モザンビークのSDGs指標(SDSN: Sustainable Development Report 2023)

今回は国連の持続可能な開発ソリューションネットワーク(Sustainable Development Solutions Network)が2023/6/21に公表した持続可能な開発報告書2023(Sustainable Development Report 2023)を使って、モザンビークのSDGs指標を見ていきたいと思います。

 

なお、SDGs(持続可能な開発目標)については以下の17つのGoalが設定されており、上記の報告書ではこのGoalに関して定量的な指標を公表しています。

SDGs

 

なお、SDGsについては日本ユニセフ協会のHPにてわかりやすく紹介されていますので、よろしければご覧ください。

SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)

親子で学べるSDGs(持続可能な開発目標)サイト「SDGs CLUB(クラブ)」。各目標ごとにターゲットの子ども訳を読ん…

 

モザンビークの基本情報

モザンビークは南アフリカ、ジンバブエ、ザンビア、タンザニア、マラウイを隣国に持つアフリカ南部の国です。

モザンビークの人口は2016年時点で約2,900万人とアフリカでは比較的人口の多い国です。

一方、人口密度は36人/km2とアフリカ平均40人/km2をやや下回ります。

 

一人あたりGDPは2016年時点で1,200ドルとアフリカ平均の5,000ドルの3割にも満たない水準です。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

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SDGs指標ランキング

以下はアフリカ諸国におけるSDGs指標(総合指数)の2000年および2022年のランキングを表しています。

指標は0~100点で評価され、2000年ではスウェーデンが84点が最高点となっており、2022年ではフィンランドが87点で最高点となっています。

なお、括弧内の順位は全世界での順位を表し、日本は2000年では75点で11位でしたが、2022年ではスコアは79点へ上がっているものの順位は21位へ落としています。

また、ここでは参考国として米国と中国も併記しています。

 

モザンビークのSDGs指標は2000年では43点でアフリカ諸国内では42位(世界では158位)でしたが、2022年では指標は53点、順位は35位(世界では149位)と僅かに順位を上げています。

 

アフリカ諸国におけるSDGs指標ランキング(左図:2000年、右図:2022年)SDGs指標ランキング

出所: Sachs, J.D., Lafortune, G., Fuller, G., Drumm, E. (2023). Implementing the SDG Stimulus. Sustainable Development Report 2023. Paris: SDSN, Dublin: Dublin University Press, 2023. 10.25546/102924

 

時系列推移

以下は2000年以降におけるモザンビークのSDGs指標の推移を表します。

ここでは、上記のランキングで用いた総合指数と各17Goalの指数の推移を表しています。

総合指数は2000年以降43点から53点へ上がっていますが、それぞれの指標を見ると

  • 4. 質の高い教育をみんなに (12→55)
  • 14. 海の豊かさを守ろう (51→72)
  • 17. パートナーシップで目標を達成しよう (45→61)
  • 11. 住み続けられるまちづくりを (47→63)
  • 6. 安全な水とトイレを世界中に (41→55)
  • 3. すべての人に健康と福祉を (18→32)
  • 5. ジェンダー平等を実現しよう (52→65)
  • 7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに (25→36)

の8ゴールは10点以上スコアが上昇している一方で、

  • 10. 人や国の不平等をなくそう (23→13)

の1ゴールについてはスコアが低下しています。

 

注:項目名の後ろに付く括弧内の数字は2000年と2022年のスコアを表します。

モザンビークのSDGs17指標の推移

モザンビークのSDGs指標推移

出所: Sachs, J.D., Lafortune, G., Fuller, G., Drumm, E. (2023). Implementing the SDG Stimulus. Sustainable Development Report 2023. Paris: SDSN, Dublin: Dublin University Press, 2023. 10.25546/102924

 

また、以下は17つのGoalの内訳にあたる詳細な指標(全98指標)について、2000年および2022年の変化を表しています。

 

モザンビークのSDGs詳細指標(2000年 vs 2022年)

モザンビークのSDGs指標1

モザンビークのSDGs指標2

出所: Sachs, J.D., Lafortune, G., Fuller, G., Drumm, E. (2023). Implementing the SDG Stimulus. Sustainable Development Report 2023. Paris: SDSN, Dublin: Dublin University Press, 2023. 10.25546/102924

 

これを見ると、45の指標はスコアを上げている一方で、21の指標はスコアを下げています。特に

  • 26. SDG4. 初等教育純就学率 (7→98)
  • 84. SDG16. 殺人件数(人口10万人当たり) (0→59)
  • 76. SDG14. トロールまたは浚渫によって漁獲された魚 (%) (6→64)
  • 11. SDG3. 妊産婦死亡率(出生10万人当たり) (35→85)
  • 13. SDG3. 5歳未満児死亡率(出生1,000人当たり) (0→47)

といった指標は大幅に改善している一方で、

  • 85. SDG16. 未決拘禁者(刑務所人口に占める割合) (46→32)
  • 22. SDG3. WHOが推奨するワクチンを2回接種した乳児の生存率(%) (49→34)
  • 80. SDG15. 生物多様性にとって重要な淡水域の平均保護面積(%) (63→45)
  • 56. SDG10. 高等教育機関におけるSTEM分野の卒業生に占める女性の割合(%) (45→25)
  • 90. SDG16. 主要な通常兵器の輸出(人口10万人当たりのTIV一定百万米ドル) (67→34)

といった項目は大幅にスコアを下げる結果となっています。

 

注:項目名の後ろに付く括弧内の数字は2000年と2022年のスコアを表します。

さいごに

この記事では17つのGoalについて網羅的に取り上げいますが、以下の記事ではそのうちGoal2: 飢餓をゼロに、Goals14: 海の豊かさを守ろう、Goals15: 陸の豊かさも守ろう、の3つのゴールについて詳細に取り上げていますので、よろしければそちらもご覧ください。

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また、国内では法政大学の川久保研究室がSDGsについて研究に取り組んでいますので、よろしければそちらもご覧ください。

川久保研究室

SDGsを活かした建築・都市づくりの研究…

 

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