ガーナの経済予測:World Economic Outlook Database, October 2022

今回はガーナの経済予測について取り上げます。

使用しているデータは国際通貨機関(IMF)が年に2~4回刊行しているWorld Economic Outlook(WEO)を用いています。

WEOでは最新のデータに基づき予測を毎回改訂していますので、過去のデータを顧みることで予測の不確実性を理解したうえで有益なツールとして使用することが望まれます。

 

ガーナの基本情報

ガーナはコートジボワール、トーゴ、ブルキナファソに接する西アフリカの国です。

 

ガーナの人口は2016年時点で約2,800万人とアフリカでは比較的人口の多い国です。

人口密度は118人/km2とアフリカ平均の40人/km2の3倍近い水準にあります。

 

一人あたりGDPは2016年時点で4,300ドルとアフリカ平均の5,000ドルをやや下回ります。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

関連記事

ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。   アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]

また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

関連記事

今回は2000年以降のアフリカ諸国におけるGDP成長率の相関係数を確認してみます。 まずは、アフリカ諸国のGDPの規模について見てみます。   GDPランキング 以下は2016年のアフリカ諸国におけるGDPランキン[…]

 

国際比較ランキング

GDP成長率

以下のグラフは2021~2027年におけるアフリカ諸国の実質GDP成長率のランキングを示しています。

また、参考国として米国と日本を並記しています。当該期間では、米国は2.2%、日本は1.2%と予測されており、アフリカ諸国と比較すると非常に低水準となっています。

 

ガーナに関しては、同期間では4.7%ほどの経済成長を見込まれており、アフリカ諸国の中では27番目に高い水準となっています。予測GDP成長

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

 

なお、過去における経済成長について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

 

時系列推移

GDP成長率・一人あたりGDP

以下は2000年以降のGDP成長率(左図)および世界に占めるGDPシェア(右図)の実績値と過去の数時点および直近(Latest)のWEOの予測を表しています。

ガーナのGDP成長率は2000年以降0-15%の間で著しく変動しています。

この期間における過去のWEOの予測は2011年を除くとおおよそ実績値に近い予測となっています。

なお、最新のWEOの予測によると、2023年には3%程度までGDP成長率は低下しますが、2027年にかけて7%程度まで加速すると見られています。

 

また、世界に占めるGDPシェアの実績値は2000年の0.09%から2021年には0.13%へ上昇し、WEOの最新の予測では2027年には0.14%まで上昇すると見られています。

なお、WEOの水準が改訂しているのは、GDP統計は随時データの推計方法の変更や会計概念が拡張するため、政府が公表する実績値がその都度改訂してきたことに起因していると考えられます。

ガーナのGDP予測出所:World Economic Outlook Database, October 2022

 

次に以下のグラフは一人あたりの実質GDPの推移を表しています。

ガーナの一人あたりGDP予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

 

単位は国際比較で用いられる2017年PPP換算(米ドル)を用いています。PPPについては以下の記事でまとめていますので、こちらも参照ください。

関連記事

今回はアフリカ各国の物価の違いについて整理します。 国際間の物価の違いを表す経済データとして、購買力平価(PPP)というものがあります。今回はこのPPPを用います。 購買力平価(PPP)とは 総務省によると ※ 購買力平価(Pu[…]

 

一人あたりGDPについては、2000年では3,000ドルほどでしたが、2021年では5,800ドルとなり、2027年には6,300ドルほどまで上昇すると見込まれています。

 

インフレ率

以下は2000年以降の年次インフレ率(左図)および2000年を基準としたインフレ指数(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。

 

ガーナのインフレ率は非常に高いうえに、変動も大きくなっていますが、2010年代ではおおよそ5%~15%の間となっています。

一方、WEOの見通しはおおよそ5%程度で見込まれることが多く、その結果WEOの予測は実績値よりも過少予測となるケースが多いです。

しかし、直近のWEOでは2022年は25%強と非常に高いインフレ率が予測されていますが、これまでの傾向を踏まえると実績値はさらに高くなる可能性も考えられます。

 

また、インフレ指数は2000年を100とすると、実績値では2021年は1500ほどとなり、さらに2027年の見込みでは3000強程度まで上昇すると見込まれています。ガーナのインフレ率予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

 

なお、過去の物価変動について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

関連記事

今回はガーナのCPIおよびデフレータについて整理します。 なお、ここでは国内での物価の成長率について取り上げます。 物価水準の国際比較については、以下の記事などを参照ください。 [sitecard subtitle=関連記[…]

 

政府の歳入歳出・負債

以下は2000年以降の政府の歳入(左図)と歳出(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。

2000年ではGDP比で歳入は9%、歳出は13%ほどと赤字収支構造となっており、2021年になると歳入はGDP比で14%、歳出は26%とさらに赤字収支が拡大しています。

また、直近のWEOの予測では2027年ではそれぞれ16%と25%と見込まれており、大幅な赤字収支構造は継続すると見られてます。

ガーナの歳出入予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

 

さらに以下は政府の総負債(左図)と純負債(右図)の推移を表しています。

なお、純負債は総負債から債務証券に対応する金融資産(金・SDR、通貨・預金、負債証券、貸付金、保険・年金・標準保証制度、その他売掛金など)を除いたものをさします。

ガーナの債務予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

ガーナのGDPに対する総負債比と純負債比は2001年ではそれぞれ80と60ほどでしたが、2006年にはそれぞれ20と17程度まで急激に改善しています。

しかし、その後は上昇へ転じ2021年には82と77まで上昇し、さらに直近のWEOでは2027年にはそれぞれ93と89まで上昇すると見込まれています。

 

さいごに

今回使用しているWEOは常時データを改訂しています。

特に近年では新型コロナの状況により予測値が大幅に改訂することありますので、新型コロナについて状況を知りたい場合は以下の記事を参照ください。

関連記事

今回はガーナの新型コロナの感染状況について簡単に整理します。   ガーナの基本情報 ガーナはコートジボワール、トーゴ、ブルキナファソに接する西アフリカの国です。   ガーナの人口は2016年[…]

最新情報をチェックしよう!