今回はアフリカ諸国の医療費の物価についてです。
(ただし、医療費については、①国により政府と家計の負担率が異なる、②医療行為ごとの品質が異なることから価格の比較がそもそも難しい、などから物価比較が困難な代表的なサービスです。あくまで近似として参考程度にご覧ください。
なお、ここで用いるデータは世界銀行が中心となりおこなっている国際比較プログラム(ICP)の2017年のデータですが、ICPでは医療の物価を投入法と言われる、人件費や治療に用いた原材料費、建物の償却額や営業利益などコストの積み上げで試算しています。詳細についてはICPから直接確認ください。)
なお、物価指数(PLI)そのものの説明については以下の記事をご覧ください。
今回はアフリカ各国の物価の違いについて整理します。 国際間の物価の違いを表す経済データとして、購買力平価(PPP)というものがあります。今回はこのPPPを用います。 購買力平価(PPP)とは 総務省によると ※ 購買力平価(Pu[…]
アフリカ諸国の医療費の物価ランキング
以下は、日本と基準(日本=1.0)としたときの2017年のアフリカ各国の医療費の物価指数(PLI)ランキングになります。
一位はアンゴラで日本の0.48倍です。またもっとも医療費が安い国はスーダンで0.10倍です。
出典:ICP2017
アフリカ諸国のGDPに占める医療費シェアランキング
以下は2018年におけるGDPに占める医療費シェアのランキングです。参考として日本と世界平均を入れています。
このグラフにはアフリカは52カ国ですが、世界平均を上回る国はシエラレオネと中央アフリカ共和国のみです。
出典:Wolrd Bank:World Development Indicators
ただし、この2か国はアフリカでも比較的貧しい国です。そのため医療費が多いというよりもGDPが小さいことにより上位にきていると思われます。
次に一人あたり医療費(米ドル換算)を見てみます。
アフリカ諸国の一人あたり医療費ランキング
以下は2018年における一人あたり医療費のランキングです。こちらも参考として日本と世界平均を入れています。
先ほどのシエラレオネと中央アフリカ共和国はそれぞれ86ドルと54ドルとアフリカではおおよそ中位の国です。
もっとも一人あたり医療費が高いのはセーシェルの833ドルです。
一方、最下位のコンゴ民主共和国については19ドルとセールの約1/40、世界平均に対しては1/50、日本と比較すると1/200です。
ほとんど医療行為を受けることができいないのが現状と思われます。
出典:Wolrd Bank:World Development Indicators
ユニセフによるとコンゴ民主共和国では医療システムが崩壊しており、緊急支援が必要な状況のようです。
現在コンゴ民主共和国ではエボラ出血熱にくわえ、はしか、2020年からは新型コロナの蔓延している状況です。さらにはコレラやマラリアも問題のようです。
コンゴ民主共和国が直面する医療システムの崩壊は緊急の支援を必要としており、何千人もの子どもの命を奪うはしかやコレラの蔓延…
さいごに
今回はアフリカ諸国の医療費の物価について比較しました。しかし、用いたデータは概念が複雑で数字も見てもピンとくるものではないかもしれません。
医療費については一人あたり医療費を見ることでイメージしやすい比較ができるのではないでしょうか。