今回はジンバブエの国富(National wealth)についてです。
なお、国富(National wealth)とはストックを表し、これに対応するフローがGDPと見ることができます。
ここでは、World Bank Groupが公表している”Changing Wealth of Nations (CWON) 2018”のデータに基づいて見ていきます。
ジンバブエの基本情報
ジンバブエはナミビア、ボツワナ、南アフリカ、モザンビーク、ザンビアを隣国に持つ南アフリカの内陸国です。
ジンバブエの人口は2016年時点で約1,600万人で、アフリカでは中位の国です。また人口密度もアフリカ平均の40人/km2に対してほぼ同じ41人/km2です。
一人あたりGDPは2016年時点で1,800ドルとアフリカ平均の5,000ドルの4割程度です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
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国富の内訳と国際比較
今回用いる国富(National wealth)データは世界銀行のCWONを利用しています。
CWONでは、国富の分類を大きく人的資本*(Human capital)、自然資本(Natural capital)、生産資本**(Produced capital)、対外純資産(Net foreign assets)4つ分けています。
また、人的資本と自然資本はさらに細かい分類に分かれています。
以下はジンバブエおよび参照国として日本、アメリカ、中国、ドイツ、ブラジルの2018年の国富を表しています。
*:OECDによると人的資本は「個人的、社会的、経済的厚生の創出に寄与する知識、技能、能力及び属性で、個々人に具わったもの」と定義されており、ここでは就業状態にある者に限定されています。そのため、女性の就業率が低い国は、女性の人的資本が少なくなる傾向にあります。
**:生産資本には都市部の土地や建設物を含みます。
表1:一国全体の国富
出所:World Bank Group ”Changing Wealth of Nations (CWON) 2018”
2018年のジンバブエの国富の総額は0.3兆ドルです。
一方、日本は71兆ドル、アメリカは285兆ドル、中国は243兆ドル、ドイツは56兆ドル、ブラジルは25兆ドルとジンバブエを大きく上回っています。
また、国富の内訳を見るとジンバブエの人的資本は67%、自然資本は19%、生産資本は18%、純対外資産が-4%となっています。
これは他の先進国に比べても、人的資本や自然資本のシェアは高い一方で、生産資本のシェアが低くなっています。
また、純対外資産が大きなのマイナスとなっているのが特徴的です。
表2:一国全体の国富シェア
出所:World Bank Group ”Changing Wealth of Nations (CWON) 2018”
なお、一人当たり国富では2.3万ドルほどであり、一国全体での比較に比べ、
中国(17.4万ドル)との格差は縮小される一方で、日本(55.9万ドル)やドイツ(67.2万ドル)とは格差がさらに拡大します。
表3:一人当たり国富
出所:World Bank Group ”Changing Wealth of Nations (CWON) 2018”
一人当たり国富の推移
以下は1995-2018年の国富の推移を表します。また、参考として日本の推移も並べています。
この20年強と限られた期間では、人的資本は一度減少し、2000年半ば以降は上昇へ転じています。
また、この期間では自然資本や生産資本は減少傾向にあります。
一方、日本は人的資本が減少傾向にあるのに対し、生産資本および対外純資産は増加傾向にあります。
図1:一人当たり国富の推移
出所:World Bank Group ”Changing Wealth of Nations (CWON) 2018”
さいごに
今回は一国の富(Natural wealth)の内訳や推移について可視化しました。
生産要素となる富は、GDPに直結するため、経済の拡大には富の蓄積が必須となりますので、継続的な観察が重要となります。
今回は少しニッチな内容でしたが、引き続き他についてもいろいろ調べています。