今回はモーリシャスの人口構成にフォーカスしてみます。
なお、他の国との人口規模については、こちらで比較しております。
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モーリシャスの基本情報
モーリシャスはマダガスカルのさらに東に位置するインド洋に浮かぶ島国です。
モーリシャスの人口は2016年時点で130万人とアフリカでは7番目に人口の少ない国です。
一方、人口密度は626人/km2でアフリカではもっとも人口密度の高い国です。
一人あたりGDPは2016年時点で20,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの4倍あり、アフリカでは4番目に高い国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
今回は2000年以降のアフリカ諸国におけるGDP成長率の相関係数を確認してみます。 まずは、アフリカ諸国のGDPの規模について見てみます。 GDPランキング 以下は2016年のアフリカ諸国におけるGDPランキン[…]
人口の見通し
モーリシャスの人口構成を示したこのグラフから、同国の人口動態の特徴と今後の変化について読み取ることができます。1950年の時点で人口は約50万人程度でしたが、年々増加し、2020年頃にピークを迎えています。その後、人口は減少に転じ、2100年には約60万人に減少すると予測されています。このような人口減少は、少子高齢化が主要な要因と考えられます。
年齢別構成を見ると、0~14歳の子ども人口(青色部分)は徐々に減少しており、若年層の割合が縮小しています。一方、15~29歳の若年成人層(オレンジ色部分)や30~49歳の働き盛り世代(灰色部分)の割合も減少傾向にあります。これに対し、50歳以上の中高年層(黄色、青、緑の部分)の割合は増加しており、特に65歳以上の高齢者人口が今後の総人口において大きな割合を占めるようになることがわかります。
また、80歳以上の高齢者(緑色部分)の人口も、今後急激に増加することが予測されています。
出典:UN World Population Prospects 2024
なお人口の平均成長率は1950-2020年では1.3%ほどであり、この先については2020-2050年が-0.5%、2050-2100年は-1.3%の見通しです。
人口構成の見通し
モーリシャスの人口構成を示すこのグラフは、同国の年齢別人口割合の変化を詳しく示しています。1950年には、0~14歳の若年層(青のライン)が全人口の約45%を占めていましたが、徐々にその割合は減少し、2100年には10%未満にまで落ち込むと予測されています。一方で、15~29歳(オレンジのライン)や30~49歳(灰色のライン)の割合は、過去数十年間は比較的安定していましたが、今後はそれぞれ低下傾向にあることが分かります。
対照的に、50歳以上の中高年層(黄色、青、緑のライン)の割合は今後大きく増加すると予測されています。特に65歳以上の高齢者層(青と緑のライン)は、2100年には全人口の約半数近くを占めるようになる見込みです。
出典:UN World Population Prospects 2024
人口ボーナス・人口オーナス
豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。
野村証券によると人口ボーナス(および人口オーナス)を以下のように定義してます。
生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。
モーリシャスの人口ボーナス/オーナスの推移を示したこのグラフは、同国における人口構造の変化とその影響を視覚化しています。1950年から1970年頃までの人口ボーナス比率は約1で、労働力人口と扶養人口がほぼ均衡している状況を示しています。しかし、その後、経済成長の基盤となる生産年齢人口の増加に伴い、この比率は上昇を続け、2020年頃にはピークに達しています。
2020年以降、少子高齢化の進行により人口ボーナス比率は徐々に低下すると予測されており、2100年には再び1を下回るとされています。
出典:UN World Population Prospects 2024に基づく推計
男女別の学歴構成
以下は1950-2015年までの男女別の最終学歴の構成です。
ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。
出典: Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく推計
モーリシャスは他のアフリカの国と同様に未就学シェアが1950年以降急激に減少しており、1950-2015年の期間では男性は48%から17%、女性は52%から21%まで減少しています。
一方、高卒および専門・大卒以上は増加しており、男性はそれぞれ0.8%から24.8%、0.0%から5.1%と拡大しています。
同様に女性も学歴化が進み、高卒および専門・大卒以上はそれぞれ0.2%から25.3%、0.0%から3.9%と、男性と比べるといまだにギャップは残るものの教育水準は少しずつ改善しています。
都市部と農村部人口の構成と人口密度
モーリシャスの都市部人口シェアと人口密度を示したこのグラフは、都市化と人口密度の変化を視覚化しています。1960年から1990年にかけて、都市部人口シェアは着実に増加し、ピークとなる45%を超えましたが、それ以降は減少傾向にあります。一方、農村部の人口密度は、1960年から現在までに約3倍に増加しており、都市部の人口密度も一時的に上昇しましたが、近年ではやや減少しています。
特に注目すべきは、都市部の人口密度が2020年時点で1,088人/km²に達している点です。この数値は、モーリシャスの国土の制約と集中する人口を反映しており、都市部での土地利用やインフラの効率化が引き続き課題となっています。また、農村部の人口密度も489人/km²に達し、農業や地方開発における圧力が高まっていることを示唆しています。
出典:World Development Indicators, 2024/09に基づく推計
さいごに
モーリシャスの人口動態は、他のアフリカ諸国とは異なる独自の特徴を持っています。人口のピークは2030年代に1,300万人程度に達すると予測され、その後は減少に転じる見込みです。この減少傾向は出生率の低下や高齢化の進行によるものであり、特に65歳以上の高齢者人口の割合が増加することが予測されています。都市部人口シェアも高止まりした後、わずかに減少していますが、人口密度の高さは依然として都市部や農村部の土地利用や資源管理に課題をもたらしています。
なお、労働については以下の記事で取り扱っていますので、是非ご覧ください。