モーリシャスの経済予測:World Economic Outlook Database, April 2023

今回はモーリシャスの経済予測について取り上げます。

使用しているデータは国際通貨機関(IMF)が年に2~4回刊行しているWorld Economic Outlook(WEO)を用いています。

WEOでは最新のデータに基づき予測を毎回改訂していますので、過去のデータを顧みることで予測の不確実性を理解したうえで有益なツールとして使用することが望まれます。

 

モーリシャスの基本情報

モーリシャスはマダガスカルのさらに東に位置するインド洋に浮かぶ島国です。

モーリシャスの人口は2016年時点で130万人とアフリカでは7番目に人口の少ない国です。

一方、人口密度は626人/km2でアフリカではもっとも人口密度の高い国です。

 

一人あたりGDPは2016年時点で20,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの4倍あり、アフリカでは4番目に高い国です。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

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国際比較ランキング

GDP成長率

以下のグラフは2022~2028年におけるアフリカ諸国の実質GDP成長率のランキングを示しています。

また、参考国として米国、中国および日本を並記しています。当該期間では、中国は4.0%、米国は1.8%、日本は0.8%と予測されており、日米に関してはアフリカ諸国と比較すると非常に低水準となっています。

 

モーリシャスに関しては、同期間では4.4%ほどの経済成長を見込まれており、アフリカ諸国の中では30番目に高い水準となっています。

予測GDP成長

出所:World Economic Outlook Database, April 2023

 

時系列推移

GDP成長率・一人あたりGDP

以下は2000年以降のGDP成長率(左図)および世界に占めるGDPシェア(右図)の実績値と過去の数時点および直近(Latest)のWEOの予測を表しています。

モーリシャスのGDP成長率は新型コロナによる2020年のマイナス成長を除くと、おおよそ4-5%程度で推移しています。

 

そのため、過去のWEOの予測を見ると、おおよそ4-5%程度の経済予測を見込まれることが多く、直近のWEOにおいても2028年にかけて4%ほどに収束すると見込まれています。

 

ただし、世界に占めるGDPシェアは非常に小さく実績値は2000年の0.02%ほどあり、その水準は直近ではあまり変わっていません。

モーリシャスのGDP予測

出所:World Economic Outlook Database, April 2023

 

次に以下のグラフは一人あたりの実質GDPの推移を表しています。

モーリシャスの一人あたりGDP予測

出所:World Economic Outlook Database, April 2023

 

単位は国際比較で用いられる2017年PPP換算(米ドル)を用いています。PPPについては以下の記事でまとめていますので、こちらも参照ください。

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一人あたりGDPについては、2000年では13,000ドルほどであり、2020年には大幅に低下するものの、2022年には23,000ドルほどまで上昇しています。

また最新のWEOでは2028年にかけて一人あたりGDPは27,000ドルほどまで上昇すると見込まれています。

 

インフレ率

以下は2000年以降の年次インフレ率(左図)および2000年を基準としたインフレ指数(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。

 

モーリシャスではインフレ率の変動は大きいものの、おおよそ2-10%ほどに収まることが多いです。

また、過去のWEOを見るとインフレ率は3-4%程度へ収束すると予測されることが多く、直近のWEOのインフレ率の予測についても2028年には4%ほどと見込まれています。

 

また、インフレ指数は2000年を100とすると、実績値では2022年は270ほどとなり、さらに2028年の見込みでは350程度まで上昇すると見込まれています。モーリシャスのインフレ率予測

出所:World Economic Outlook Database, April 2023

 

なお、過去の物価変動について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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失業率

以下は2000年以降の失業率の実績値(Actual)と過去の数時点および直近(Latest)のWEOの予測を表しています。

モーリシャスの失業率は2000年では6%ほどであり、2005年には10%ほどまで上昇していますが、その後は7-8%ほどで推移することが多く、2022年においても8%ほどとなっています

また、直近の予測によると2023年以降ほぼ横ばいと見込まれています。

モーリシャスの失業率

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

なお、過去の失業率や労働について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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政府の歳入歳出・負債

以下は2000年以降の政府の歳入(左図)と歳出(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。

2000年ではGDP比で歳入は17%、歳出は21%ほどと赤字収支構造となっていましたが、2022年になると歳入はGDP比で24%、歳出は28%と赤字構造は継続しています。

なお直近のWEOの予測では2028年ではそれぞれ24%と26%と見込まれており、赤字財政は多少改善すると予測されています。

モーリシャスの歳出歳入

出所:World Economic Outlook Database, April 2023

 

さらに以下は政府の総負債(左図)と純負債(右図)の推移を表しています。

なお、純負債は総負債から債務証券に対応する金融資産(金・SDR、通貨・預金、負債証券、貸付金、保険・年金・標準保証制度、その他売掛金など)を除いたものをさします。

(ただし、純負債のデータについてはほぼ公表されておりません。)

モーリシャスの債務

出所:World Economic Outlook Database, April 2023

モーリシャスのGDPに対する総負債比は2000年ではそ60ほどでしたが、2022年には80ほどまで悪化しています。

しかし、直近のWEOでは2028年には75ほどまでやや改善すると見込まれています。

 

さいごに

今回使用しているWEOは常時データを改訂しています。

特に近年では新型コロナの状況により予測値が大幅に改訂することありますので、新型コロナについて状況を知りたい場合は以下の記事を参照ください。

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