今回はコンゴ民主共和国の国富(National wealth)についてです。
なお、国富(National wealth)とはストックを表し、これに対応するフローがGDPと見ることができます。
ここでは、World Bank Groupが公表している”Changing Wealth of Nations (CWON) 2018”のデータに基づいて見ていきます。
コンゴ民主共和国の基本情報
コンゴ民主共和国はアフリカ中部に位置する内陸の国です。
コンゴ民主共和国の人口は2016年時点で8,000万人とアフリカでは4番目に人口の多い国です。
一方、人口密度は34人/km2とアフリカ平均40人/km2の8割程度の水準です
一人あたりGDPは2016年時点で800ドルとアフリカ平均の5,000ドルの2割程度であり、アフリカで3番目に低位の国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
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国富の内訳と国際比較
今回用いる国富(National wealth)データは世界銀行のCWONを利用しています。
CWONでは、国富の分類を大きく人的資本*(Human capital)、自然資本(Natural capital)、生産資本**(Produced capital)、対外純資産(Net foreign assets)4つ分けています。
また、人的資本と自然資本はさらに細かい分類に分かれています。
以下はコンゴ民主共和国および参照国として日本、アメリカ、中国、ドイツ、ブラジルの2018年の国富を表しています。
*:OECDによると人的資本は「個人的、社会的、経済的厚生の創出に寄与する知識、技能、能力及び属性で、個々人に具わったもの」と定義されており、ここでは就業状態にある者に限定されています。そのため、女性の就業率が低い国は、女性の人的資本が少なくなる傾向にあります。
**:生産資本には都市部の土地や建設物を含みます。
表1:一国全体の国富
出所:World Bank Group ”Changing Wealth of Nations (CWON) 2018”
2018年のコンゴ民主共和国の国富の総額は0.76兆ドルです。
一方、日本は71兆ドル、アメリカは285兆ドル、中国は243兆ドル、ドイツは56兆ドル、ブラジルは25兆ドルとコンゴ民主共和国を大きく上回っています。
また、国富の内訳を見るとコンゴ民主共和国の人的資本は48%、自然資本は42%、生産資本は13%、純対外資産が-3%となっています。
これは他の先進国に比べると、自然資本のシェアが著しく高い一方で、相対的に人的資本や生産資本は低いシェアとなっています。
表2:一国全体の国富シェア
出所:World Bank Group ”Changing Wealth of Nations (CWON) 2018”
なお、一人当たり国富では0.9万ドルほどであり、アメリカに対しては1/100程度、中国に対しては1/20程度の水準となっています。
表3:一人当たり国富
出所:World Bank Group ”Changing Wealth of Nations (CWON) 2018”
一人当たり国富の推移
以下は1995-2018年の国富の推移を表します。また、参考として日本の推移も並べています。
この20年強と限られた期間では資本の蓄積は急激に変動することありませんが、コンゴ民主共和国は自然資本は減少しているのに対し、人的資本や生産資本は増加しています。
一方、日本は人的資本が減少傾向にあります。
図1:一人当たり国富の推移
出所:World Bank Group ”Changing Wealth of Nations (CWON) 2018”
さいごに
今回は一国の富(Natural wealth)の内訳や推移について可視化しました。
生産要素となる富は、GDPに直結するため、経済の拡大には富の蓄積が必須となりますので、継続的な観察が重要となります。
今回は少しニッチな内容でしたが、引き続き他についてもいろいろ調べています。