今回はアフリカ各国の物価の違いについて整理します。
国際間の物価の違いを表す経済データとして、購買力平価(PPP)というものがあります。今回はこのPPPを用います。
購買力平価(PPP)とは
総務省によると
※ 購買力平価(Purchasing Power Parity:略称PPP)とは、一国の通貨と他国の通貨との換算比率の一種で、それぞれの通貨の購買力 (買える財やサービスの量)が等しくなるように計算して求められます。
と説明しています。
例えば、ソフトドリンク1缶の値段を日本では200円、米国で70セントとした場合、ソフトドリンクでみた円とドルの購買力平価は1ドル=285.7円(200円÷0.7ドル) となります。
注意点として、ここで比較される財は等しい品質という条件のもとでレート換算されています。上記のケースで言えば、例えば「コカ・コーラ」が日本とアメリカでいくらで売られているか?という比較になります。
ただし、実際の推計では同一品質の財を比較するのことは困難であるため、あくまで近似となります。
さて、PPPは換算レートであるため、直接的に物価の比較をおこなうには不便ですが、このPPPを為替レートで割ることで物価の水準の違いを表すことができます。これを物価指数(PLI:Price Level Index)と呼びます。
上記で言えば、例えばこの時点の為替レートが1ドル=100円の場合のPLIは2.855(=285.5/100)となります。これは、日本の方がアメリカに比べ2.855倍ビールが高いということになります。
このPPPおよびPLIは6年1度、世界銀行が中心となり取り組んでいる国際比較プログラム(ICP)から世界中のデータが公表されています。
個別の財・サービスの物価指数(PLI:Price Level Index)については次回以降の記事に個別に扱うことにして、今回は一国全体のPLIを取り上げます。
物価指数(PLI)で国際比較
早速、物価指数(PLI)を見てみましょう。以下は国際比較プログラム(ICP)の2017年の結果より、日本を基準(日本=1.0)としたときの一国全体の物価指数(PLI)(注)です。
- もっとも物価の高い国はジブチで日本を1.0とした時に、ジブチの物価は0.63(37%低い)となります。
- もっとも物価の安い国はエジプトで日本に対して0.19です。(かなり安い気もしますが、ICPの前回の結果である2011年データでも0.20と近似していますので、妥当なのかもしれません。詳しい人教えていただけると幸いです。)
(注)一国全体にはGDPのPLI(PLI for GDP)を用います。ここには、家計の消費だけでなく、政府の支出、企業の投資、貿易などすべての物価を表してます。
2017年での日本を基準とした一国全体のPLI(PLI for GDP)
出典:ICP2017
以上は、一国全体の物価指数(PLI for GDP)ですが、皆さんが旅行や転勤などでアフリカを訪れる際に実際に感じるのは家計消費の物価指数(GDP for Household Consumption)だと思います。
- 家計消費の物価指数(PLI for GDP)はセーシェルが最も高く、日本の0.70(30%低い)に相当します。
- また、エジプトは家計消費の物価指数でも最も低く、0.20です。
2017年での日本を基準とした家計消費のPLI(GDP for Household Consumption)
出典:ICP2017
さいごに
以上が、アフリカ各国についての一国全体と家計消費の物価指数の比較となります。
皆さん気になる国をチェックしてみてください。
なお、個別の財やサービスについては今後触れていこうと思います。では