で1991年には一国全体の過半数を占めていましたが、近年では35%程度まで減少しています。

一方、近年では5.商業・レストラン・ホテルと7.その他サービスは15%から20%まで増加しています。

 

産業別労働生産性(産業別就業者あたりGDP)

以下は2019年における産業別の労働生産性(産業別の就業者一人あたりGDP)を米ドル換算で表しています。

出典:ILO Modelled EstimatesおよびUN “The National Accounts Main Aggregates Database”に基づく推計

 

2019年における全体の労働生産性は9,600ドルほどですが、産業によりそれは大きく異なります。

もっとも労働生産性が高い産業は2.鉱業・電ガス水であり、労働生産性は50,000ドルほどです。

一方、もっとも生産性の低い産業は1.農業であり労働生産性はわずか4,000ドル程度となっています。

 

さいごに

モロッコの産業構造についてまとめると以下のとおりです。

  • 主な産業は7.サービスであり、一国全体のGDPの40%を占める
  • 1980年代前半と1990年代を除けば年平均4-5%と安定した経済成長
  • 就業者の多い産業は1.農業で一国全体の35%、5.商業・レストラン・ホテルと7.その他サービスは20%
  • 労働生産性が高い産業は2.鉱業・電ガス水(50,000ドル)。一方もっとも低いのは1.農業(4,000ドル)

引き続き他の国についても調べていきます。

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